本記事は数学講座5.5 行列関数の全射を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。
[まとめ]全射
全射は、到達域と値域の関係です。(単射は定義域と地域の関係です)
自然な定義域で:
\begin{array}{c|c|c|c}
\hline
\quad行列関数\quad&\quad 全射の必要十分条件 \quad\\\hline\\
\quad \boldsymbol{A}\boldsymbol{x}=\boldsymbol{y} \quad&\quad 行フルランク \iff 全射 \quad\\
\quad \boldsymbol{x}^\mathrm{T}\boldsymbol{A}=\boldsymbol{y}^\mathrm{T} \quad&\quad 列フルランク \iff 全射\quad\\
\\
\hline
\end{array}
列ベクトル行列関数の全射
よって、$rank(colsp(A))=m$、また任意の行列には、列ランク=行ランクがあるので、
\left.\begin{aligned}rank\Big(colsp(\boldsymbol{A})\Big)=m\\列ランク=行ランク\end{aligned}\right\}
\implies rank\Big(rowsp(\boldsymbol{A})\Big)=m
$A$が$m\times n$の行列、なので:
rank\Big(rowsp(\boldsymbol{A})\Big)=m\iff \boldsymbol{A}\ 行フルランク\iff \boldsymbol{A}\boldsymbol{x}=\boldsymbol{y}\ が全射
任意の行列には、列ランク=行ランクの証明はこちらです。
- 例:全射
ちなみに、上記は単射ではない(定義域ランク > 値域ランク)です。
- 例:全射ではない
ちなみに、上記は単射(定義域ランク = 値域ランク)です。
行ベクトル行列関数の全射
列ベクトル行列関数とほぼ同じですので、省略します。
全射の例題
以下の線型方程式系には、解があるか?
\begin{cases}
2x_1+3x_2=5\\
3x_1+6x_2=9
\end{cases}
解があるかどうか、$b$が値域にあるか、全射で判断することができます。
\begin{cases}
2x_1+3x_2=5\\
3x_1+6x_2=9
\end{cases}\implies\underbrace{\begin{pmatrix}2&3\\3&6\end{pmatrix}}_{\Large A}\ \underbrace{\begin{pmatrix}x_1\\x_2\end{pmatrix}}_{\Large\boldsymbol{x}}=\underbrace{\begin{pmatrix}5\\9\end{pmatrix}}_{\Large\boldsymbol{b}}
以上のように、(2,3)と(3,6)が線型独立ですので、行フルランクになります。だからこれが全射です。到達域が$R^2$ですので、値域も同じく$R^2$です。$b$が$R^2$にあるので、解があります。
参考情報