vPro対応PCを検証用仮想プラットフォームにする話(1)
はじめに
自宅で各種のOS検証環境を構築するために、VirtualboxやVMware Player、Hyper-V などメイン端末上のHypervisor をお使いの方も多いと思います。
この方式はメイン端末のリソースを消費するため、複数仮想マシンを同時起動するとメモリやストレージが不足する場合があります。
メイン端末から独立した仮想プラットフォームがあると自由度が高まります。
自宅に本格的なサーバーを構えている自宅ラック勢もいらっしゃると思いますが、(逸般ではない)一般の家庭では真似することは難しいです。
ここでは数回に分けてvPro対応のPCを検証環境マシンとして構築する方法をご紹介します。
vProとIntel AMT について
vProとはリモート管理機構を備えた企業向けPCのintelのブランド名です。企業のシステム管理者(シスアド)が効率よく業務用PC端末を運用管理できるような便利な機能が搭載されています。(PCとしての基本性能は変わりません)
vProに対応したPCはIntel AMT を備えています。
Intel AMT はintel CPUの世代に合わせて進化しています。第2世代(Sanday
Bridge)のCore i5/i7 CPUに対応したintel AMT Version 6.0 以降はリモートKVM機能がサポートされています。
AMTはPC上のOSからは独立して動作し、ネットワーク経由での、電源制御、ディスプレイ表示、キーボード/マウス操作、ISO形式imageファイルのマウントなどを可能にしています。各社x86サーバー機に搭載されている HPE iLO、DELL iDRAC、Cisco CIMC、富士通 iRMC などと同様のことができます
vProとintel AMTについて知るためには Internet Watch の「vProの匠」の連載がおすすめです。
vPro対応PCの活用方法
intel AMTを利用すればvPro対応PCをヘッドレス運用の簡易サーバーとしての運用が可能です。
vPro対応PCはその仕様上intel製ネットワークコントローラ(NIC)を搭載しています。VMware vSphere HyperVisor(ESXi)のinboxドライバで認識されるため、インストールして仮想プラットフォームとして利用することができます。ESXiはvPro対応PCを正式サポートしてはいませんが、私の経験では問題なく動作しています。
vPro対応PC選び方
一般消費者向けの機能ではないため、vPro対応PCを家電量販店などではあまり見かけません。
intel NUCシリーズのミニPCや大手コンピューターメーカーのビジネス向けPCにvPro対応機種を見つけることができます。
個人的にはヤフオクなどのオークションサイトで、企業リースアップ品の中古PCを狙います。
以下に代表的なvPro対応デスクトップPC機種を紹介します。
メーカー | シリーズ | 備考 |
---|---|---|
HP | EliteDesk 800 シリーズ | |
HP | ProDesk 600シリーズ | G3以降 |
DELL | OptiPlex 7000 シリーズ | |
DELL | OptiPlex 9000 シリーズ | |
富士通 | ESPROMO D900/D9000シリーズ | |
Lenovo | ThinkCentre M70/M80/M90シリーズ | モデルによって様々 |
搭載CPUの違いやBIOSによって非対応の場合があります。
カタログやメーカーサイトでvPro対応有無をチェックしてください。
中古品を狙う場合は筐体に貼られたvProシールの有無が目安になるでしょう。
自作PCの場合
vProはCPUとチップセットの内蔵機能を利用して実現されます。
対応した CPUとチップセットの組み合わせで機能します。
ざっくり言うと、intel Core i5/i7/i9 シリーズのCPUと Qシリーズチップセットの組み合わせが必要です。
正確には intel Arkサイトで確認してください。
ASUS、Gigabyte、Supermicro 社などがQ470/Q370チップセットを搭載したマザーボードを一般向けに販売しています。
ヤフオクなどには CPUが抜かれたvPro対応のPCが出品されていることがあります。これをベースにするのも良いでしょう。
次回予告
今回は前起きばかりになってしましました。
次回は実際にvPro PCを用意してセットアップを行う予定です。