本記事ではvimのデフォルト操作方法について記載するものとする.
Vimとは
高度にカスタマイズ可能なテキストエディタ.Vi IMproved(Viの改良版)の略称で、元々のViエディタを拡張し、多くの機能を追加したものである.コマンドラインインターフェース(CLI)で動作し、効率的なテキスト編集を可能にする。
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Vimが使われる場面
Vimは以下のような場面で広く使用されている:
- プログラミング: 多くのプログラマーがコード編集に使用する。
- サーバー管理: リモートサーバーでのファイル編集に適している。
- 設定ファイルの編集: システム設定ファイルの編集によく用いられる。
- テキスト処理: 大量のテキストデータの処理や編集に効果的だ。
- 論文や文書作成: LaTeXなどと組み合わせて学術論文の作成に使用される。
Vimのモード
Vimには複数のモードがあり、各モードで異なる操作が可能である
-
ノーマルモード:
- デフォルトのモードで、様々なコマンドを実行できる
- カーソル移動、テキスト操作、他のモードへの切り替えが可能だ
-
挿入モード:
- テキストを入力するためのモードである
- ノーマルモードから
i
、a
、o
などのキーで入る
-
ビジュアルモード:
- テキストを選択するためのモードだ
- 文字単位、行単位、矩形選択が可能である
-
コマンドラインモード:
- 画面下部にコマンドを入力して実行するモードである
- ファイルの保存、終了、検索、置換などの操作を行う
-
Ex(イーエックス)モード:
- 複数のコマンドを連続して実行するためのモード
-
:visual
コマンドでノーマルモードに戻る
-
置換モード:
- 既存のテキストを上書きするモードである
- ノーマルモードから
R
キーで入る
Vimの全操作
モード切替
ノーマルモードへの切替
-
Esc
: 他のモードからノーマルモードに戻る。
挿入モードへの切替
-
i
: カーソル位置の前に挿入する。 -
a
: カーソル位置の後に挿入する。 -
I
: 行頭に挿入する。 -
A
: 行末に挿入する。 -
o
: カーソル行の下に新しい行を挿入する。 -
O
: カーソル行の上に新しい行を挿入する。
ビジュアルモードへの切替
-
v
: 文字単位で選択する。 -
V
: 行単位で選択する。 -
Ctrl+v
: 矩形選択する。
コマンドラインモードへの切替
-
:
: コマンドラインモードに入る。
Ex(イーエックス)モードへの切替
-
Q
: Exモードに入る。
置換モードへの切替
-
R
: 置換モードに入る。
カーソル移動
基本的な移動
-
h
: 左に移動する。 -
j
: 下に移動する。 -
k
: 上に移動する。 -
l
: 右に移動する。
単語単位の移動
-
w
: 次の単語の先頭に移動する。 -
b
: 前の単語の先頭に移動する。 -
e
: 現在または次の単語の末尾に移動する。 -
W
,B
,E
: 空白で区切られた単語単位で移動する。
行内の移動
-
0
: 行頭に移動する。 -
^
: 行頭の最初の非空白文字に移動する。 -
$
: 行末に移動する。 -
f{char}
: 指定した文字{char}まで右に移動する。 -
F{char}
: 指定した文字{char}まで左に移動する。 -
t{char}
: 指定した文字{char}の手前まで右に移動する。 -
T{char}
: 指定した文字{char}の手前まで左に移動する。
ページ単位の移動
-
Ctrl+f
: 1画面下にスクロールする。 -
Ctrl+b
: 1画面上にスクロールする。 -
Ctrl+d
: 半画面下にスクロールする。 -
Ctrl+u
: 半画面上にスクロールする。 -
zt
: 現在行を画面の最上部に移動する。 -
zz
: 現在行を画面の中央に移動する。 -
zb
: 現在行を画面の最下部に移動する。
ファイル内の移動
-
gg
: ファイルの先頭に移動する。 -
G
: ファイルの末尾に移動する。 -
:n
: n行目に移動する(nは行番号)。 -
%
: 対応する括弧に移動する。
編集操作
削除
-
x
: カーソル位置の文字を削除する。 -
X
: カーソルの前の文字を削除する。 -
dd
: 現在の行を削除する。 -
D
: カーソル位置から行末まで削除する。 -
dw
: カーソル位置から単語の末尾まで削除する。 -
d$
: カーソル位置から行末まで削除する。 -
d^
: カーソル位置から行頭まで削除する。 -
d0
: カーソル位置から行頭まで削除する。 -
dgg
: カーソル位置からファイルの先頭まで削除する。 -
dG
: カーソル位置からファイルの末尾まで削除する。
コピー(ヤンク)
-
yy
: 現在の行をコピーする。 -
Y
: 現在の行をコピーする(yy
と同じ)。 -
yw
: カーソル位置から単語の末尾までコピーする。 -
y$
: カーソル位置から行末までコピーする。 -
y^
: カーソル位置から行頭までコピーする。 -
y0
: カーソル位置から行頭までコピーする。 -
ygg
: カーソル位置からファイルの先頭までコピーする。 -
yG
: カーソル位置からファイルの末尾までコピーする。
ペースト
-
p
: カーソルの後にペーストする。 -
P
: カーソルの前にペーストする。
置換
-
r
: カーソル位置の文字を置換する。 -
R
: 置換モードに入る。
テキスト整形
-
>>
: 現在の行をインデントする。 -
<<
: 現在の行のインデントを減らす。 -
==
: 現在の行を自動インデントする。 -
gq
: 選択したテキストを整形する。
アンドゥとリドゥ
-
u
: 直前の操作を取り消す(アンドゥ)。 -
Ctrl+r
: 取り消した操作をやり直す(リドゥ)。
その他の編集操作
-
.
: 直前の編集操作を繰り返す。 -
J
: 現在の行と次の行を結合する。 -
gJ
: 現在の行と次の行を空白なしで結合する。 -
~
: カーソル位置の文字の大文字小文字を切り替える。 -
gU{motion}
: 指定した範囲を大文字に変換する。 -
gu{motion}
: 指定した範囲を小文字に変換する。
検索と置換
検索
-
/pattern
: 前方検索する。 -
?pattern
: 後方検索する。 -
n
: 次の検索結果に移動する。 -
N
: 前の検索結果に移動する。 -
*
: カーソル位置の単語を前方検索する。 -
#
: カーソル位置の単語を後方検索する。
置換
-
:s/old/new
: 現在の行で最初に見つかった'old'を'new'に置換する。 -
:s/old/new/g
: 現在の行のすべての'old'を'new'に置換する。 -
:%s/old/new/g
: ファイル全体のすべての'old'を'new'に置換する。 -
:%s/old/new/gc
: ファイル全体のすべての'old'を'new'に置換する(確認あり)。
ファイル操作
保存
-
:w
: 現在のファイルを保存する。 -
:w filename
: 指定したファイル名で保存する。 -
:wa
: 開いているすべてのファイルを保存する。
終了
-
:q
: Vimを終了する(変更がない場合)。 -
:q!
: 変更を破棄してVimを終了する。 -
:wq
: 保存してVimを終了する。 -
:x
: 保存してVimを終了する(:wq
と同じ)。 -
ZZ
: 保存してVimを終了する(:x
と同じ)。 -
ZQ
: 変更を破棄してVimを終了する(:q!
と同じ)。
新規ファイル
-
:e filename
: 新しいファイルを編集する。 -
:enew
: 新しい無名バッファを作成する。
ファイル情報
-
Ctrl+g
: 現在のファイル名と状態を表示する。 -
:f
: 現在のファイル名と状態を表示する。
ウィンドウ操作
画面分割
-
:sp
: 水平方向に画面を分割する。 -
:vsp
: 垂直方向に画面を分割する。 -
Ctrl+w s
: 水平方向に画面を分割する。 -
Ctrl+w v
: 垂直方向に画面を分割する。
ウィンドウ間の移動
-
Ctrl+w h
: 左のウィンドウに移動する。 -
Ctrl+w j
: 下のウィンドウに移動する。 -
Ctrl+w k
: 上のウィンドウに移動する。 -
Ctrl+w l
: 右のウィンドウに移動する。 -
Ctrl+w w
: 次のウィンドウに移動する。
ウィンドウのサイズ変更
-
Ctrl+w =
: すべてのウィンドウの高さと幅を均等にする。 -
Ctrl+w _
: 現在のウィンドウの高さを最大化する。 -
Ctrl+w |
: 現在のウィンドウの幅を最大化する。 -
Ctrl+w +
: 現在のウィンドウの高さを増やす。 -
Ctrl+w -
: 現在のウィンドウの高さを減らす。 -
Ctrl+w >
: 現在のウィンドウの幅を増やす。 -
Ctrl+w <
: 現在のウィンドウの幅を減らす。
タブ操作
-
:tabnew
: 新しいタブを開く。 -
:tabc
: 現在のタブを閉じる。 -
:tabo
: 他のすべてのタブを閉じる。 -
gt
: 次のタブに移動する。 -
gT
: 前のタブに移動する。
マクロ
マクロの記録
-
q{a-z}
: 指定した文字のレジスタにマクロの記録を開始する。 -
q
: マクロの記録を終了する。
マクロの再生
-
@{a-z}
: 指定したレジスタのマクロを再生する。 -
@@
: 最後に実行したマクロを再生する。
4.8 その他の機能
マーク
-
m{a-zA-Z}
: 現在の位置にマークを設定する。 -
'{a-zA-Z}
: 指定したマークにジャンプする。
レジスタ
-
"{a-z}y
: 指定したレジスタにヤンクする。 -
"{a-z}p
: 指定したレジスタからペーストする。
折りたたみ
-
zf
: 選択範囲を折りたたむ。 -
zo
: 折りたたみを開く。 -
zc
: 折りたたみを閉じる。
スペリングチェック
-
:set spell
: スペリングチェックを有効にする。 -
:set nospell
: スペリングチェックを無効にする。 -
]s
: 次のスペルミスに移動する。 -
[s
: 前のスペルミスに移動する。 -
z=
: スペルミスの修正候補を表示する。
差分モード
-
vimdiff file1 file2
: 2つのファイルの差分を表示する。 -
]c
: 次の差分に移動する。 -
[c
: 前の差分に移動する。