本記事は以下の参考文献を中心に執筆しました.さらなる説明が欲しいというような方は,そちらを一読されることを強くお勧めします.
はじめに
みなさんがクラッシック音楽を演奏するとき,どのようにして曲を理解しようとするでしょうか.いろいろな方法が考えられますね.とりあえずパート譜の通りにさらってみる,他の楽器と合わせてみる,曲を何度も聞く,etc....などなどありますが,「スコアを読む」という方法で曲を理解する方法もあります.
「スコアって指揮者が使うものでしょ?」「なんか難しそうでいやだ……」と考える方もきっと多いでしょう.ですが,いちどスコアの適切な読み方を覚えてしまえば,同じ方法でどんな曲にでも対応することができ,すばやく曲の構造を理解することができるようになります(もちろん100%保証はできませんが……).
今回は「曲を理解する」ためのスコアリーディングを実践しながら学んでみましょう.
スコアリーディングとは
- Score(総譜) Reading(読む)
- 楽曲全体の楽譜(総譜)を読み解き,楽曲の構造や各楽器の動きを理解する,演奏や作曲の練習や分析に役立つ技術
- Google Search Labsの回答より
- 以下,ChatGPTより
必要なもの
おおむねこのくらいあれば十分,というものを記載しています.
- スコア(Score[英],Partitur[独])
- 日本語では総譜と呼ばれるものです.これがないと始まりませんね
- 筆記用具
- ぜひスコアにどんどん書き込みましょう
- スコアに登場する楽器の知識
- 多くの書籍では,その解説のために全体の半分近くのページ数(!)を割くほど,各楽器の特徴は抑えておくべき重要な項目とされています.自分の楽器以外のことも,ひとつずつ知るところから始めてみましょう
- 楽譜上の演奏指示や記号などに関する知識
- 全てを暗記している必要はありません.その都度調べたり,書き込んだりしていけばよいのです
- そのほか,オーケストラに関する知識
- 楽器編成や舞台配置など様々な事柄あります.が,全てを暗記している必要はありません.(以下略)
実践する前に
はじめる前に,前項で挙げたものたちの内,いくつかについて解説していきます.
各楽器について
オーケストラに登場する楽器をみなさんで挙げてみましょう.
残念ながら,各楽器の詳細は割愛させていただきます……
同属楽器
木管,金管,弦,打,編入
- e.g.) フルートに対するピッコロ,とか
- 他には何があるでしょうか?
移調楽器
- 楽譜上の音と,実際の音(実音)が異なる楽器のこと
Q.なぜ移調楽器が存在するのでしょうか
こたえ
A.違う調の同属楽器を同じ指使いで演奏するため(つまり演奏者の都合)e.g.)コーラングレ(F管)をオーボエのド(C)の指で鳴らすと実音ではファ(F)が鳴る
→だったら実音ファの音を楽譜上のドの位置にしてしまえばいい
金管楽器の場合・・・むかしはヴァルブがない楽器しか無かったため,曲の調に合わせて楽器の調性を選択していた名残り
特殊奏法
割愛
オーケストラの編成
n管編成(n > 0)
nは木管の各楽器それぞれの人数から求めることができます.基本的に人数は均等です.
(この1:1:1:1の人数比だと,四声体が構築しやすいらしい)
トランペットも,木管の人数に合わせられることが多いです.が,ホルン,トロンボーン,テューバは実益的・歴史上の経緯により別扱いとなっています.詳細は割愛
弦楽器の人数
だいたい管楽器の人数によって増減し,上のパートから順に2人ずつ減っていくのが基本です.(e.g.)12-10-8-6-4)
第1ヴァイオリンの人数をとって〇〇型,と呼ばれたりします.
3管編成だと14型,4管編成だと16型が標準となることが多いようです.しかし,作曲者によって人数が指定されていることもあります.
なぜ「弦五部」なのか
第1ヴァイオリン,第2ヴァイオリン,ヴィオラ,チェロ,コントラバスという見知った編成になったのは,ヨーロッパでの和声論が理由です.ヨーロッパでは四声体(ソプラノ,アルト,テノール,バス)によって三和音を構成するのが基本でした.そのため,チェロまででこれを構築することはできるのですが,和声における重要な役割をバスが担っていることから,コントラバスがチェロの補強として加えられています.管弦楽曲でコントラバスがだいたいチェロと同じ動きをしているのは,こういった理由があるからなのです.
舞台配置
古典配置
みんな大好き 対向配置,両翼配置とも呼ばれることもある.(Vnが向かい合う形になることから)
ストコフスキー配置
レオポルド・ストコフスキーが1930年代に考案,'50年代から一般的になった配置.馴染み深い配置ですね
その他の配置
弦・管を左右で分けたり(ストコフスキー考案),円形配置などあるが,滅っっっっっっ多にないので割愛
ホルンの配置
配置のうえでは,ホルンは例外的な扱いを受けています.なぜなら,ホルンは金管楽器でありながら木管楽器としても扱われることがあるからです.そのために,よく木管楽器の隣に配置されるのです.
- 上手派?下手派?
楽譜中の記号・指示
音部記号
さすがに皆さんお分かりですよね???
どの音部記号がどの楽器に使われているでしょうか?
どの記号がついていたとしても,慣れてくると次第にすんなり読めるようになってくるはずです.
速度標語
発想標語
その他演奏・奏法指示
これらは膨大すぎるので割愛.楽譜に登場したらその都度調べてみましょう.
スコアを開いてみよう
さて,スコアの最初のページを開いてみましょう.曲名や作曲者,登場する楽器の一覧が並んでいるはずです.実はこの並び方には一定のルールが存在します.
1. 同属楽器はまとめて配置する
2. 音域が高い楽器から順番に並べるが,弦楽器は最下段に配置する.また,ホルンは木管楽器の下に配置する
ソロ楽器や合唱のような特殊な場合を除けば,基本的にこのルールに則って記譜されます.これさえ覚えていれば,楽器名が書かれていなくてもだいたい対応できるでしょう.
それではやってみよう
実際にスコアリーディングを進めるためには,曲の中でどんな楽器がどのように使われているのか,いくつかパターンを知っておくことが重要です.そのためにさまざまな例を見てみましょう.
さまざまなスコアの例
旋律と伴奏からなる例
様々なパートが繋がって1本のラインをなす例
主旋律と対旋律と伴奏によってできている例
二つの旋律とバスからできている例
フーガの形をとっている例
色彩的なオーケストレーションの例
リズムが優先されている例
木管楽器が1本の音階を次々に受け渡している例
要素を見つけられるようになるには
ここまでいろいろな例を紹介しましたが,どうすればこのような要素をスコア上から捕まえられるようになるでしょうか.実際に手を動かす手順を見ていきましょう.
スコアリーディングでググって出てくる有象無象のブログなどでは,口をそろえてメロディや声部を色分けしましょう,とか言っています.要素をつかむ上で有効なテクニックではありますが,複雑な曲の場合大変なことになってしまうので,今回は行いません.(特にニルセンとか)
図形的に見てみよう
メロディが1パートでほかが伴奏だったり,全楽器がトゥッティで動いていたり,セクションごとに塊で動いていたりする.というように,一見複雑そうに見えるスコアでも,整理してみると必ずいくつかの要素に分解することが可能なのです.
メインの旋律を探してみよう
だがしかし,旋律が多声部にわたる音楽(ポリフォニー)ではそうもいかなかったりします.どの流れもメロディとして独立した声部であるがゆえ,読み取ることを難しくしているところがあるからです.そういった場合は,旋律どうしの関係性に着目してみましょう.同じ形の旋律がタイミングを変えて登場していたり(カノン,フーガ),主旋律と対旋律の関係だったり,といった場合があります.
スコアをタテに読んでみよう[WIP]
どのような楽器の組み合わせで和声が作られているのかを見てみましょう.このとき,基本的に四声体を念頭に置きながら見てみると面白い発見があるかもしれません.
そのほか
//TODO: 書こうと思ったけど思いつかなかった
最後に
徹夜でギリ書き上げました.もしかしたら事実と反していたり,支離滅裂になっているかもしれません.もしそういった部分を見つけてしまったら,やんわりと教えていただけますと幸いです.
参考文献
以下の書籍を大いに参考・引用させていただきました.良書ばかりなのでぜひ読みましょう.わりと平易に書かれているので,私の説明よりもわかりやすいと思います.
どうか部費で買ってください.
- 池辺晋一郎.オーケストラの読みかた.学習研究社,2005.
- 中島克磨.スコアリーディングを始める前に.ドレミ楽譜出版社,2013.
- 野本由紀夫.はじめてのオーケストラ・スコア.音楽之友社,2003.
- 諸井三郎.スコア リーディング.全音楽譜出版社,1963.