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生成AIを活用した勉強方法を体系的にまとめてみました

Last updated at Posted at 2023-11-30

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Image generated by OpenAI's DALL·E-3.

1. はじめに

こんにちは!
本記事では、昨今注目されている生成AIを活用した勉強方法について、実践的な観点から体系的に解説します。従来の勉強方法との比較を踏まえつつ、生成AIを活用した勉強方法の有効性とその実践例について紹介しようと思います。

本記事の目的は、現実的かつ具体的に(従来の勉強方法、ベンチマークと比較して)役立つ、生成AIを活用した勉強方法を紹介することです。
ちなみに、私自身の勉強方法は、従来の手法約80%、生成AIの活用約20%程度です。
また、ほとんどの勉強方法において、ChatGPTおよびその拡張機能を使用するだけで実践できます。

2. そもそも勉強って何だっけ?

勉強の定義

本記事では、「勉強」を下記のように定義します。

将来のために学問や技術などを学ぶこと。学校の各教科や、珠算・習字などの実用的な知識・技術を習い覚えること。学習。また、社会生活や仕事などで修業や経験を積むこと。

出典:コトバンク

上記の定義に照らし合わせて、勉強の対象として、例えば下記を想定しています。

  • 数学などのSTEM
  • 英会話などの語学
  • 将棋・チェスなどのゲーム
  • サッカーなどのスポーツ
  • ピアノなどの音楽
  • プログラミング言語
  • ツールの使い方
  • 絵の描き方
  • 車の運転方法

その他任意の学問・技術など全て

勉強方法、学問、技術の分類

勉強方法、学問、技術を分類する切り口は様々考えられます。
ざっと調べただけでも、下記のように多種多様な分類方法が見つかりました。

生成AIを活用した勉強方法の分類

生成AIを活用した勉強方法は、データを切り口に分類するのが適切と考えました。

  • テキスト(例: ChatGPT, GitHub Copilot)
  • 画像(例: GPT-4V)
  • 音声(例: Whisper)
  • 動画(例: Bard)
  • 触覚、匂い、味
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生成AIを活用した勉強方法のマインドマップ

データごとに、生成AIの浸透具合の目安としては、テキスト>>画像、音声>ビデオ>>>触覚、匂い、味のイメージです。

生成AIの技術は、テキストデータに対する応用が最も進んでいます。例えば、ChatGPTを使用することで、あらゆる質問に対する答えを得たり、新しいアイデアを探求したりすることが可能です。画像(GPT-4Vなど)や音声(Whisperなど)に関しても、急速に進歩しています。

動画の分析ができる生成AI(例: Bard)も着実に発展しており、近い将来、重要な役割を果たすと予想されます。

触覚、匂い、味データにおける生成AIの活用があまり進んでいない理由としては、センサーとアクチュエーターが必要とされるためです。触覚、匂い、味に関するAIの活用は、ハプティクス、XR(拡張現実)、3Dプリンターといった技術の発展に大きく依存していると考えられます。

参考にしたもの

習熟段階ごとの適切な勉強方法

多分に主観を含んで恐縮ですが、物事の習熟段階ごとに、私自身が適切(もしくは適切ではない)と考える勉強方法についてまとめました。

フェイズ0:体験

  • 目的: 新しいスキルに触れ、基本を理解する。
    • 失敗例:ChatGPTが流行っていると聞き、ネット検索をして概要を理解するだけに留まってしまう。
    • 成功例:ChatGPTの使い方を検索→アカウント登録→色々遊ぶ・使ってみる。

フェイズ1:基礎(守破離の守)

  • 目的: 基礎理論を学び、スキルの土台を築く。
    • 失敗例:永遠と体験を続ける。例えば将棋では、ただ対局を繰り返し、戦術や定跡を学ばない。
    • 成功例:基礎的な書籍を読み、基本理論を学び、実践に移す。

フェイズ2:発展(守破離の破)

  • 目的: 高度な理論や技術を学び、応用能力を高める。
    • 失敗例:簡単なプログラミングのeラーニングの基礎を何周もする。
    • 成功例:基礎をマスターした後に、発展的な内容に取り掛かる。型を崩してみる。

フェイズ3:創造(守破離の離)

  • 目的: 独自の創作物を生み出し、真の理解と応用能力を示す。
    • 失敗例:教科書的な勉強のみに留まり、実践的なアウトプットを行わない。
    • 成功例:基礎から発展をマスターし、独自のオリジナリティを加えて創造およびアウトプットする。

参考:下記は、独学における守破離をまとめてある記事です。

3. 生成AIを活用した勉強方法

生成AIを勉強に活用するメリット

  • 即時性が高い:質問に対して迅速に回答を得ることができる。
  • 知識のカバー範囲の広さ:多岐にわたるトピックについての情報を提供する。
  • 心理的安全性が高い:間違いを恐れることなく質問できる。
  • 検索容易性が高い:特定の情報やトピックを簡単に検索できる。
  • パーソナライゼーション:ユーザーのニーズや好みに合わせてカスタマイズされた学習体験を提供できる。

生成AIを勉強に活用するデメリット

  • ハルシネーションの危険性:不正確な情報を生成する可能性がある。ただし、技術の進歩によりリスクは低減されつつある。
  • 知識カットオフ:特定の時点までの情報しか持っていない(例えば2023年12月現在のChatGPTは2023年4月までの情報しか知らない)。ただし、Web Browsing機能やPluginのWebPilotを使用して最新情報を取得することは可能。
  • コスト:一部のサービスは有料であり、例えばChatGPT Plusは月額20ドル。
  • 応答時間:質問に対する回答を生成するまでに時間がかかることがある。
  • 学習コスト:ツールの使用方法を学ぶ必要がある。
  • サービスの不安定性:サービスが終了するリスクや一時的に利用できなくなることがある。
  • データの保存:長期間の大容量データの保存が難しく、AIが情報を忘れることがある。
  • プロンプトの工夫:最適な結果を得るためには、プロンプトの工夫が必要な場合がある。

参考:

生成AIを活用した勉強方法の具体例

1. プログラミング:

  • 技術例:ChatGPT(Code Interpreter, Noteable Plugin)、GitHub Copilotなど
  • 生成AIの活用メリット:
    • 即時質問応答: 浮かんだ疑問に対して即座に答えを提供。
    • コード改善提案: より効率的または読みやすいコードの書き方を提案。

おそらく生成AIを活用した勉強方法として、使っている方が一番多そうです。
プログラミングを学習する中で、浮かんだ疑問を逐一ChatGPTなどのチャットAIにぶつけることができ、まるで専属の家庭教師みたいだと感じています。
ベースとなる知識は従来の勉強方法(eラーニング、書籍、動画、サイトなど)で学びながら、疑問の解消や周辺知識の獲得に生成AIを活用するという使い方が良いと思います。

ChatGPTをプログラミングに活用する記事を書いたので、良かったらご覧いただければと思います!

下記は、Code interpreterのわかりやすい解説記事です。

下記は、Noteableプラグインのわかりやすい解説記事です。

2. 言語学習(英会話、英作文など):

技術例:ChatGPT(音声会話機能)、スタディサプリENGLISH、speak など

  • 生成AIの活用メリット:
    • 対話練習: 実際の会話練習を提供し、言語スキルを向上。
    • 文法チェックと改善: 英作文の文法的な誤りを指摘し、改善策を提案。

言語学習においては、スピーキングやライティングといったアウトプットが伴う場合は、AIを活用した勉強方法が有効と考えられます。
ただし、その他の単語暗記、文法、リーディング、リスニングは、教材を回すスピードの観点から、従来の教材に軍配が上がるのではないかと個人的に思います(人によると思います)。

下記の記事は、AIを英会話に活用するメリットとして、①自由な学習タイミング、②個別カスタマイズ可能、③経済的で効率的、以上3点を挙げています。

下記の記事には、AIを英会話と英作文に活用する方法がわかりやすく書かれています。

下記の記事には、ChatGPTの音声会話機能の使い方が書かれています。

下記のサイトは、英語の学習方法について体系的に整理されています。

3. アクティブラーニング、内省、壁打ち:

  • 技術例:ChatGPTなど
    • 生成AIの活用メリット:
      • アイデア発散: 思考を広げ、新しい視点を提供。
      • 自己省察: 学習内容に関する自問自答を促進し、理解を深める。

生成AIツール(ChatGPTなど)を相手にアクティブラーニング、内省、壁打ちに活用するという勉強方法もあります。

ソフトバンクの孫さんは、ChatGPT相手に壁打ちを行っているそうです。

私は寝る前にChatGPT相手に日記を書く習慣を持っています。

4. 数学などのSTEM:

  • 技術例:ChatGPT(Code interpreter, Wolfram Plugin)など
    • 生成AIの活用メリット:
      • 問題生成: 新しい問題を生成し、練習の範囲を広げる。
      • 問題解決支援: カメラで撮影した問題に対して解答や解説を提供。

家庭教師的な使い方ができそうです。ただし、数学などのSTEM分野においては、紙の書籍(教科書、問題集)がメインで良いと思います。問題を生成するといった使い方も考えられますが、ハルシネーションのリスクや、文字を打ち込む手間を考えると現時点ではそこまで効率はよく無さそうです。今後の技術発展に期待しています。

ただし、生成AIツールの数学などのSTEM能力は飛躍的に向上してきています。

試しに積分の問題を4パターンのChatGPT(GPT4)に聞いてみたところ、全てのケースで正しい答えを返しました。

パターン1:GPT4・Code Interpreterあり
※Code Interpreterでsympyを使っている
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パターン2:GPT4・Code Interpreterなし
バニラGPT4は半年前くらいはけっこう間違えているイメージでした。この例では正解していますが、問題が複雑になればハルシネーションのリスクが高くなるので注意してください。

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パターン3:GPT-4V(手書きの問題をスマホのカメラで撮影)
なぜか英語で返答されていますが正解しています。宿題や課題をカメラで撮影してGPT-4Vに解かせる人が多そうと思いました。ハルシネーションおよびOCRのミスに注意してください。
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パターン4:GPT4・Wolfram Plugin
Wolfram Pluginを使うと瞬殺です。ただし、積分定数を忘れています。

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下記は、Wolfram Pluginについてのわかりやすい解説記事です。

5. 論文、難解な書籍、長い動画:

技術例:ChatGPT(Paper Interpreter GPTs, Ask Your PDF Plugin), Bard など

  • 生成AIの活用メリット:
    • 要約と解析: 長いテキストや動画の要点を短く要約。
    • 質問対応: 特定の部分に関して深く掘り下げた質問に答える。

論文などの理解を生成AIツールで手助けする勉強方法があります。

紺野 大地さんが、論文の内容を分かりやすく解説してくれる「Paper Interpreter」というGPTsを公開されています。

他の方法としては、ChatGPT Pluginの「Ask Your PDF」を使うことも考えられます。

長い動画を生成AIで扱う場合は、Bardが候補です。動画に対しては現時点ではハルシネーションが多いので注意です。

6. その他の学問分野(栄養学、音楽理論、歴史など):

技術例:ChatGPT など

  • 生成AIの活用メリット:
    • カスタマイズされた学習: 特定の学問分野に合わせたカスタマイズされた学習支援。
    • 深い理解: 難解なトピックを分かりやすく解説し、深い理解を促進。

その他任意の学問分野で家庭教師的な使い方ができると考えます。

以上は2023年12月現在の内容です。生成AIの進化に伴い、学習の質と効率を大きく向上させる可能性を秘めています。それぞれの学習スタイルに応じて、生成AIを活用することで、学習体験はよりパーソナライズされると考えられます。

現時点ではあまり生成AIを活用した勉強方法が確立していない分野

1. 運動、触覚などの実技系

例えば運転を勉強する場合に生成AIを使うことは難しいです。
強いてい言うなら、ドライブシミュレータでしょうか。ハプティクス、XRの発展に期待です。

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出典:https://global.honda/jp/news/2010/c100302.html

2. 匂い・味などの分野

例えば調理師免許や官能評価力量検定の勉強に生成AIを活用することは現時点では難しいです。

香りを切り替えられるアロマデバイスがあるみたいです。センサーとアクチュエーターが必要とされるためまだまだ課題が多そうです。

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出典:https://www.plazastyle.com/promo/aromastic/

4. おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ラーニングピラミッドによると、「他の人に教える」が最も学習定着率が高いみたいです。実際に、この記事を書く過程で、色々なことを調べたり、考えたりしたので大変勉強になりました。

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出典:https://career-ed-lab.mynavi.jp/career-column/707/

本記事は、生成AIの1人アドカレ(生成AIについての記事を1人で25件投稿します!)の記念すべき第1回目でした。
明日から毎日生成AIについての記事を投稿する予定です。
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本記事は以上です。皆様が生成AIを活用し、どんどん新しいことを勉強することを応援しています!

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