■概要
中国北京に拠点を置く「ByteDance」は現在「Ant Financial」に次ぐ世界二番目の評価額のユニコーン企業となっている。数多くのアプリケーションを開発しており、中国国内で人気を誇るニュースSNSアプリ「Toutiao」や日本でも多く知られる「TikTok」など数多くのヒットアプリを生み出している。この会社は自社でAIの研究開発組織「ByteDance AI Lab」を持っており、各ユーザーの求めるコンテンツをリコメンドするアルゴリズムを駆使し、爆発的なヒットを生み出している。現在ショートムービーの市場はFacebook,Tencent,Alibabaを含め多くのTech企業が参入しているが、MAU500Mという圧倒的ユーザー数で成長を続けている。
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■戦略
ByteDanceのアプリケーションは一貫してAIによるリコメンドを組み込んでいる。ユーザーの各コンテンツに対するInsightを分析し、各々の端末でカスタマイズされたコンテンツが閲覧できる状態を整えている。このリコメンドによるユーザー満足度は高く、統計では1日あたりの「Toutiao」ユーザーの平均アプリ滞在時間は80分、「TikTok」ユーザーの平均アプリ滞在時間は50分と長期にわたる。
ここまでのユーザー体験を実現する上で、ByteDanceは多くのAI人材を抱えており、最先端のイノベーションを生み出していく環境を整えている。
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■技術に関する考察
・ショートームービでは画像認識の技術力も高く、識別機能を生かしたeditorとしての技術力も若者から人気を集める要因の一つとなっている。
・AIによる機械学習によってリコメンドされるコンテンツの変化はとても早く、ユーザーの変化にいち早く対応してコンテンツを提供している。
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■今後の展望
現在グローバル展開を進め、世界150市場、75カ国語で利用されている。このように中国初のアプリでローカライズに成功し、展開を続けている例は他になく今後グローバルアプリケーションを多方面に展開していくと考えられる。NBAとのパートナーシップ契約も2018年11月末に報道され、これまで若い層を中心にユーザー拡大を行なっていたが、今後は様々な年齢層に受け入れられるサービスとして浸透していく。
更に、多数アプリケーションを展開しているByteDanceは、AIの機械学習によるリコメンドを行うデータをアプリを横断して活用していき、更にユーザーに密着したコンテンツの提供を行なっていくと考えられる。
Wallet機能などもまだ実用化されていないが、機能として実装されており、今後ECなどの分野においても利益を拡大していくと予想できる。