この記事はPythonにおけるDocker Container(コンテナ)と仮想環境の違いから各種のメリットデメリットについて記述する.
なんでコンテナや仮想環境を使うの?
仮想環境やコンテナを使用する主な理由は,アプリケーションの依存関係を管理し,開発・テスト・本番環境間での一貫性を確保するためである.
1.依存関係の管理
仮想環境
プロジェクト固有のPythonパッケージとそのバージョンを分離して管理することで、プロジェクト間の依存関係の競合を避けることができる.
コンテナ
アプリケーションとその依存関係をパッケージ化することで,異なる環境間で一貫した実行環境を提供できる.
2.環境の一貫性
仮想環境
異なる開発者間や,開発・テスト・本番環境間で同じPython環境を共有できる.
コンテナ
コンテナ化されたアプリケーションは,異なるシステム上で一貫して動作する.これにより,「開発環境では動作するが、本番環境では動作しない」といった問題を避けることができる.
3.複数プロジェクトの管理
仮想環境
プロジェクトごとに独立した仮想環境を作成することで,プロジェクト間の干渉を避けることができる.
コンテナ
各アプリケーションをコンテナ化することで,複数のアプリケーションを同じホストシステム上で実行できる.
Docker Containerとは?
Dockerについて詳しくはこちらの記事で
アプリケーションとその実行に必要なすべての依存関係を含む軽量な,スタンドアローンの実行可能パッケージ.
ある入れ物(コンテナ)の中に
OS
依存関係
ミドルウェア
アプリケーション
が入っており,これでアプリケーション単位での依存関係(パッケージ,フレームワーク,ライブラリ)の管理が可能になる.
Python Virtual Environment(仮想環境)とは
Pythonプロジェクト用に独立した環境を作成するためのツール.仮想環境を使用することで,プロジェクト固有のPythonバージョンとパッケージを分離して管理することができる.
この二つを比較すると...一見違いはないのかもしれないが実は結構違う.
1.目的の違い
Docker Container
アプリケーションとその依存関係をパッケージ化し,異なる環境間で一貫した実行環境を提供することを目的としている.
仮想環境
主にPythonプロジェクト間でパッケージの依存関係を分離し,プロジェクト固有の環境を作成することを目的としている.
2.分離レベルの違い
Docker Container
オペレーティングシステムレベルで分離されており,各コンテナは独自のファイルシステム,プロセス空間,ネットワークインターフェースを持っている.
仮想環境
Pythonパッケージとそのバージョンのみを分離する.仮想環境間でオペレーティングシステムのリソースは共有される.
3.リソース使用量の違い
Docker Container
各コンテナはオペレーティングシステムのリソースを分離して使用するため,仮想環境よりもリソース使用量が多くなる傾向がある.
仮想環境
Pythonパッケージのみを分離するため,Dockerコンテナと比較してリソース使用量は少なくなる.
4.構成の違い
Docker Container
Dockerfileを使用コンテナの構成を定義し,イメージをビルドして、そこからコンテナを作成する.
仮想環境
通常,venvやvirtualenvなどのツールを使用して仮想環境を作成し,requirements.txtファイルを使用してパッケージの依存関係を管理する.
違いをまとめると...
Docker Containerはアプリケーション全体の実行環境を分離・パッケージ化するのに対し,仮想環境はPythonプロジェクトのパッケージ依存関係を分離するために使用される.プロジェクトの要件に応じて,適切な方法を選択することが重要である.
Docker Containerの作成方法
こちらの記事を参考にしてほしい
Python仮想環境の作成方法
仮想環境の作成
python -m venv myenv
仮想環境の有効化(Linux / Mac)
source myenv/bin/activate
仮想環境の有効化(Windows)
myenv\Scripts\activate