はじめに
この投稿は、ソフトウェアエンジニア中島聡さんの有料メルマガ『週間Life is beautiful』のFAQコーナーでエンジニアのキャリア相談をした際に、回答頂いた内容で「いいな」と思ったものを紹介するものです。メルマガの内容を転載することは、中島さんご本人からメルマガを通して承諾済みです。
対象読者
未経験からITエンジニアへのキャリアチェンジを考えている人
中島聡さんとは?
日本で有名なソフトウェアエンジニアといえば、Rubyのまつもとゆきひろさん、元ライブドアのCTO(アルファブロガー)の小飼弾さん。辺りの名前が挙がると思いますが、僕が10年近く追いかけているのは、MS本社でWindows95やIEの設計をした中島聡さんです。IT業界では知る人ぞ知る存在でしたが、マイクロソフト時代に身につけたロケットスタートの仕事術(著者曰く、”界王拳”)を紹介したビジネス書「あなたの仕事はなぜ終わらないのか?」が10万部越えのベストセラーとなり、今ではIT業界以外の人たちからも認知されています。
中島さんを知ったきっかけ
2011年に中島さんが出版された『エンジニアとしての生き方』は当時22歳の自分にとって衝撃でした。「こんな世界を覗いてみたい」それ以来、中島さんの有料メルマガ(週刊Life is Beautiful)を長年にわたって購読し、最近ではほぼ毎週、質問を送っています。2018年夏に「アラサー未経験からフリーランスエンジニアになる方法」について質問、回答を頂きました。未経験からフリーランスエンジニアへの道のりを模索していて、同じような悩みを持っている方の参考になればと思ったので共有します。
筆者の質問
私は今30歳です。IT系の専門学校を卒業後日本の中小のSlerで5年働きましたが、そのほとんどが社内SEをしていたので開発経験がありません。しかもその後東南アジアでITと関係のない仕事に就いていましたから、実質0からプログラミング言語を学ぶことになります。プログラミング学習に関して、今はネット上の学習環境が整っているので学習自体はそれほど心配していませんが、問題はフリーランスとして活動できるようになるまでのプロセスです。
転職サイトやエージェントを通じて、未経験からフリーランスになる道のりを相談すると、"未経験者可の企業に勤務してプログラマーとしての数年実務経験を積むこと"が条件に上がります。正直、今から開発の現場に入って2~3年費やすよりは自学自習でプログラミングをバリバリ勉強して成果物を待って売り込んだり、ブログ(→派生して書籍)で発信した方が将来性に繋がりそうな気がしています。エンジニアとしてのキャリアプランについて中島さんのご意見をお聞かせ頂けると幸いです。場所にとらわれない働き方、は今後も若い世代を中心に注目されるでしょうし、それを比較的実現しやすい職種がソフトウェアエンジニアだと思っています。
中島さんの回答
フリーランスとして認められるには、大きく分けて2つのアプローチがあります。一つは、実際のプロジェクトで実績を上げて、また一緒に働きたいと思ってくれる人を一人づつ増やすこと。でもこれは、最初の取っ掛かりが難しいのです、必ずしも誰でも使える方法ではありません。2つ目は、オープンソースプロジェクトやブログでネット上の自分のプレゼンスを徐々に高めていく方法。Stackoverflow や Qiita も活用して自分の宣伝をしている人も大勢います。コードは嘘をつかないので、ここで良い仕事をすれば、それを履歴書代わりに活用することが可能になります
追記:2018/12/01 「アラサー未経験からのエンジニア転職②」
他のメルマガ購読者の方からとても良い質問がありましたので、転載します。「ポテンシャル採用が難しい年齢からWeb業界に転職するにはどうすればいいのか」
質問②
初めて質問させていただきます。30代におけるエンジニアへの転向方法を教えていただきたいです。
現在経営コンサルタントをしておりまして、企業におけるAI活用(分析モデル作成と検証)や、RPA導入を支援した経験があります。その中で、導入支援ではなく、自分で技術を作り出したいという思いを強く持ちました。
もう30代ではありますが、自分がやるんだという強い思いがあれば絶対できると考えています。とは言え、年齢の影響かエンジニアのポテンシャル採用のようなポジションは中々見つからない現状です。
自分でアプリを作り出すとか、あるいは大学で研究するといった方法が良いのでしょうか。アドバイスいただければ幸いです。
中島さんの回答
30歳を過ぎたからと言って、エンジニアへの転向が無理などと言うことはないので、そこは心配しないでください。プログラミングをするのに必須な数学さえしっかりと抑えておけば、やる気次第でいくらでも伸びることが出来ます。
ポテンシャル採用のようなものがないのは事実ですが、まずはソフトウェアを主たるビジネスをする企業に、なんらかの形で潜り込み、そこで環境を活用して勉強し、転籍するというのは悪くない戦略だと思います。
実際、Microsoft 時代にも、テスターや、カスタマー・サポート・スタッフとしてまずは Microsoft の社員になり、そこから勉強してソフトウェア・エンジニアになった人たちが何人もいました。
追記:2019/01/18 「フィードバック:他職種でのWeb企業入社について」
先日、日本のそこそこ有名なWEB企業と面接し、質問②の回答を参考にして
「実務未経験だが、Webエンジニア志望。まず他の職種を経験してその後Web開発に転向したい」という旨を伝えました。結果通らなかったのですが、その際に「(意図的に)そういったキャリアを積んだ人の事例がほとんどなく、ミスマッチ」というフィードバックを受けました。入社したい企業がある場合、「他職種から転向した事例はあるか?」「なかった場合そういった人材を受け入れることについてどう思うのか?」を事前ヒアリングしておくといいかもしれません。
追記:2019/2/12 「4月からフリーランスになります」
先日、フロントエンド(Next.js)の受託開発案件に参画することが決まりました。4月から念願のフリーランスエンジニアです。きっかけはTwitterを経由して知り合った方からの紹介です。最初は正社員で実務経験を1年積んでからと思っていましたが、フォローしてくれる方と知り合いました。Twitterで学習内容を発信したり、オフ会を主催していたのが目に留まったようです。
以上です。今後もエンジニアのキャリアについて参考になる内容があれば、追加していきます。