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【MarkLogic Server】Node-REDと連携してみよう

Last updated at Posted at 2017-09-12

はじめに

Node-REDをご存じでしょうか。
Node-REDはブラウザベースのGUI操作でアプリケーションを構築するためのオープンソースツールで、IBM社が開発しました。

ノードと呼ばれる、機能をカプセル化したモジュールをマウスでドラッグして結合してアプリケーションを開発します。Web-APIや各種オンラインサービス、ハードウェアデバイスなどに対応したノードが用意されており、これらを連携してロジックを作成します。ほぼプログラミング不要で開発できるのが特徴的です。

1_NodeRED_実行例.png

本家IBM社のクラウドサービスBluemixにはNode-REDが搭載されています。また、オープンソースとして公開されているため、AWS等のクラウドや自分のローカルサーバでもNode-RED環境を構築できます。

Node-REDのノードは日々新しいものが開発されており、Node-REDライブラリで検索できます。

Node-REDの活用方法で最も注目されているものの1つにIoT(Internet of Things)との連携が挙げられます。
IBM社はWatson IoT PlatformというIoTデバイスに関するソリューションを展開しています。Bluemixにも対応しており、BluemixのNode-REDを使用することで、IoTデバイスとクラウドの各種サービスを連携するアプリケーションを簡単に開発できます。

また、Node-REDはMQTTにも対応しており、Node-RED上でMQTT Brokerを動作させることが可能です。Node-REDのBrokerに対してIoTデバイスからセンサー情報をPublishし、それをさらに他のサービスに連携するようなアプリケーションを簡単に構築できます。
IoTでトイレの個室の空き状況を監視して通知する、というアプリが話題になりましたが、トイレに設置したセンサーからNode-REDに状況を送信し、Node-REDからTwitterに連携して、個室の状況をつぶやくようなBotアプリも作れます。

そんな便利なNode-REDですが、残念なことにMarkLogicへの接続には対応していません。BluemixのNode-REDならば、IBM社のCloudantというNoSQL JSONデータベースに接続するAPIが提供されていますし、オープンソースのNode-REDでもMySQLやmongodbなど各種データベース用のノードが存在するようです。
しかしMarkLogicのノードは存在しないようなので、作ってしまいましょう。

前置きが長くなりましたが、本記事では主に以下の内容を記します。

  • Node-RED環境を構築する
  • MarkLogicのNode.jsクライアントAPIをインストールする
  • JSONデータをMarkLogicに登録するためのノードを開発する
  • Node-REDでMarkLogicにJSONデータを登録する簡単なフローを作る

なお、本編で使用する環境は以下の通りです。

ソフトウェア バージョン
CentOS 7 7.3.1611
MarkLogic 8.0-7
Node.js 6.11.1
Node-RED 0.17.5

Node-RED環境を構築する

Node-REDはNode.jsで動作するため、まずNode.jsとパッケージマネージャのnpmをインストールします。

Node.jsのインストール
今回はyumを使ってインストールします。EPELリポジトリのNode.jsパッケージを利用します。

# yum install epel-release
# yum install nodejs npm

通常は上記の手順で大丈夫ですが、2017年9月3日現在、CentOS 7.3ではhttp-parserの依存関係によってインストール出来ない場合があるようです。EPELからhttp-parserが削除されてしまったことが原因のようです。もしhttp-parserの依存関係問題が発生したら、以下のようにパッケージをインストールした後、上記手順を実行して下さい。

# rpm -ivh https://kojipkgs.fedoraproject.org//packages/http-parser/2.7.1/3.el7/x86_64/http-parser-2.7.1-3.el7.x86_64.rpm

Node-REDのインストールと起動
いよいよNode-REDをインストールします。Node-REDはnpmでインストールします。

# npm install -g node-red

インストールが完了したら実行してみます。

# node-red

Node-REDはデフォルトでは1880ポートで動作します。http://(Node-REDを実行したサーバのIPアドレス):1880/にアクセスしてみて下さい。

2_NodeRED起動直後.png

左側に表示されているノードから必要な機能を選択し、中央のフロー作成のタブにドラッグします。ノードをつなぎ合わせてフローを作成し、画面右上の「デプロイ」を実行すると完成です。

例として固定の文字列(Hello, World)を受け取り、大文字、または小文字に変換するノードを用意し、最後に結果を出力する簡単なフローを作成してみます。

3_NodeRED_サンプルフロー.png

  • ①は固定の文字列"Hello,World"を次のノードに渡すだけの入力ノードです。
  • ②及び③は入力された文字列を全て大文字か小文字に変換して出力するfunctionノードです。functionノードはJavascriptで処理を定義することが出来ます。 ノードをダブルクリックすると、以下のような設定用のダイアログが表示されます。ここでは、文字列のtoUpperCase()で大文字に変換して、次のノードに連携します。

4_NodeRED_サンプルノード.png

  • ④はデバッグ出力用のノードです。受け取ったメッセージをNode-REDのデバッグタブに出力します。以下の例では、Hello,Worldを大文字と小文字に変換した結果が表示されています。

4-1_NodeRED_サンプル結果.png

以上でNode-REDのインストールから簡単なサンプルの実行までが完了しました。
Node-REDの使い方については良記事が多く存在するので調べてみて下さい。

MarkLogicのNode.jsクライアントAPIをインストールする

MarkLogicにはNode.js用のクライアントAPIライブラリが提供されています。これを利用することでMarkLogicに連携するNode.jsアプリケーションを開発できます。
Node-REDはNode.jsで動作するため、MarkLogicのNode.jsクライアントライブラリもインストールします。
なお、npmを初めて使用する際には、npm initで初期設定などが必要になります。

# npm install marklogic

このライブラリはREST-APIでMarkLogicに接続します。そのため、MarkLogicのHTTPサーバにREST-APIの設定が必要になります。MarkLogicの管理画面(8001番ポート)にアクセスし、HTTPサーバの設定画面を表示して下さい。以下の設定を行えばOKです。

  • url rewriter : /MarkLogic/rest-api/rewriter.xml
  • rewrite resolves globally : true

JSONデータをMarkLogicに登録するためのノードを開発する

ここではNode-RED用のノードを作成する方法について簡単に記します。詳細な作り方は公式サイトをご参照下さい。

ノードの構成とデプロイ
ノードはHTMLとJavascriptから構成されています。ノードのUIをHTMLファイルに定義し、挙動をJavascriptファイルに定義します。

作成したHTMLファイルとJavascriptファイルは~/.node-red/nodesディレクトリ配下に置きます。新たにノードを配置したらNode-REDを再起動します。再起動後、作成したノードがNode-REDの左側のパネルに表示されます。

MarkLogicノードの概要
ここではJSONデータを受け取ってMarkLogicにインサートするノードを作成してみます。

MarkLogicに接続するには以下の情報が必要になります。これらの情報をノードのプロパティ画面で設定できるようにします。

  • MarkLogicサーバのIPアドレス/ホスト名
  • MarkLogicサーバのポート番号
  • アクセスするユーザID
  • パスワード

そして、実際にインサートするJSONデータやインサート先のURIは外部のノードから受け取るようにします。本ノードの入力値は以下のようなパラメータとします。

  • msg.uri : インサートするJSONデータのURI
  • msg.payload : インサートするJSONデータそのもの

ノードのJavascriptを作成する
以下のJavascriptを~/.node-red/nodes/marklogic/marklogic-insert.jsとして保存して下さい。

module.exports = function(RED) {
  function MarkLogicInsertNode(config) {
    RED.nodes.createNode(this,config);
    var node = this;

    // 画面で入力されたMarkLogicの接続情報を元にMarkLogicに接続する。
    var marklogic = require('marklogic');
    var myCon = {
      host: config.host, 
      port: config.port,
      user: config.user,
      password: config.password 
    };
    var db = marklogic.createDatabaseClient(myCon);

    this.on('input', function(msg) {
      //本ノードの入力値であるURIとJSONデータから、インサート用のJSONデータを作成する。
      var docUri = config.documentDir + msg.uri;
      var documents = [{
        uri: docUri,
        content: {
          message: msg.payload
        }
      }];

      // MarkLogicにJSONデータをインサートする。
      db.documents.write(documents).result(
        function(response){
          node.log("Loaded the following document.");
          response.documents.forEach(function(document){
            node.log(" " + document.uri);
          });
        },
        function(error){
          node.error(error);
        }
      );
    });
  }
  // Node-REDに"marklogic-insert"ノードとして登録する。
  RED.nodes.registerType("marklogic-insert",MarkLogicInsertNode);
}

ノードのHTMLを作成する
以下のHTMLファイルを~/.node-red/nodes/marklogic/marklogic-insert.htmlとして保存して下さい。

// ノードのプロパティを定義する。
<script type="text/javascript">
  RED.nodes.registerType('marklogic-insert',{
    category: 'storage', //このノードのカテゴリ
    color: '#cc313b', //画面に表示するノードの色
    // 画面で入力するプロパティに関する定義
    defaults: {
      host: {value:"", required:true},
      port: {value:"", required:true},
      user: {value:"", required:true},
      password: {value:"", required:true},
      documentDir: {value:"/", required:true},
    },
    inputs:1, // このノードの入力ポートの数(0か1)
    outputs:0, // このノードからの出力の数(0以上)
    icon: "file.png", // ノードのアイコンファイル
    align: "right", // DBへの出力なのでフローの右側に配置することが多いため右寄せ
    label: function() {
      return this.name||"marklogic-insert";
    }
  });
</script>

// ノードのプロパティ画面。MarkLogicのホストやポート番号等を入力するフィールドを作成する。
<script type="text/x-red" data-template-name="marklogic-insert">
    <div class="form-row">
        <label for="node-input-host"><i class="icon-tag"></i> Host</label>
        <input type="text" id="node-input-host" placeholder="host">
    </div>
    <div class="form-row">
        <label for="node-input-port"><i class="icon-tag"></i> Port</label>
        <input type="text" id="node-input-port" placeholder="port">
    </div>
    <div class="form-row">
        <label for="node-input-user"><i class="icon-tag"></i> User</label>
        <input type="text" id="node-input-user" placeholder="user">
    </div>
    <div class="form-row">
        <label for="node-input-password"><i class="icon-tag"></i> Password</label>
        <input type="password" id="node-input-password" placeholder="password">
    </div>
    <div class="form-row">
        <label for="node-input-documentDir"><i class="icon-tag"></i> Document Directory</label>
        <input type="text" id="node-input-documentDir" placeholder="document directory">
    </div>
</script>

// ノードの説明書き
<script type="text/x-red" data-help-name="marklogic-insert">
  <p>Simple insert a json document to MarkLogic.</p>
</script>

JavascriptとHTMLをサーバ上に配置してNode-REDを再起動するとノードが追加されます。

5_NodeRED_追加ノード.png

また、このノードをフローに配置してダブルクリックすると設定タブが表示されます。ここにMarkLogicへの接続情報を設定します。

6_NodeRED_MLノード_設定.png

以上でMarkLogicへのドキュメント登録ノードが使えるようになりました。

Node-REDでMarkLogicにJSONデータを登録する簡単なフローを作る

フローを作ってみる
では、実際に追加したノードを使用してMarkLogicにJSONデータを登録するフローを作ってみましょう。
冒頭で作成したサンプルフローを元にしてみます。変換した大文字・小文字の文字列をJSONデータとしてMarkLogicに登録するフローに変えてみます。

以下に変更後のフローを記します。

7_NodeRED_MLサンプルフロー改.png

joinノードは、大文字変換と小文字変換の結果を受け取り、文字列の配列として次のノードに渡します。2つの変換処理の結果を待ち合わせて、次のノードに遷移するようにしています。

8_NodeRED_サンプル_JOINノード_設定.png

Create JSONノードはMarkLogicに登録するJSONデータと、そのURIを組み立てています。
URIは"node-red/test.json"を固定的に設定しています。
登録するJSONデータはmsg.payloadに定義しており、前のjoinノードの結果である文字列配列をそれぞれmessage1、message2としてJSONデータとしています。

9_NodeRED_サンプル_CreateJSONノード設定.png

最後に作成したMarkLogicのノードです。対象のMarkLogicの接続情報を設定します。

10_NodeRED_サンプル_MLノード設定.png

DocumentDirectoryは受け取ったJSONデータを登録するルートディレクトリです。アプリケーション毎にルートディレクトリを設定できるようにしてみました。Create JSONノードで指定したURIはこのルートディレクトリからの相対パスとなります。

デプロイして実行してみよう
フローの作成が完了したらデプロイします。デプロイは画面右上の「デプロイ」ボタンを押します。これでフローを実行できます。フローを実行するにはスタートとなるノードの左側のボタンをクリックすればOKです。

11_NodeRED_サンプル_実行ボタン.png

実行したらMarkLogicにデータが登録されているか確認してみましょう。ブラウザでQueryConsole(8000番ポート)にアクセスしてドキュメントを確認してみます。

12_NodeRED_サンプル_実行結果.png

無事、登録されています!

おわりに

今回は単純にJSONデータをMarkLogicに登録するノードを作成しましたが、もちろんMarkLogicからデータを取り出すノードを作成して、他のAPIと連携するアプリケーションも簡単に作れます。
Node-REDはIoTデバイスとの親和性も良く、様々なセンサー情報をMarkLogicに取り込んで活用するようなアプリケーションも簡単に作れるようになります。
いずれ、IoTデバイスとMarkLogicを連携するような記事も投稿したいと思っています!

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  {\rm\scriptsize #1}
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