はじめに
リチウムイオンバッテリーについて皆さんはご存じですかね?
それはいったん置いておくのですが,身近にある危険物って結構多いんですよね.
油断していると,「ある日突然発火」なんていうのもあり得ない話なので,結構重要な話になるかなと思います.
かくいう私も,今回題に出ていますLiPoバッテリー(以下リポバッテリー)は数回発火させていて,そのどれもが安全管理不足によるものだと分析しています.幸いけがもなく終わったのでよかったとは思っていますがね.
アナウンス
もう古い知識や誤植がある可能性もあります.自分で調べて,理論的に間違いがないと思えば実行しましょう.
お品書き
- LiPoバッテリーとは
- 特性
- NG行為
- 衝撃
- 乱雑な保管
- 電圧を確認しない
- 寝る前に充電するか!
- すごく・・・おっきいです
- 膨らんだらどーすんだよ
- バランス崩壊による放電
- どうしても飛ばしたい
- 最後に
LiPoバッテリーとは
リチウムイオンポリマー二次電池(リチウムイオンポリマーにじでんち)またはLiPo、Li-Po、リポ、リチウムポリマー、ポリマー電池は、リチウムイオン二次電池の一種である(Wikipediaより引用)
ということらしいです.
割と世間ではポリマー電池なんて呼ばれます.ゲル状のポリマー(高分子です)の電解液を使用している製品なので,結構前にはなりますが金属を容器に使っていた際とは違い,そういった制約はないです.もちろん,筒形など現在する形であればそういった金属も使われていますが.
仕組みについては,残念ながらちょっと筆者が情報系なのであんまり詳しくは言えないのですが,正極と負極をリチウムイオンが行き来することで充電・放電を実現するようになっているんです.正極と負極の間にはセパレータという無数のちっこい穴が開いた板で絶縁されてます.そんで,その中が電解液で満たされているってわけですね.
特性
他の電池と比べ非常にエネルギー密度が高いことで,そしてなおかつ効率がいいことでしょう.なので,非常に軽量にしてもある程度の電池容量が確保されます.ですので,ドローンや地を這う普通のロボットに使用されますね.
また,充放電の効率や寿命もほかの電池などと比べると非常にいいものとなってます
このグラフのバッテリーは500回が最大充電回数です.
最大充電500回までになるにはかなり緩やかなグラフを描いています.
もちろんこれ以上長寿妙なバッテリーもいくつか存在しますが,重量やエネルギー密度の関係がありますので,あまりロボットなどには向きませんね.リン酸リチウムなんはその一つだと思います.
セルについて
リポバッテリーは複数のセルがあつまり1つのバッテリーとなっています.
セルというのは,単純に小さなバッテリーという認識で問題ないです.
大体市販のバッテリーは11.1Vなどだと思いますが,そういったのは3セルで3.7V*3ということになります.汎用リポであれば,電圧を3.7で割ればセル数がわかりますね.
また,xxC(xxは製品に記載のだいたい整数)というのも大事な指標になります.
CはCapasity,日本語でいう容量ですね.サバゲーなんかではCレートなんて言います.
これは,例えば1Cと表記される2000mAhのバッテリーがあるとします.
そういったときに,1Cというのは1時間で2.0A充電すれば満充電になりますよという表記になります.
放電時でも同じです.
例えば30Cと表記される1300mAhであれば,39A放電可能ですよということになります.
NG行為
衝撃
当たり前といえば当たり前なのですが,衝撃は厳禁です.
ある程度であれば,見た目は問題ないのですが,表面に傷がついたりしますと非常に危険です.
中身は層になっていて,これが何重にも重なってバッテリーとしての体をなしています.いわゆるこれがセルといわれる中身になるのですが,そういったのがむき出しになるのは大変危険です.引きはがすなどの行為は言語同断ですね.
ドロ沼くんのマイクロドローンFPV入門より引用
こんな感じらしいですよ?そんなにごっつい金属が入ってるわけじゃないらしいです.
乱雑な保管
耐火性のケースに入れるのを忘れないでください.そして,厳重に保管しましょう.僕の知り合いでいたような気がしますが,土鍋に入れている人がいましたね.確かに燃えないかも?(いいのかはわかりませんが)
コネクタなどがショートして発火するなどが考えられるため,耐火ケースの中でもショートなどをしないように保護・養生などを行うことが必須です.
また,絶対厳禁なのが「満充電で持ち運ぶ」ということです.
必ずディスチャージャなどでストレージ電圧まで落としましょう.大体60%ぐらいがちょうどいいらしいですよ.これをしておかないと大事なロボコンで急に使えなくなるってこともありますよ.
原理
満充電(過充電も同じ原理だったはず)を維持しておくと化学反応が加速し内部が消耗してしまうのです.
電圧を確認しない
これはまずいですよ!!!
使う前には満充電になってるかは確認しましょう.万が一中身がすっからかんだったら横転してしまいますね.
また,使い切ってはいけませんよ?
リポバッテリーに良くないとされていることは何事も極端です.過充電もよくないのですが,すっからかんも同じく推奨されません.なので,センサーかなにかで常時確認するのがいいでしょう.少なくとも,テストラン1回でどのくらい減るのか,確認しておくといいですね.
寝る前に充電するか!
だめです!燃えます!
いかんですねえ~.まあ,専用の充電器とマジメなバッテリーであればほとんど問題は起きませんがね.充電管理の保護回路がついていればいいのですが,ない場合は本当に危険です.過充電で事故待ったなしです.
保護回路がついているからと言って安心してはいけません.もし,あなたたちが販売実績もないよくわからないバッテリーを使っているのなら,そこらへんのスマホなどとは違いお粗末な回路の可能性が高いので,基本的には目の届く範囲で充電することがおすすめです.というか,そうしてください.
満充電で気温が高いところに置いておくのも厳禁です.充電するときに高温になりかねないところに置くのも厳禁です.
加温されてしまい,そのうちに過充電になってしまいます.
すごく・・・おっきいです
だめです!絶対に使ってはいけません!
こんな風になった状態を大体は「妊娠」「孕んだ」「臨月」なんて表現しますが,Twitterなんかやってたら1度は聞いたことあるんじゃないですかね.
原理としては,電解液の劣化や分解によるものになります.いわゆる過充電の状態では正極が設計した際の想定量よりはるかに多くリチウムイオンを放出してしまい劣化します.また,劣化した正極の成分からは酸素も放出され,電解液が酸化分解した際にはめちゃくちゃたくさんガスが出ます.
こればっかりは過充電を防ぐしかないのですが,電池の品質や充電制御回路の品質・性能にもよりますので何ともというところでしょうか.
これはすべてのLiPoバッテリで通用する原理ではないです.LiPoバッテリの生い立ちが関係するのですが,LiPoでも中身がいろいろあるので,これはごく一般的なバッテリーの例です.
膨らんだらどーすんだよ
基本的にはJBRCによる回収かと思います.ほとんどの民生品はJBRCの会員だと思いますので,近くの量販店などの回収BOXにポイしてください.
JBRCとは?以下JBRC HPより
一般社団法人JBRCは、「資源有効利用促進法」「廃棄物処理法」に則り、充電式電池(二次電池;充電して繰り返し使える電池)の回収・再資源化を推進する団体です。
問題は非会員の場合ですね.
基本的には自治体などの処分方法に従うしかないです.
まあ結局は大体の自治体がメーカーに問い合わせろと言われるので,そうしたほうが手っ取り早いかもしれません.有償の回収業者を紹介してくれるパターンもあります.
膨らんだ際の対処法をいかに書きます.これは大概の処理業者で先にやっといてねって言われるか,業者がやってくれるかのどちらかですが,やっといて問題はないと思います.いつ発火してもおかしくないので・・・.自己責任でお願いしますね.
- 塩を買ってくる
- バケツに水と塩を入れ3-5%程の水溶液にする
- 3日くらい突っ込んで泡が出てくるのを確認する
- 処理完了
簡単ですね,これは会場に準備しておいてもいいかもしれません.
バランス崩壊による放電
これも結構大事ですね.
先ほども説明しましたが,リポバッテリーはセルが複数個で成り立っています.つまり,セルごとに劣化状況がことなり,電圧のバランスが取れなくなることを指します.
バランス放電をしようとする人が一定数いるのですが,しなくてもいいのです.
というのも,これの問題点というのはどちらかが過放電になる可能性があるというのが問題なのです.過放電を防止するために,なるだけバランスを取りましょうということなのです.
リポ専用充電器でバランス充電を行えば問題ないです.
ただ,自然放電で過放電してしまうくらいなのであれば,ストレージ電圧まで充電してもいいと思います.
バランスがどうしても整わない場合は充電器かバッテリーの問題と考えられますので,それをまずは考えましょう.
どうしても飛ばしたい!
飛ばしたいんですって?!飛ばすんですか?!
あまり好ましくはないですが,最低限の対策はしましょう.お題は仕方ないので.(ここから下は自己責任で)
こういったプラで包まれてる系のLiPoは控えましょう.こういうのはあまり耐衝撃性がないのでダメですね.こういうので衝撃を与えるとセパレータなどが破損します.正直セパレータが破損しても見た目じゃわからないので,外相判断ができません.
使うなら,こういったハードケースを使っているバッテリーを使用しましょう.
調べたらこんなのがありました.エアガン用かな?DCDC使えば12Vくらいまで上がりそうですね.リップルはあんまり気にしなくてもよさそうかな?気になるようならリニアレギュレータでもいいかもね.
https://www.gforce-hobby.jp/products/GFG007.html
またはマキタとかそういう工具系のバッテリーを使用するのも,耐衝撃性だけで考えればいいと思いますよ.あんまり褒められたことじゃない気もしますが.
あとは,ニッケル水素に変えるとかですかね?
発火の危険性がリチウムイオン電池ほど高くないので,ナシではないかとは思いますが,以下のような欠点があります.
- 自然放電が激しい
- 過放電に弱い
- 温度変化に弱い(50度超えるとバッテリーとしての性能が激落ち)
- 充電時間が長い
先ほどは酷評したような気もしますがLi-Feもいいと思います.釘刺しても大丈夫なんていう研究結果も出たりしてます.容量は大幅に減りますが・・・
最後に
安全に競技をしましょう.お気をつけて.