本記事は数学講座3.4 行列の累乗と転置を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。
累乗:
数 同じ数または文字を何度か掛け合わせること。また,その積。a×a×a=a3 のように掛け合わせた個数を右肩に小さく書き,これを累乗の指数(冪指数べきしすう)と呼ぶ。乗冪(じょうべき)。。
行列のべき乗演算
行列は乗法と加法以外に、他の演算もあります。こちらで紹介するのは、行列のべき乗です。
$A$が正方行列で、$A^1=A,\quad A^2=A^1A^1,\quad\cdots,\quad A^{k+1}=A^kA^1$、$k$が正整数です。
Q: なぜべき乗をする際に、行列が正方行列にする必要か?
A: $AA$をする際に、$A$が$m×n$とすると、$AA$が$(m×n)(m×n)$になるので、$m=n$の必要があります。だから、$A$が正方行列です。
対角行列のべき乗演算
例え以下のような対角行列があります。
\Lambda=\left(\begin{array}{ccccc}{\lambda_{1}} \\ {} & {\lambda_{2}} \\ {} & {} & {} \\ {} & {} & {} & {\ddots} \\ {} & {} & {} & {} & {\lambda_{m}}\end{array}\right)
対角行列の乗法規則によると、$\Lambda$のべき乗が:
\Lambda^n=\left(\begin{array}{ccccc}{\lambda_{1}^n} \\ {} & {\lambda_{2}^n} \\ {} & {} & {} \\ {} & {} & {} & {\ddots} \\ {} & {} & {} & {} & {\lambda_{m}^n}\end{array}\right)
行列の転置演算
転置行列とは、$m 行 n 列$の行列 $A$ に対して $A の (i, j)$ 要素と $(j, i)$ 要素を入れ替えてできる $n 行 m 列$の行列のことである。$A=(a_{ij}),\quad A^\mathrm{T}=(a_{ji})$と記します。
例え、$m 行 n 列の行列A$:
{\displaystyle A={\begin{bmatrix}a_{1,1}&\cdots &a_{1,n}\\\vdots &\ddots &\vdots \\a_{m,1}&\cdots &a_{m,n}\end{bmatrix}}}
転置行列$A^\mathrm{T}$
{\displaystyle {}^{t}A={\begin{bmatrix}a_{1,1}&\cdots &a_{m,1}\\\vdots &\ddots &\vdots \\a_{1,n}&\cdots &a_{m,n}\end{bmatrix}}}
行ベクトルと列ベクトル
ベクトルにとって、行ベクトルと列ベクトルが同じものです。
\boldsymbol{x}=\begin{pmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{pmatrix}=(a_1,a_2,...,a_n)
行列の乗法では、行ベクトルと列ベクトルが違います。
\boldsymbol{x}=\begin{pmatrix}a_1\\a_2\\\vdots\\a_n\end{pmatrix},\quad\boldsymbol{x}^\mathrm{T}=(a_1,a_2,...,a_n)
同じ次元数のベクトルにとって、$\boldsymbol{x}^\mathrm{T}\boldsymbol{y}=\boldsymbol{x}\cdot\boldsymbol{y}$になります。$\boldsymbol{x}^\mathrm{T}\boldsymbol{y}$の結果が$1×1$の行列ですので、即ち実数です。
$\boldsymbol{x}\cdot\boldsymbol{y}$の詳細はベクトルのドット積を参照ください。
転置演算の性質
行列の転置演算は以下の性質を持っています:
- $(A^\mathrm{T})^\mathrm{T}=A$
- $(AB)^\mathrm{T}=B^\mathrm{T}A^\mathrm{T}$
- $(A^\mathrm{T})^n=(A^n)^\mathrm{T}$
- $(A+B)^\mathrm{T}=A^\mathrm{T}+B^\mathrm{T}$
$(AB)^\mathrm{T}=B^\mathrm{T}A^\mathrm{T}$がよく使われいます。
対称行列と反対称行列
- 対称行列:$A^T=A$
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3\\
2 & 4 & -5\\
3 & -5 & 6\end{pmatrix}^\mathrm{T}
=
\begin{pmatrix}
1 & 2 & 3\\
2 & 4 & -5\\
3 & -5 & 6\end{pmatrix}
- 反対称行列:$A^T=-A$
\begin{pmatrix}
0 & 2 & -1 \\
-2 & 0 & -4 \\
1 & 4 & 0\end{pmatrix}^\mathrm{T}
=
-\begin{pmatrix}
0 & 2 & -1 \\
-2 & 0 & -4 \\
1 & 4 & 0\end{pmatrix}
参考情報