データ中心システム設計 単行本 – 1988/3 堀内 一 (著)
からザクッとデータ中心アプローチについて
#序章
データを制する者は世界を制す!
・人類がここまで進化できた決定的な理由は
他の生き物とは比べ物にならないほどの情報処理能力
人間は言葉を得、文字を得、通信を得て、記憶量、記憶時間、記憶範囲を拡大してきた。
・データ(情報)は会社や社会にとって重要な資源
・IT関係者の最終生産物はシステムではなく情報
・世の中の仕組みが激しく変化しても、データ自体はそれほど変わらない。変わるのはそのデータの扱い方
・DOAは世の中の変化に強いシステムを構築しやすい
・中心アプローチという言葉の意味
開発成果物が網の目のように関係しあう状態から核を中心に放射状に成果物が存在する形態
・インテグリティコントロール:自由さを制限すること
なんでもできる言語ほどバグやメンテナンスが大変
・ルールや規則による統制ではなく、制限する仕組みで統制する ⇒ Private属性など
・システム開発・運用における統制のフレームワーク
参考:P12より引用
統制機構:システム化のすべての作業とネットワークやデータなどすべての資源を規定
統制原理:情報システムの開発・運用に関する統制憲法
監査機構:統制機構を評価する監査基準を持つ
・情報生産活動の最終製品としての情報の多様性を吸収するために、部品としてのデータを標準化し、共有化を図る
・作り方を論ずる前に何を作るべきかを論ずるべき 何=情報 情報が規定されれば部品が明確になり、最終製品とは独立して部品作りが可能になり分業が進む
・最終製品の仕様が変化しても、その被害を受けるのは組み立て工程のみ
・データインテグリティの確保:DOAはデータと処理をカプセル化
・データ標準化の意味:不特定多数の人間の作業内容を規定するより、作業の対象となるものを規定するほうが早い
#第1章
DOAの達成レベル
・業務規程レベル
業務用件に従って、データと機能を規定する
業務が違えば、同じデータでも重複して持つ
ユーザー要件に振り回される
・資源規定レベル
データ要件に従って、業務や機能を規定する
データ要件は不変
・部品中心主義
ハードウエアの生産方式
最終製品の多様化を吸収するために部品を標準化し、共有化を図る
現在のソフトウエア部品化では業務要件の多様化には対応できない
・生産システムの標準化のアプローチ
→生産活動=作り方を規定する
設計やプログラムの標準化
主体が人間 思考に依存 思考を完全に制御できる方法はない
成果を測る基準の客観化も困難
→作るべき対象物を規定
作り方を論ずる前に何を作るべきかを論ずるべき
作るもの=情報でしょう!
データは外部の実体を表現したもの
外部の実体の特性とそれを支配する物理法則を調べることで設計が可能
・部品中心の生産形態では
部品工程を最終製品と切り離すことが一つの目的になる
最終製品と無関係に部品は部品として独立に生産可能
これにより
分業が可能、最終製品の仕様変更、多様化の影響を最小限に
#第2章
データの標準化
・目的
データの重複排除
識別可能性
認識可能性
安定性
・体系化
実体
属性
ドメイン
・DD/DS
部品表
・抽象化
特化
汎用化
is-a:継承関係
part-of:包含関係
・正規化
第1正規化:繰り返し項目の排除
第2正規化:従属関係の分離
第3正規化:導出関係の排除
#第3章
一貫性制約の組み込み
・DLCP
Data Life Cycle Process
データの 生成、更新、参照、削除 処理
・カプセル化
正規化した実体ごとにデータとDLCPと一貫性制約をカプセル化してデータ部品として共有化
カプセル化したデータ部品を抽象化機能により継承関係、包含関係で整理・体系化
・トランザクション制御
カプセル化したデータ部品の組み合わせを制御
業務依存のトランザクション制御部とデータ部品を分離することで
業務の変化を吸収
・データ制約のレベル
ドメイン制約:データごとの単位、日付や長さを表す形式ごとの制約
データ項目制約:実体ごとの制約
レコード(リレーション)制約:データ項目間の組み合わせ制約
ファイル(データベース)制約:DBMSの物理的制約
データ間制約:他のデータの制約によって影響を受ける関連制約
#第4章
DOAシステム
・業務制御クラス
対話制御クラスの組み合わせを制御してシステム業務要件を実現する
・対話制御クラス
トランザクションクラスの組み合わせを制御してUI要件を実現する
・トランザクションクラス
データ部品の組み合わせを制御してデータ要件を実現する