はじめに
私は株式会社テンダのジーワナと申します。前回の記事では私の背景や照会と「オフショア開発になくてはならないモノ」について述べておりますのでご興味ある方は下記のリンクからご確認お願いいたします。
前回投稿した記事ではオフショア開発を成功するために必要となるチーム体制について主にお話ししました。世界的にグローバル化が進んでいる中、「ブリッジSE」は日本にとって必要とされているIT人材で、比較的新しい職種でもあり、具体的にどのような仕事であるか分からない人も多いと思いますが、オフショア開発を成功させるためにどのような体制でどのような役割を果たせばよいのかをこの記事でお話しさせていただきます。
<前回投稿した記事:「オフショア開発になくてはならないモノ」、
[リンク](https://qiita.com/Jeewana/items/41d453ab3a371802bb)
1. ブリッジSEとは
ブリッジSEとは、Bridge System(Software)Engineerの略BridgeSEを日本語にした場合の言葉になります。ブリッジSEは基本的にオフショア開発において核となるリソースであり、具体的にはブリッジSEはSystem Engineer(SE)であり、日本とオフショア開発先の開発チーム間の日本語でのコミュニケーションを実施する目的で生まれた職種でありますが、現状のブリッジSEは単なるSE+通訳ではなく日本語が堪能であることに加え、両チーム間のソフトウェア開発に関するすべての情報をコミュニケーションするため架け橋となるとても重要なリソースとなります。
2. 従来のブリッジSEの役割
ブリッジSEはオフショア開発先にいる現地のSEが担当するケースもあれば、オフショア元となる日本のSEが担当するケースもあります。従来のオフショア開発はコスト削減が目的であるため余程の理由がない限り、コスト面を比較しオフショア開発先側のSEを担当することが多いです。
従来のブリッジSEは日本とオフショア開発先間の言葉の壁を越えてオフショア開発を円滑に行われるために以下の専門的な役割を果たしています。
言語の壁を越える:プロジェクトに関する説明をオフショア開発先のチームに分かる言語で説明する。
文化的な違いの意識合わせ:オフショア開発両国間での文化や風習などについてもお互い認識させるための架け橋となる。
PM役割:プロジェクトの希望やブリッジSEのスキルによってはプロジェクトマネージャーの役割も兼務する場合が多いです。
3. 従来のブリッジSEの場合の課題
上記で説明した役割を果たせるブリッジSEがいてもオフショア開発が失敗するケースが多いのは何故でしょうか?
ブリッジSEがオフショア開発先側にいる場合の課題、
日本側が作成する開発に関する資料は、日本人であれば理解できる部分が省略されており、正しく理解するため「行間を読む」能力が必要です。
日本に育っていないと得られない文化、風習、商習慣や考え方などの知識が必要ですが日本に数年しか住んでいない、場合によっては日本に一回でも来た事もない、外国のブリッジSEが学んだ知識で身につけられることではありません。
オフショア開発においてこのように隠れた課題が原因で失敗したケースが多数ありますが、それらの課題を対策しオフショア開発を確実に成功させる方法を以下の4~5のトピックで説明させていただきます。
4. オフショア開発体制
先に挙げたオフショア開発先のブリッジSEを使った場合の課題を解決する具体的なやり方を以下の通りです。
最も重要なポイントは課題説明で挙げた日本人しか分からない部分を理解しオフショア開発先側のブリッジSEに説明することです。この役割は日本側の開発チームのメンバーが兼務することも考えられますが、期待する結果が得られない可能性が高いです。そこで日本側でもブリッジSEを立て、以下のような体制を作る必要があります。
本体制では従来のオフショア開発でのコストメリットは大幅に消えてしまうと思うかもしれませんが、日本側のブリッジSEを入れることにより、日本側のブリッジSEが同時に海外のオフショア開発先チームを複数コントロールすることでコスト削減と日本でのITリソース不足を同時に解決できると思います。
具体的には以下の2つの大きなメリットがあります。
1. 従来のやり方で最終的に期待された結果が出なかった、などで発生する予想以外の工数や納期の延長などに関する経費を削減できる
2. 日本側のブリッジSEが必ず2つ以上のオフショアチームをコントロールすることにより多くのリソース抱えることでリソースのアベイラビリティ、全体的なコスト削減とリスクヘッジにもなります
5. 両国側の本来のブリッジSE組の役割
日本側のブリッジSEも上位に説明してあるオフショア開発先側のブリッジSEと同様なシステムエンジニア(SE)の背景があるリソースとなる必要があります。そこで本来のブリッジSE組の主な役割は以下のように挙げられます。
- 日本から提供する資料や伝える開発関係情報内にある日本の文化、風習や商習慣などに関係する要件やビジネスロジックなどを背景から分かりやすくオフショア開発先側のブリッジSEに説明すると共に正しく伝わったかどうかを何度か繰り返しながら確認し情報が確実に伝わったことを保証します。
- オフショア開発先のブリッジSEからもらう資料などを日々確認し日本の開発チームに必要なレベルになるまでPDCAを回しながら改善と育成するのが重要です。 そして日本側からもらう資料や情報に関してはオフショア開発先側のブリッジSEが日々日本側と確かめながら正しく理解し自分側の開発チームに情報の漏れや遅延がないように伝えることが大事です。
- 納品物の品質、納期やスケジュールを守って全体業務を進めることに関してもブリッジSE組が力を合わせてPDCA回しながらオフショア開発先側のチームの品質改善と意識開拓をすることは長期的に作業効率上げると共にコストパフォーマンスを出すためにもとても重要です。
6. まとめ
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オフショア開発側にのみブリッジSEを置く体制を変え、日本側でもブリッジSEを置く(ブリッジSE組の)体制を作ることで、日本の文化、風習や商習慣などについての知識不足と品質、納期やスケジュールを守ことなどについての意識不足などの課題を対策すると共に長期的にPDCAを回しながらオフショア開発先側を育成することによって知識の蓄積や意識開拓ができ、オフショア開発を確実に成功できる開発チーム体制を作れるではないかと思います。
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さらに、日本側のブリッジSEが英語もできたら、ほとんどの東南アジア系の国は英語が堪能なIT系人材が多いのでオフショア開発先のブリッジSEの日本語能力の必要性もなくなり、情報を伝えるスピードが上がると共にコストパフォーマンスやチーム体制のスケーラビリティも上がります。
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また、最近までは日本になかった業種が新たに生まれたこともあり、これからは日本人のブリッジSEが日本のIT企業において欠かせない役目となることとIT系人材リソースが減っている中、日本人のブリッジSE一人がオフショア開発チーム複数名を抱えることで、日本側のIT系リソース不足問題に確実に答えることができると思います。