本記事は数学講座2.6 ベクトル空間の基底を勉強して投稿したメモです。詳細は元の素晴らしい講座のページをチェックしてください。
復習
第一回から第五回までには、ベクトルからベクトル空間まで勉強してきました。
ベクトル空間を研究対象にすれば、ベクトル空間内の成分(ベクトル)を表現する必要があります。
座標などで表現とすると、座標軸の原点、X軸、Y軸が必要です。ベクトル空間内でも同じです、空間内の成分を表現するために、ベクトル空間の基底を決める必要があります。
基底の定義
$\mathcal{V}$がベクトル空間、空間内に以下のベクトル組$\mathcal{A}$があります。
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...\boldsymbol{a_n}\}
$\mathcal{A}$が$\mathcal{V}$空間内の線形独立最大ベクトル組であれば、ベクトル組$\mathcal{A}$がベクトル空間$\mathcal{V}$の基底の一つです。
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例2、平面の基底。以下のように水色平面がベクトル空間であり、線形独立最大ベクトル組がベクトル組$\mathcal{A}$です。ベクトル組$\mathcal{A}$も水色平面の基底の一つです。
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{u},\boldsymbol{v}\}
上記の例1と例2で示すように、
- $RGB$が色空間の基底の一つで、$CMY$も色空間の基底の一つです
- $\mathcal{u},\mathcal{v}$が平面(ベクトル空間)の基底の一つで、$\mathcal{u},\mathcal{v}$の方向を回転した新しいベクトル組も平面(ベクトル空間)の基底の一つです。
基底と座標
\mathcal{A}=\{\boldsymbol{a_1},\boldsymbol{a_2},...,\boldsymbol{a_n}\}
$\mathcal{A}$がベクトル空間$\mathcal{V}$の基底、$\mathcal{V}$での成分(ベクトル)$\mathcal{x}$が唯一的に以下の式で表せるます。
\boldsymbol{x}=k_1\boldsymbol{a_1}+k_2\boldsymbol{a_2}+\cdots+k_n\boldsymbol{a_n}
上記の係数でベクトルを構成できます。
[\boldsymbol{x}]_\mathcal{A}=\begin{pmatrix}k_1\\k_2\\\vdots\\k_n\end{pmatrix}
$\mathcal{x}$が基底$\mathcal{A}$における座標ベクトルです。一つのベクトル空間で、基底が違うと、座標ベクトルも違います。
- 例:2次元平面での座標
\mathcal{E}:\boldsymbol{e_1}=\begin{pmatrix}1\\0\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{e_2}=\begin{pmatrix}0\\1\end{pmatrix}
例えば、$\boldsymbol{x}=\boldsymbol{e_1}+\boldsymbol{e_2}$であれば、$\boldsymbol{x}$が基底$\mathcal{E}$における座標ベクトルが:
[\boldsymbol{x}]_\mathcal{E}=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}
自然基底
ベクトル空間の基底が標準基底($(1, 0, ..., 0), (0, 1, ..., 0), ..., (0, 0, ..., 1)$)と一致する場合、その基底を自然基底と呼びます。
全ての$\mathcal{R^n}$に自然基底があります。
\mathcal{E}:\boldsymbol{e_1}=\begin{pmatrix}1\\0\\\vdots\\0\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{e_2}=\begin{pmatrix}0\\1\\\vdots\\0\end{pmatrix},\quad\cdots,\quad \boldsymbol{e_n}=\begin{pmatrix}0\\0\\\vdots\\1\end{pmatrix}
非自然基底
ベクトル空間の基底が標準基底と一致しない場合、その基底を非自然基底と呼びます。
\mathcal{M}:\boldsymbol{m_1}=\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix},\quad \boldsymbol{m_2}=\begin{pmatrix}-1\\1\end{pmatrix}
$\mathcal{M}$が平面の基底にすれば、ベクトル$\mathcal{x}$の座標も変わります。
ベクトル空間の次元
ベクトル空間の次元とは、その空間を張る最小の基底の要素数です。
ベクトル空間$\mathcal{V}$の基底が$\mathcal{A}$であり、ベクトル組$\mathcal{A}$のランク$\mathcal{r}$がそのベクトル空間$\mathcal{V}$の次元です、$\mathcal{V}$が$\mathcal{r}$次元ベクトル空間です。
\mathcal{A}=\{a_1,a_2,\cdots,a_r\}
例えば、平面内のベクトル空間$\mathcal{R^2}$は2次元であり、空間内を張る最小の基底$\mathcal{e1,e2}$は2つの互いに直交するベクトルです。
補足
補足1:
ベクトル組$\mathcal{A}$とベクトル組$\mathcal{B}$両方ともベクトル空間$\mathcal{V}$の基底であれば、$\mathcal{A}$と$\mathcal{B}$が等しいベクトル組です。
ベクトル組$\mathcal{A}$とベクトル組$\mathcal{B}$両方ともベクトル空間$\mathcal{V}$の基底であれば、$span(\mathcal{A})=span(\mathcal{B})$になります。
補足2:
\mathcal{A} = \begin{pmatrix}2\\2\\0\end{pmatrix}
$\mathcal{A}$が自然基底における座標です。$\mathcal{A}$が以下の基底における座標は?
\left\{\begin{pmatrix}2\\0\\0\end{pmatrix},\begin{pmatrix}0\\2\\0\end{pmatrix}\right\}
回答:
\begin{pmatrix}2\\2\\0\end{pmatrix}=\color{blue}{1}\begin{pmatrix}2\\0\\0\end{pmatrix}+\color{blue}{1}\begin{pmatrix}0\\2\\0\end{pmatrix}
があるので、新しい基底における座標は:
\begin{pmatrix}1\\1\end{pmatrix}
補足3:
$\mathcal{V}$が$\mathcal{R_3}$の部分空間です、$\mathcal{n}$が$\mathcal{V}$のランクであれば、$0\leq n \leq 3$になります。
参考情報