LoginSignup
0
0

インボイス制度 覚書

Last updated at Posted at 2023-06-04

2023年1月から個人事業主となり、単なる消費者ではなくなってしまった。
インボイス制度と無縁ではなくなった為、制度の概要と生じ得る問題点、
その解消方法についてザックリ整理してみる。

インボイスとは何ぞや

売り手が買い手に対して発行する 消費税納税額の証明書 のことを
インボイス(適格請求書)と呼ぶ。
インボイスは適格請求書発行事業者として登録された 課税事業者 のみ
発行することができる。

インボイス制度は2023年10月より導入される。

従来の消費税制度が抱えていた問題点

商品価格(単位: 円) 消費税金額(単位: 円) 消費税率 買い手 売り手
1000 100 10% 売り手に対して消費税金額を渡す。 買い手から受取った消費税金額を国へ納税する。

上記に例示した表は消費税の本来のあるべき姿である。
従来制度では 免税事業者 も消費税金額を商品価格に上乗せして
請求していたが、
買い手(消費者)が負担した消費税金額は納税されることなく、
売り手( 免税事業者 )の懐に 益税 として収まっていた。

インボイス制度導入後に発生する問題

インボイス制度導入後は 課税事業者 が発行したインボイスに記載された
消費税額に基づいて納付する消費税額の計算を行う。
従来は消費税額を支払う相手が 免税事業者 や消費者であっても
仕入税額控除 が可能であった。
しかしインボイス制度下では 免税事業者 や消費者は
インボイスを発行することができない。
したがって 課税事業者免税事業者 や消費者に対して支払った消費税額は
仕入税額控除 の対象外となる。

課税事業者が免税事業者から仕入れる場合に発生する問題の解消方法

免税事業者 が7700円で仕入れた商品を11000円で 課税事業者 へ販売している場合を例に考察してみる。

区分 価額(単位: 円) 消費税率 消費税額(単位: 円)
売上高(税込み) 11000 10% 1000
仕入高(税込み) 7700 10% 700
益税額 - - 300

売手が 免税事業者 である場合、 課税事業者仕入税額控除 ができなくなる為、
1000円分コストアップが発生する。
しかし売手に対して1000円分の値下げを要求すると、 免税事業者
仕入れに際して支払う消費税額700円を負担することができなくなり、
独占禁止法による「優越的な地位の濫用」に抵触する可能性がある。
したがって売手に対して値下げを要求するのであれば、 免税事業者 にとっての
益税額300円分の値下げにとどめるのが妥当である。
(買手が売手よりも優位な立場にある場合に、その地位を利用して
売手へ不利益を与える行為は独占禁止法による「優越的な地位の濫用」として
禁じられている)

一方、取引継続の条件として 免税事業者 に対して
適格請求書発行事業者の登録を要求する場合、
売手は 課税事業者 となる為、買手は従来通り 仕入税額控除
利用することができる。
しかし売手はこれまで益税となっていた消費税額300円を納税する必要がある為、
300円分のコストアップが発生する。
したがって買手に対して300円分の値上げを要求することができ、
買手がこれを拒否した場合「優越的な地位の濫用」に抵触する可能性がある。

課税取引

消費税の課税対象となる取引を 課税取引 と呼ぶ。
以下4点の要件を全て満たす取引が課税対象となる。

  1. 日本国内において
  2. 事業者が行う
  3. 対価を得た
  4. 資産の譲渡・貸付やサービスの提供

不課税取引

消費税の課税要件を満たさない取引を 不課税取引 と呼ぶ。
以下に不課税取引に該当する取引を例示する。

  • 国外での取引
  • 消費者がたまたま行った取引
  • 給料
  • 保険金
  • 配当
  • 贈与
  • 寄付
  • 税金

非課税取引

消費税の課税要件を満たすが、消費という概念になじまないもの、
あるいは社会政策としての配慮から課税対象としていない取引を
非課税取引 と呼ぶ。
以下に非課税取引に該当する取引を例示する。

  • 土地の売買や貸付
  • 居住用の建物の貸付
  • 医療機関での保険診療
  • 有価証券や債権の売買
  • 利子
  • 学校教育の授業料・教科書代

免税取引

以下に例示するような、出発点は国内だが相手先が国外の事業者である為、
消費税の税率を0とする取引を 免税取引 と呼ぶ。

  • 輸出売上
  • 国際線の航空券の運賃

課税事業者

基準期間の課税売上高が1000万円を超える事業者
消費税の申告・納税の対象となる。
この条件に該当し消費税を納付する義務を持つ事業者を 課税事業者 と呼ぶ。

仕入れ消費税が売上げ消費税より多い場合、確定申告時に消費税の申告をすることで
差額の還付を受けることができる。

免税事業者

基準期間の課税売上高が1000万円以下の事業者
消費税の申告・納税の対象とならない。
この条件に該当し消費税を納付する義務を持たない事業者を 免税事業者 と呼ぶ。

確定申告時に消費税の申告をすることができない為、
仕入れ消費税が売上げ消費税より多い場合、差額の還付を受けることができない。
ただし 後述する手続き を行い、あえて 課税事業者 となって
消費税の申告を行うことで差額の還付を受けることもできる。

免税事業者が課税事業者になる方法

課税期間の初日の前日までに税務署へ 消費税課税事業者選択届出書 を提出すると
本来は 免税事業者 に該当する事業者であっても 課税事業者 となることができる。
逆に 課税事業者 から 免税事業者 へ戻る場合には、課税期間の初日の前日までに
税務署へ 消費税課税事業者選択不適用届出書 を提出することで
免税事業者 へ戻ることができる。
ただし 免税事業者 があえて 課税事業者 となることを選んだ場合、
課税事業者 となった課税期間の初日から2年を経過した課税期間の初日以降でないと
消費税課税事業者選択不適用届出書を提出することはできず、
少なくとも2年は 課税事業者 を続けなければならない。

仕入税額控除

二重三重に消費税が発生することを防ぐ目的で、事業者が
仕入れに際して支払った消費税額を売上げに際して受け取った消費税額から
控除することが認められている。
これを 仕入税額控除 と呼ぶ。

消費税 説明
仕入れ消費税 事業者が仕入れに際して支払った消費税金額
売上げ消費税 事業者が売上げに際して受け取った消費税金額
事業者が納付する消費税 売上げ消費税 - 仕入れ消費税

参考資料

  • 2時間で丸わかり インボイスと消費税の基本を学ぶ(吉澤大著 かんき出版)
0
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
0
0