みなさん開発捗っていますか?私個人の意見ですが,開発する上で基本的なコンピューターサイエンスの知識付けは必要だと思います.皆さんはITエンジニアとしてどのくらいの知識が必要だと思いますか?コンピュータのシステムからアルゴリズム,データベースといった技術基盤からマネジメントやIT戦略なども必要な知識になるでしょう.これを網羅するための資格がいろいろあります.日本における代表的なIT資格として、基本情報技術者試験と応用情報技術者試験が挙げられます。これらの資格は、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する情報処理技術者試験の一部であり、IT業界で広く認知され、高く評価されています。
そこで,本記事は「情報処理技術者試験合格への道」としてシリーズ化しようと思います.このシリーズではITパスポート試験(IP),情報セキュリティマネジメント試験(SG),基本情報技術者試験(FE),応用情報技術者試験(AP)で出てくる語句を単語帳のように列挙する記事にしようと思います.ぜひ試験前に確認したり,単語がどの試験レベルなのかをチェックしたりしてください.ベースとして応用情報技術者試験に出てくる単語をメインに紹介し,単語ごとにどの試験に出やすいかを記載しようと思います.
私も高度試験勉強中の身なので合格目指して一緒に頑張りましょう!
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- レベル1
- ITパスポート試験(IP)
- レベル2
- 情報セキュリティマネジメント試験(SG)
- 基本情報技術者試験(FE)
- レベル3
- 応用情報技術者試験(AP)
- レベル4
- 高度試験(ST,SA,PM,NW,DB,ES,SM,AU)
- 情報処理安全確保支援士試験(SC)
ITパスポート試験(Information Technology Passport Examination)
ITパスポート試験は,ITを利活用するすべての社会人・これから社会人となる学生が備えておくべき、ITに関する基礎的な知識が証明できる国家試験である.ITという名前はついているが,テクノロジー系の問題がよく出るというわけではなく,マネジメント系やストラテジ系の問題からも幅広く出題される.
ITスキル標準のレベル2の基本情報技術者試験に比べてストラテジ・マネジメントの出題が多く見受けられる.エンジニアとして幅広いコンピューターサイエンスを学ぶ試験というより幅広くITを利活用するための知識が求められている試験である.そのためテクノロジ系ではエンジニアに必要な知識レベルではないがこれからの社会でITを使う側の知識レベルでは十分な難易度と言えるだろう.
概要
- ITスキル標準のレベル1に相当する,
- 情報処理技術者試験の入門レベルの試験である,
- 随時(CBT方式)で実施される,
- 試験形式: 多肢選択式100問(120分),
100問と記載してはいますがそのうち92問が採点対象,8問はダミー問題という扱いです.
- 合格基準: 92問中6割以上正解
出題範囲
-
ストラテジ系(35問)
- 企業と法務(企業活動, 法務)
- 経営戦略(経営戦略マネジメント, 技術戦略マネジメント)
- システム戦略(システム戦略, システム企画)
-
マネジメント系(20問)
- 開発技術(システム開発技術, ソフトウェア開発管理技術)
- プロジェクトマネジメント
- サービスマネジメント
-
テクノロジ系(45問)
- 基礎理論(基礎理論, アルゴリズムとプログラミング)
- コンピュータシステム(コンピュータ構成要素, システム構成要素)
- 技術要素(ヒューマンインタフェース, マルチメディア, データベース, ネットワーク, セキュリティ)
学ぶ意義
-
IT基礎知識の習得
- ITの基本的な概念と用語を理解できる,
- ビジネスにおけるITの役割と重要性を学べる.
-
ビジネススキルの向上
- IT視点でのビジネス戦略や法務知識を得られる,
- プロジェクト管理の基礎を学べる.
-
キャリア形成のきっかけ
- IT業界への第一歩として活用できる,
- 非IT系の職種でもIT知識を活かせる可能性が広がる.
-
上位資格へのステップ
- 基本情報技術者試験など、より専門的な資格へのベースとなる.
-
就職活動での優位性
- 新卒採用時に評価される場合がある,
- IT関連の業務に携わる際の基礎能力の証明になる.
情報セキュリティマネジメント試験(Information Security Management Examination)
情報セキュリティマネジメントの計画・運用・評価・改善を通して組織の情報セキュリティ確保に貢献し、脅威から継続的に組織を守るための基本的なスキルを認定する試験.(IPA公式サイトから引用)
情報セキュリティマネジメント試験ではITパスポートとは違って,ITを使う側全般ではなく,情報システム利用部門における情報セキュリティリーダー向けの試験となる.つまりITスキル標準のレベル2に相当する試験であるため,セキュリティ分野をはじめとした全体の問題の難易度は上昇している.基本情報技術者試験とは違って,エンジニアとしての幅広い知識を体系的に得るわけではなく,ITを利用する側でのセキュリティの専門家としての知識を得ることができる.
概要
- ITスキル標準のレベル2に相当する,
- 情報セキュリティマネジメントに特化した試験である,
- 随時(CBT方式)で実施される,
- 試験形式:
- 科目A: 多肢選択式48問(90分),
- 科目B: 多肢選択式12問(90分),
- 合格基準:
科目A,科目B同時に採点され,1000点満点中600点以上の取得
出題範囲
科目A試験では試験の要であるセキュリティから30問程度,セキュリティ関連法務やインシデント管理から4問程度,その他関連技術(NW,DB,システム構成要素)から16問程度出題される.
科目B試験では情報セキュリティ管理の応用を問う問題が計12問出題される.
-
セキュリティ管理
- 情報セキュリティポリシー
- リスクマネジメント
- 情報セキュリティ継続
-
セキュリティ技術
- ネットワークセキュリティ
- アプリケーションセキュリティ
- 暗号技術
-
関連法規
- 情報セキュリティ関連法規
- 個人情報保護法
- 不正アクセス禁止法
-
インシデント管理
- インシデント対応
- 事業継続計画(BCP)
- ディザスタリカバリ
-
関連技術
- ネットワーク
- データベース
- システム構成要素
学ぶ意義
-
セキュリティ意識の向上
- 組織全体のセキュリティレベル向上に貢献できる,
- 日常業務におけるセキュリティリスクの認識が深まる.
-
キャリアアップの機会
- 情報セキュリティ専門家としてのキャリアパスが開ける,
- IT部門でのセキュリティ関連の役割を担える可能性が高まる.
-
実務能力の向上
- セキュリティインシデントへの対応力が身につく,
- セキュリティポリシーの策定や運用に関わる能力が養える.
-
法令遵守の徹底
- セキュリティ関連法規への理解が深まり、コンプライアンス意識が向上する.
-
ビジネス価値の向上
- 組織の情報資産保護に貢献し、ビジネスリスクの軽減につながる,
- 顧客や取引先からの信頼性向上に寄与する.
基本情報技術者試験(Fundamental Information Technology Engineer Examination)
ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な基本的知識・技能をもち、実践的な活用能力を身に付けた者を対象者とした試験.ITエンジニアの登竜門と呼ばれている.(IPA公式サイトから引用)
ITパスポートと比較してテクノロジ系の問題の割合が増えた.基本情報技術者試験では基本的知識・スキルを有し,一定程度の難易度又は要求された作業について,その一部を独力で遂行できることが求められているためである.さらに上位の試験を解く際に必要な知識の基礎が集約しているため,初めて幅広い体系的なコンピューターサイエンスを勉強するにあたってはもってこいの試験となる.
概要
- ITスキル標準のレベル2に相当する,
- 情報処理技術者試験の中核的な試験である,
- 随時(CBT方式)で実施される,
- 試験形式:
- 科目A: 多肢選択式60問(90分),
- 科目B: 多肢選択式20問(100分),
- 合格基準:
- 科目A: 60%以上の正答率,
- 科目B: 60%以上の正答率,
- 両方の基準を満たす必要がある.
出題範囲
-
テクノロジ系(41問)
- コンピュータシステム(ハードウェア, ソフトウェア, システム構成)
- アルゴリズムとプログラミング(データ構造, アルゴリズム設計, プログラミング言語)
- データベース(データベース設計, SQL, トランザクション処理)
- ネットワーク(通信プロトコル, ネットワーク構成, セキュリティ)
- セキュリティ(情報セキュリティ, 暗号化技術, ネットワークセキュリティ)
-
マネジメント系(7問)
- プロジェクトマネジメント(プロジェクト計画, リスク管理, 品質管理)
- サービスマネジメント(ITIL, SLAの基礎)
-
ストラテジ系(12問)
- 企業と法務(知的財産権, 個人情報保護法, 労働関連法規)
- 経営戦略(経営戦略手法, マーケティング)
- システム戦略(情報システム戦略, 業務プロセス)
科目B試験は
第1問-第16問 プログラミングとアルゴリズム
第17問-第20問 情報セキュリティ
の構成となっている。
そのためITエンジニアでテクノロジ分野をよく理解している人なら勉強しやすい範囲ではあるが、そうでない方からするとなかなか手強い問題になりそう...
そのため基本情報技術者試験では科目Bの勉強をいかにするかがキーになりそうである
学ぶ意義
-
IT業界での基礎的な能力証明
- 幅広いIT知識を有することを客観的に示せる,
- エントリーレベルのIT専門家として認識される,
- システム開発や運用の基礎的な知識を証明できる.
-
企業での評価
- 多くのIT企業で新入社員の必須資格となっている,
- 非IT企業でもIT部門への配属や昇進の条件として重視される,
- 社内でのIT関連プロジェクトへの参加機会が増える.
-
キャリアアップへの足がかり
- 応用情報技術者試験など上位資格へのステップとなる,
- IT業界でのキャリアパスを明確化できる.
-
自己啓発とスキル向上
- 体系的なIT知識の習得により、実務能力の向上につながる,
- 最新のIT技術トレンドを学ぶ機会となる,
- 継続的な学習習慣の形成に役立つ.
-
就職・転職市場での優位性
- 採用選考時に有利に働く,
- IT関連職種への転職時に強みとなる,
- フリーランスとして仕事を獲得する際の信頼性向上につながる.
応用情報技術者試験(Applied Information Technology Engineer Examination)
ITを活用したサービス、製品、システム及びソフトウェアを作る人材に必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者を対象とした試験.(IPA公式サイトから引用)
応用情報技術者試験は基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し,独力で次のいずれかの役割を果たすことが求められる試験.難易度は基本情報技術者試験から上がっている.特にテクノロジ分野ではシステム開発に必要な知識が深く問われている.さらに応用情報技術者試験では戦略立案,コンサルティング,プロジェクトマネジメントといった上流工程に必要なスキルも重視しているため,コンピューターサイエンスの基礎理論やシステム開発の実務での活用からコンサルティングやマネジメントの具体的な手法まで幅広く深い知識が求められている.
概要
- ITスキル標準のレベル3に相当する,
- 基本情報技術者試験の上位試験である,
- 年2回(春(4月)・秋(10月))実施される,
- 試験形式:
- 午前: 多肢選択式80問(150分),
- 午後: 記述式5問(150分)(セキュリティ分野必答1問とその他選択4問)
- 合格基準:
- 午前: 60%以上の正答率,
- 午後: 60%以上の得点率,
- 両方の基準を満たす必要がある.
出題範囲
午前問題は以下の出題範囲である。
-
テクノロジ系(50問)
- システム開発技術(要件定義, 設計手法, テスト技法)
- ソフトウェア開発管理技術(開発プロセス, 品質管理, 構成管理)
- データベース(正規化, トランザクション管理, パフォーマンスチューニング)
- ネットワーク(ネットワークアーキテクチャ, プロトコル設計, セキュリティ設計)
- 情報セキュリティ(リスク分析, セキュリティポリシー, 暗号技術)
-
マネジメント系(10問)
- プロジェクトマネジメント(スコープ管理, スケジュール管理, コスト管理, リスク管理)
- サービスマネジメント(ITIL詳細, SLA管理, インシデント管理)
-
ストラテジ系(20問)
- 企業と法務(IT関連法規, 知的財産権管理, コンプライアンス)
- 経営戦略(事業戦略, マーケティング戦略, 技術戦略)
- システム戦略(IT戦略立案, システム企画, 業務改革)
午後問題の問題は以下のような構成である.
第1問(必答)情報セキュリティ
第2問(選択)経営戦略
第3問(選択)プログラミング
第4問(選択)システムアーキテクチャ
第5問(選択)ネットワーク
第6問(選択)データベース
第7問(選択)組込みシステム開発
第8問(選択)情報システム開発
第9問(選択)プロジェクトマネジメント
第10問(選択)サービスマネジメント
第11問(選択)システム監査
学ぶ意義
-
高度なIT知識とスキルの証明
- 基本情報技術者試験よりも深い技術的知識を有することを示せる,
- システム設計や開発プロジェクトでのリーダーシップ能力を証明できる,
- 複雑なITシステムの分析と問題解決能力を示せる.
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キャリアアップの足がかり
- IT業界でのミドルマネジメント層への昇進に有利,
- 高度な専門資格(データベーススペシャリスト, ネットワークスペシャリストなど)取得への基盤となる,
- ITアーキテクトやプロジェクトマネージャーなどの上級職へのステップアップに役立つ.
-
実務能力の向上
- システム開発の全工程(要件定義から運用保守まで)を理解し実践できる,
- プロジェクトマネジメントスキルを向上させ、効率的なチーム運営が可能になる,
- 最新のIT技術トレンドや方法論を学び、実務に適用できる.
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ビジネス視点の強化
- IT戦略と経営戦略の関連性を理解し、経営層とIT部門の橋渡し役となれる,
- コスト管理やリスク分析など、ビジネス面での判断力が向上する,
- 法務やコンプライアンスの知識を深め、適切な意思決定ができる.
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市場価値の向上
- IT関連職種での転職や昇進時に高く評価される,
- フリーランスとして高度な案件を獲得する際の信頼性向上につながる,
- 国際的にも通用する IT スキルの証明となり、グローバルな活躍の機会が広がる.
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自己啓発と継続的学習
- 幅広い IT 分野の知識を体系的に学ぶことで、総合的な技術力が向上する,
- 常に変化する IT 業界のトレンドをキャッチアップする習慣が身につく,
- 問題解決能力や論理的思考力が鍛えられ、様々な場面で応用できる.
高度試験と支援士試験
本シリーズでは応用情報技術者試験までの単語の網羅を想定しているが,高度試験の基礎にもなるのでぜひ活用してほしい.高度試験は午前I試験,午前II試験,午後I試験,午後II試験(情報処理安全確保支援士なら午後試験は1種類のみ)で構成されている.特に午前I試験については応用情報技術者試験と同じレベル,範囲から出題される.
午前I試験は応用情報技術者試験取得,高度試験取得,支援士試験取得,高度試験や支援士試験の午前I試験で基準点以上をとってから2年間は免除される
概要
- ITスキル標準のレベル4に相当する,
- より専門的な知識と実践的なスキルを評価する,
- 特定の職種や役割に特化した内容を扱う.
高度試験・支援士試験の種類
a. ITストラテジスト試験(ST)
- IT戦略の立案と実行に関する能力を評価,
- ビジネス戦略とIT戦略の統合に焦点.
b. システムアーキテクト試験(SA)
- システム全体の設計と最適化能力を評価,
- 複雑なシステムの構造設計に重点.
c. プロジェクトマネージャ試験(PM)
- IT プロジェクトの管理と遂行能力を評価,
- リスク管理やステークホルダー管理も含む.
d. ネットワークスペシャリスト試験(NW)
- ネットワーク設計と構築、運用管理能力を評価,
- セキュリティやパフォーマンス最適化も対象.
e. データベーススペシャリスト試験(DB)
- データベース設計、構築、運用管理能力を評価,
- データモデリングやパフォーマンスチューニングを含む.
f. エンベデッドシステムスペシャリスト試験(ES)
- 組込みシステムの設計と開発能力を評価,
- ハードウェアとソフトウェアの統合に関する知識も要求.
g. ITサービスマネージャ試験(SM)
- ITサービスの設計、運用、改善能力を評価,
- ITILなどのベストプラクティスの理解と適用が重要.
h. システム監査技術者試験(AU)
- システムの適切な運用、管理、セキュリティ維持を評価
- システムの適切な監査方法の知識と応用が要求される
i. 情報処理安全確保支援士試験(SC)
- 情報セキュリティに関する高度な知識と実践力を評価,
- セキュリティ戦略の立案や対策の実施能力を問う.
本シリーズでは高度試験や支援士試験の試験内容を記載することは省略するが,ぜひチャレンジして欲しい試験である.
どの試験の難易度から始めていけばいいか見通しはつきましたか?次回から実際に基礎理論から語句の紹介を始めていくので勉強を進めていきながらどの試験を受ければいいかを決めていき,一緒に勉強頑張っていきましょう!