目次
- はじめに
- 5Gコアネットワーク(5GC)の詳細
- 5G無線アクセスネットワーク(RAN)の詳細
- ユーザー機器(UE)の概要
- 運用・保守・管理(OAM)の概要
- 5Gシステムにおける主要なインターフェースとプロトコル
- 最新の高性能・高機能な5Gシステムの主要な機能と特徴
- 5Gシステムコンポーネント間の関係
- 結論
- 生成AIで作成する5Gシステムの関連ドキュメント
- 引用文献
1. はじめに
最新の高性能・高機能な5Gシステムアーキテクチャは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)によって策定されており、その仕様は複数のリリースを通じて進化してきました。特にRelease 15は、商用展開に必要な一連の機能と機能の初期定義という点で重要な節目となりました1。しかし、最新の高性能5Gシステムを理解するためには、Release 15以降の仕様、例えばRelease 16や17で導入された機能拡張を考慮することが不可欠です4。実際、4では、TS 23.501のバージョン17.7.0が言及されており、これは最新のシステムアーキテクチャを把握する上で重要な情報源となります。
5Gシステムアーキテクチャの基本的な特徴の一つは、サービスベースアーキテクチャ(SBA)の採用です。このアーキテクチャでは、ネットワーク機能(NF)が共通のインターフェースを介して、許可された他のNFにサービスを提供します1。SBAは、以前の世代のアーキテクチャからの大きな転換であり、モジュール性、再利用性、そして仮想化技術やソフトウェア技術の活用を重視しています1。この設計原則により、ユーザープレーン機能と制御プレーン機能は独立してスケーリングおよび進化することが可能になります8。
5Gアーキテクチャの根底にある主要な原則には、ユーザープレーン(UP)機能と制御プレーン(CP)機能の分離、機能設計のモジュール化、サービスベースの手順の定義、アクセスネットワーク(AN)とコアネットワーク(CN)間の依存性の最小化、異なるアクセスタイプを統合する収束されたコアネットワークの実現、統一された認証フレームワークのサポート、ステートレスなNFのサポート、ネットワーク機能の能力公開、ローカルおよび集中型サービスへの同時アクセス、そしてローミング機能のサポートが含まれます8。これらの原則は、5Gシステムの持つ柔軟性と高度な機能性の基盤となっており、これらの原則を理解することは、アーキテクチャ設計の背後にある理論的根拠を把握する上で非常に重要です。
全体的な5Gシステムは、ユーザー機器(UE)、無線アクセスネットワーク(NG-RAN)、そしてコアネットワーク(5GC)という3つの主要なコンポーネントで構成されています2。この高レベルの構造は、以前のモバイル通信システムと共通していますが、各コンポーネントには著しい技術的進歩が見られます。
2. 5Gコアネットワーク(5GC)の詳細
5Gコアネットワーク(5GC)は、サービスベースアーキテクチャ(SBA)に基づいており、ネットワーク機能(NF)は明確に定義されたインターフェースを通じて相互に作用します2。この設計により、柔軟性とスケーラビリティが向上し、新しいサービスの統合が容易になります。NF間の基本的な通信プロトコルとしてHTTP/2が採用されている点は、重要な技術的特徴です6。
2.1 アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)
アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)は、4Gネットワークにおけるモビリティ管理エンティティ(MME)と同様に、ユーザー機器(UE)のアクセス制御とモビリティ管理を行います2。AMFは、加入者の情報を取得し、ショートメッセージサービス(SMS)もサポートします6。また、シングルネットワークスライス選択支援情報(S-NSSAI)を使用してネットワークスライスを識別する役割も担います6。AMFは、統一データ管理(UDM)、セッション管理機能(SMF)、ポリシー制御機能(PCF)、認証サーバー機能(AUSF)、ネットワークスライス選択機能(NSSF)などの他のネットワーク機能と、N1、N2、N8、N11、N12、N22といった特定のインターフェースを介して相互に通信します9。AMFはUEの接続とモビリティ管理の中心的な役割を果たし、制御プレーンにおけるその重要性を示しています。5GCにおけるMME機能の分解は、アーキテクチャ上の重要な変更点です6。
2.2 セッション管理機能(SMF)
セッション管理機能(SMF)は、ユーザー機器(UE)のネットワークセッションの確立、維持、終了を管理する、5Gコアネットワーク(5GC)における中核的な要素です。SMFは、パケット転送制御プロトコル(PFCP)やネットワーク機能専用のサービスベースインターフェース(Nsmf)などのプロトコルを使用して、ユーザープレーン制御を実施します。また、ユーザープレーン機能(UPF)、ポリシー制御機能(PCF)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)などの他のネットワーク機能と連携し、シームレスなデータフロー、効果的なポリシー適用、ネットワークリソースの最適活用を実現します。
さらに、各ネットワークセッションにおける品質オブサービス(QoS)パラメータの制御、ルーティング情報の管理、課金特性の処理にも中心的な役割を担います。SMFは、4Gネットワーク(EPC)におけるサービングゲートウェイ制御プレーン(SGW-C)、パケットデータネットワークゲートウェイ制御プレーン(PGW-C)の制御機能、ならびにモビリティ管理エンティティ(MME)の一部セッション管理機能を、5Gアーキテクチャに統合・発展させた存在です。
2.3 ユーザープレーン機能(UPF)
ユーザープレーン機能(UPF)は、ユーザーデータトラフィックを処理し、無線アクセスネットワーク(RAN)とデータネットワーク間の接続点として機能します1。UPFは、RANからユーザーデータを受け取り、パケット検査、トラフィックルーティング、パケット処理、およびQoS強制などのさまざまな機能を実行してから、データネットワークまたはインターネットに配信します6。この機能により、データプレーンをネットワークエッジの近くに移動させることができ、データレートの高速化と遅延の短縮につながります6。UPFは、以前4Gネットワークでサービングゲートウェイ(S-GW)およびパケットデータネットワークゲートウェイ(P-GW)によって実行されていたユーザートラフィック転送機能を統合しています6。UPFは、セッション管理機能(SMF)およびRANと、N3、N4、N6、N9などのインターフェースを介して相互作用します9。また、低遅延サービスをサポートするために、ネットワークエッジの近くに展開することも可能です2。
2.4 ポリシー制御機能(PCF)
ポリシー制御機能(PCF)は、4Gネットワークにおけるポリシーおよび課金ルール機能(PCRF)と同様に、ポリシー制御および課金ルールを強制します2。PCFは、セッション管理機能(SMF)、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)、アプリケーション機能(AF)、およびその他のネットワーク機能と、N5、N7、N15、N30、N36などのインターフェースを介して相互作用します9。また、ユーザーデータトラフィックがネゴシエートされた容量に準拠していることを保証します2。PCFは、ネットワークリソースが効率的に使用され、ユーザーとのサービス契約に従って使用されることを保証する上で重要な役割を果たします。アプリケーション機能(AF)との相互作用は、アプリケーション認識ポリシー制御を有効にするために不可欠です12。
2.5 認証サーバー機能(AUSF)
認証サーバー機能(AUSF)は、ユーザー機器(UE)の認証を担当します1。AUSFは、SIMカード以外のさまざまな種類の資格情報をサポートする、5Gの強化された柔軟な認証フレームワークの一部です5。アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)および統一データ管理(UDM)と、N12、N13などのインターフェースを介して相互作用します9。AUSFは、許可されたユーザーのみがネットワークにアクセスできることを保証することにより、セキュリティにおいて重要な役割を果たします。強化された認証フレームワークにより、以前の世代と比較してセキュリティと柔軟性が向上しています5。
2.6 ネットワークリポジトリ機能(NRF)
ネットワークリポジトリ機能(NRF)は、ネットワーク機能(NF)プロファイルとそのサービスのリポジトリを維持することにより、サービスディスカバリをサポートします1。NRFにより、NFは他のNFによって提供されるサービスを登録、登録解除、および発見することができます(例:N27)1。NRFはSBAにとって不可欠であり、ネットワークサービスの動的かつ自動化された発見を可能にし、5Gコアの柔軟性とスケーラビリティを向上させます。
2.7 ネットワークスライス選択機能(NSSF)
ネットワークスライス選択機能(NSSF)は、ユーザー機器(UE)のサブスクリプションとサービス要件に基づいて、適切なネットワークスライスを選択する責任があります1。NSSFは、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)とN22などのインターフェースを介して相互作用します9。NSSFはネットワークスライシングに不可欠であり、オペレーターは特定のユースケースとサービスレベルアグリーメント(SLA)に合わせて調整された論理的でカスタマイズされたネットワークを作成できます。
2.8 統合データ管理(UDM)
統合データ管理(UDM)は、4Gネットワークにおけるホーム加入者サーバー(HSS)と同様に、加入者データを管理します1。UDMは、認証および認可に使用されるサブスクリプション情報を保存します1。アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)、セッション管理機能(SMF)、認証サーバー機能(AUSF)、およびその他のネットワーク機能と、N8、N10、N13、N35、N52などのインターフェースを介して相互作用します9。UDMは加入者関連情報の中央リポジトリであり、ユーザー管理およびサービスプロビジョニングに不可欠です。
2.9 その他の重要な5GCネットワーク機能
2.9.1 ネットワーク公開機能(NEF) :
ネットワーク機能とサービスへの安全なアクセスを外部アプリケーションに提供します(例:N30、N33、N37、N51、N52、10、12、9、9)。NEFは、サードパーティのアプリケーションが5Gネットワーク機能を利用できるようにするために不可欠であり、イノベーションと新しいサービスを促進します。
✅ 代表的なNEF活用アプリケーション例
1. スマートファクトリー(Smart Factory)
- ユースケース:産業用ロボットのリアルタイム制御、予知保全。
- NEFの役割:外部のIoT/製造アプリがネットワーク状態(例:QoS、スライス状態)を取得・制御。
- 例:EricssonやNokiaが提供する製造業向け5GソリューションでNEFが利用されている。
2. 自動運転・V2X(Vehicle-to-Everything)
- ユースケース:自動運転車と交通インフラのリアルタイム通信。
- NEFの役割:交通情報サービスがネットワーク遅延やスライス情報を取得し、アプリの制御に利用。
- 例:BMW・Audiなどが関わる5GAA(5G Automotive Association)でNEFを使ったQoS APIが議論・試験。
3. スマートヘルスケア
- ユースケース:遠隔手術、ウェアラブルからのリアルタイム健康モニタリング。
- NEFの役割:医療用アプリがネットワークスライスの予約やQoS保証要求を送信。
- 例:中国の複数の大病院とHuaweiが共同で行った遠隔手術デモでNEF連携が報告されている。
4. ライブイベント/スポーツ配信
- ユースケース:AR/VRによる観戦体験。
- NEFの役割:ARアプリが利用者の位置やネットワーク状態に応じて通信品質を調整。
- 例:韓国KTがオリンピック等のイベントでNEFを使った動的QoS制御を実施。
🔍 NEFが提供するAPI例(3GPP TS 29.522など)
-
N30
: サブスクリプション情取得 -
N33
: イベントサブスクリプション -
N37
: スライス選択とQoSポリシー -
N51
: サービス要求(QoS管理など) -
N12
: PCF(Policy Control Function)との連携
NEFの導入企業・ベンダー例
- Ericsson NEF
- Nokia NEF Exposure Server
- Huawei NEF(5GC Exposure Functionとして)
-
AWS Wavelength + 5G API(NEF相当の抽象化)
NEFは外部アプリが5Gネットワークリソースと安全かつ制御された形で対話するための 「公開ゲートウェイ」 とも言える存在です。アプリとネットワークが密接に連携する5Gならではのユースケースで今後ますます重要になります。
2.9.2 セキュリティエッジ保護プロキシ(SEPP) :
特にローミングシナリオにおいて、異なるオペレーターネットワーク間のシグナリングトラフィックを保護します(1、5、10、2)。SEPPは、PLMN間の通信のセキュリティを強化し、ローミングの重要な側面です。
2.9.3 アプリケーション機能(AF):
ポリシー制御およびトラフィックルーティングのために、サービスまたはアプリケーション関連情報をNFに提供します(例:N5、N33、N57、2、11、12、2、9)。AFはアプリケーション認識ネットワーキングを可能にし、アプリケーション要件に基づいて最適化されたサービス配信を可能にします。
2.9.4 統合データリポジトリ(UDR):
サブスクリプションデータやポリシーデータなど、さまざまな種類のデータの中央リポジトリです(例:N35、N36、N37、13)。UDRはデータ管理を一元化し、効率と一貫性を向上させます。
2.9.5 ネットワークデータ分析機能(NWDAF) :
ネットワークの最適化と管理のために、他のNFに分析サポートを提供します(25、12、26)。NWDAFはネットワークにインテリジェンスを導入し、プロアクティブな管理とパフォーマンスの向上を可能にします。
表1:主要な5Gコアネットワーク機能とその役割
ネットワーク機能(NF) | 略語 | 主な役割 | 主要なインターフェース |
---|---|---|---|
アクセスおよびモビリティ管理機能 | AMF | UEのアクセス制御とモビリティ管理 | N1, N2, N8, N11, N12, N22 |
セッション管理機能 | SMF | ネットワークセッションの管理 | N4, N7, N10, N11 |
ユーザープレーン機能 | UPF | ユーザーデータトラフィックの処理と転送 | N3, N4, N6, N9 |
ポリシー制御機能 | PCF | ポリシー制御と課金ルールの適用 | N5, N7, N15, N30, N36 |
認証サーバー機能 | AUSF | UEの認証 | N12, N13 |
ネットワークリポジトリ機能 | NRF | ネットワーク機能プロファイルの保存とサービスディスカバリ | N27 |
ネットワークスライス選択機能 | NSSF | UEへの適切なネットワークスライスの選択 | N22 |
統合データ管理 | UDM | 加入者データの管理 | N8, N10, N13, N35, N52 |
ネットワーク公開機能 | NEF | ネットワーク機能とサービスの外部公開 | N30, N33, N37, N51, N52 |
セキュリティエッジ保護プロキシ | SEPP | オペレーターネットワーク間のシグナリングトラフィックの保護 | N32 |
アプリケーション機能 | AF | ポリシー制御とトラフィックルーティングのためのアプリケーション関連情報の提供 | N5, N33, N57 |
3. 5G無線アクセスネットワーク(RAN)の詳細
5G無線アクセスネットワーク(RAN)、別名NG-RANは、5Gコアネットワーク(5GC)および相互に接続された一連のgNB(次世代NodeB)で構成されています2。NG-RANアーキテクチャは、非スタンドアロン(NSA)とスタンドアロン(SA)の両方の展開をサポートしており、ネットワークの進化に柔軟性をもたらします16。
3.1 gNodeB(gNB)
gNodeB(gNB)は、5G NR(New Radio)における基地局であり、無線信号の送信と受信を担当します2。gNBは、 中央ユニット(CU) と1つ以上の 分散ユニット(DU) に分割でき、これらは F1インターフェース によって接続されます2。このCU/DU分離アーキテクチャは、5G RANにおける重要な技術革新であり、ネットワーク機能の 展開の柔軟性 と 仮想化対応 を可能にします14。
さらに、 O-RANアライアンス によって標準化された オープンRAN(O-RAN)アーキテクチャ は、gNB構成をさらに細分化し、CUとDUに加えて Radio Unit(O-RU) を独立して定義します。O-RUは実際の無線信号の送受信を担当し、DUとは fronthaulインターフェース(Open Fronthaul:eCPRIなど) で接続されます。
O-RANでは、以下のようなコンポーネントに分離されます:
- O-CU(Open Central Unit):制御面(CU-CP)とユーザ面(CU-UP)に分離可能。
- O-DU(Open Distributed Unit):RLC/MAC/PHY層処理、タイムクリティカルな処理を担当。
- O-RU(Open Radio Unit):RF変換、デジタル/アナログ変換など、物理層の最下層に対応。
- RIC(RAN Intelligent Controller):E2インターフェースを介してO-DUやO-CUと接続し、ポリシー制御やAI/MLによる最適化を実施。
3.2 集中ユニット(CU)
集中ユニット(CU)は、gNBプロトコルスタックの上位レイヤー(パケットデータ収束プロトコル(PDCP)以上)をホストする論理ノードです14。CUは、F1インターフェースを介して 分散ユニット(DU) に接続されています2。
さらに、CUは次のように機能分離されることで、5Gネットワークの柔軟性とスケーラビリティを向上させます16:
- CU制御プレーン(CU-CP):RRCやNGAPなどの制御信号処理。
- CUユーザープレーン(CU-UP):SDAPやユーザーデータ用PDCPなどのユーザ面処理。
このように上位レイヤーをCUに集中させることで、より効率的なセッション管理、ハンドオーバ制御、QoSポリシー適用が可能となります。
🔍 O-RANアーキテクチャにおけるCU(O-CU)
O-RANの標準では、CUは次のように定義され、オープンなインターフェースと分離アーキテクチャに基づいて構築されます:
- O-CU-CP(Open Central Unit - Control Plane)
- NGAP/RRC/PDCP-Cなどの制御プレーンプロトコルを処理。
- RAN Intelligent Controller(RIC)とE2インターフェースで接続し、ポリシー制御や最適化を受け取る。
- O-CU-UP(Open Central Unit - User Plane)
- PDCP-U、SDAP、ユーザデータフローを処理。
- RICやSMFとの連携によりQoS管理などを最適化。
O-CUは、O-DUやO-RUとF1やfronthaulインターフェースで接続され、完全に仮想化・クラウド上に展開可能です。特にCU-CPとCU-UPが分離されることで、個別スケーリングや独立したアップグレードが可能になります。
この図では、O-RANにおけるCUの役割や関連インターフェース(E1、E2)を視覚的に理解できる構成にしています。
補足として:
- O-RANにおけるE2インターフェースは、Near-RT RICとの接続に使用され、QoS制御やリソース割当ての最適化を行う中心的役割を果たします。
- CU-UPとCU-CPの独立スケーリングの概念は、ネットワークのトラフィックパターンに応じた動的な対応を可能にします。
3.3 分散ユニット(DU)
分散ユニット(DU)は、gNBプロトコルスタックの下位レイヤー(物理層(PHY)、媒体アクセス制御(MAC)層、無線リンク制御(RLC)層)をホストする論理ノードです14。DUは、F1インターフェースを介して集中ユニット(CU)に接続されており、リアルタイムな無線処理に関わる主要なコンポーネントです2。
DUは、通常1つ以上の無線ユニット(RU)に接続されます。ただし、DUとRU間のインターフェースは、当初は3GPPで標準化されておらず、実装依存でした14。このギャップを埋める形で登場したのがO-RANのOpen Fronthaul仕様です。
🔍 O-RANアーキテクチャにおけるDU(O-DU)
O-RAN Allianceでは、DUを「O-DU(Open Distributed Unit)」として定義しており、次のような特徴を持ちます:
- O-DUは完全に仮想化可能(O-Cloud上に展開可能)
- COTSハードウェアで動作し、ソフトウェアベースの更新が可能。
- Open Fronthaul(OFH)インターフェースを通じてO-RU(無線ユニット)と接続。
- ORAN C/U/S/Mプレーン(Control/User/Synchronization/Management)に分かれた明確な仕様。
- リアルタイム性能を担保しながらもマルチベンダー間の相互運用性を実現。
これにより、O-DUはベンダーロックインを回避しつつ、柔軟なRAN構成を可能にします。
補足事項
-
O-DUとO-RU間のOpen Fronthaul仕様は、標準化されたI/Qデータ転送、eCPRI使用、M-planeによる管理機能などを提供します。
-
O-DUはO-Cloud(Open RAN用クラウド基盤) 上に展開可能であり、KubernetesやKVMなどの仮想化技術を活用する実装も広まっています。
-
DUにPHYを「高層/低層」に分割して配置するSplit 7.xアーキテクチャも重要な概念であり、RUとの柔軟な分散が可能になります。
3.4 CUとDU間のF1インターフェース
F1インターフェースは、5G RANにおいてCU(集中ユニット)とDU(分散ユニット)を接続するために導入された新しいインターフェースです2。このインターフェースは、異なるベンダーの機器間での相互運用が可能になることが期待されています14。また、ユーザープレーン用のF1-Uと制御プレーン用のF1-Cに分割することもできます14。F1インターフェースは、分離されたRANアーキテクチャにおいて非常に重要であり、集中ユニットと分散ユニット間の通信と連携を可能にします。その標準化は、オープンRANイニシアチブの主要な目標であるベンダー間の相互運用性を促進します。
3.5 その他の重要なRANコンポーネントとインターフェース
- gNB-CU間インターフェース(Xnインターフェース): gNB間の通信に使用され、モビリティなどのRAN機能をサポートします15。
- NGインターフェース: gNBを5GCに接続するインターフェースであり、AMFへのN2インターフェースとUPFへのN3インターフェースで構成されます2。
- 無線ユニット(RU): 無線周波数機能を処理し、DUに接続します(初期のReleaseでは、インターフェースはまだ完全に標準化されていませんでした)14。
表2:主要な5G RANコンポーネントとインターフェース
RANコンポーネント/インターフェース | 説明 | 主要なインターフェース |
---|---|---|
gNB(次世代NodeB) | 5G NRにおける基地局、無線送信と受信を担当 | NG(N2, N3), Xn, F1 |
CU(集中ユニット) | gNBプロトコルスタックの上位レイヤーをホスト | F1, NG(制御プレーン) |
DU(分散ユニット) | gNBプロトコルスタックの下位レイヤーをホスト | F1, NG(ユーザープレーン), RU(実装依存) |
RU(無線ユニット) | 無線周波数機能を処理 | DU(実装依存) |
F1インターフェース | CUとDU間のインターフェース | CU, DU |
Xnインターフェース | gNB間のインターフェース | gNB |
NGインターフェース | gNBと5GC間のインターフェース | N2(AMFへ), N3(UPFへ) |
4. ユーザー機器(UE)の概要
4.1 ユーザー機器(UE)の基本構造と役割
ユーザー機器(User Equipment, UE)は、5Gネットワークに接続される端末装置であり、ユーザとネットワークのインターフェースを担います。スマートフォンやIoTセンサ、AR/VRヘッドセット、車載モジュールなどが該当します1。
UEは、以下の2つの主要な機能ブロックで構成されます2:
- モバイル機能(Mobile Termination, MT) :無線通信に関するすべてのプロトコル処理を行う中核。
- 端末装置(Terminal Equipment, TE) :アプリケーション実行やユーザーインターフェースを提供する装置。
また、UEは無線プロトコルスタックの物理層からNAS層までを内包し、gNBとの接続やネットワークとの認証・暗号化・セッション管理などを担います。
5Gでは、UEはネットワークスライスの選択、QoS要求の通知、位置情報の報告、そして無線リソースの効率的利用といった、従来よりも高度な役割を果たします3。さらに、デュアル接続(EN-DC)やビームマネジメントといった5G固有機能への対応も重要です。
📊 UEの基本構造と役割
UEは、5Gネットワークにおいて単なる「データ送信装置」ではなく、QoSポリシーのトリガーやネットワークスライス選択要因としての役割を果たす重要なエンティティです。これにより、ユーザー体験とサービス品質がダイナミックかつ柔軟に最適化されます。
4.2 UEプロトコルスタック(5GSM/5GMM/RRC/SDAP/PDCP/RLC/MAC/PHY)
ユーザー機器(UE)は、5Gネットワークとの通信に必要な多層のプロトコルスタックを搭載しており、ネットワークアクセス管理から無線信号の送受信までを包括的に処理します1。このプロトコルスタックは、制御プレーンとユーザープレーンの両方に対応しており、それぞれの役割を分離・最適化しています。
5G UEプロトコルスタックの主な構成は以下の通りです:
- 非アクセス層(NAS):セッション管理(5GSM)とモビリティ管理(5GMM)を担当。
- RRC層:ラジオリソース制御とUE状態管理を実施。
- SDAP層:QoSフローごとのマッピング。
- PDCP層:暗号化・再送制御・ヘッダ圧縮など。
- RLC/MAC/PHY層:低レイヤプロトコルとして無線通信を物理的に支援。
このような階層的構造により、UEはQoS、セキュリティ、効率的なリソース管理を実現しています。
UEプロトコルスタックの構成図
機能概要まとめ
レイヤー | 種別 | 主な機能 |
---|---|---|
5GSM | NAS | セッション管理、PDUセッション制御 |
5GMM | NAS | 登録、認証、モビリティ管理 |
RRC | AS | セル選択、再接続、状態遷移 |
SDAP | AS | QoSフロー識別とマッピング |
PDCP | AS | 暗号化、再送制御、ヘッダ圧縮 |
RLC | AS | 再送、順序制御、セグメント化 |
MAC | AS | スケジューリング、ARQ処理 |
PHY | AS | 変調、符号化、信号送受信 |
このように、UE内のプロトコルスタックは、ユーザーのセキュアかつ高品質な通信体験を支えるために高度に階層化・機能分離されています。各レイヤーの機能と連携は、5Gの柔軟性、スケーラビリティ、QoS保証を支える基盤です。
4.3 5G対応デバイスの種類(スマートフォン、IoT、車載デバイスなど)
5Gネットワークに接続されるユーザー機器(UE: User Equipment)は、用途や性能要件に応じて多様なタイプが存在します。これらのデバイスは、通信速度、遅延耐性、接続密度、モビリティなどの観点で最適化されており、以下のカテゴリに大別されます。
スマートフォン・モバイル端末(eMBB向け)
-
概要:最も一般的な5G対応デバイス。高帯域幅と高速通信を活かし、動画配信やクラウドゲーム、AR/VRなどに対応。
-
特徴:
- NR NSA/SA両対応
- 多アンテナ(MIMO)技術
- スマートアンテナ、ミリ波対応機種も増加中
IoTセンサー・デバイス(mMTC向け)
-
概要:小型・低電力のセンサー端末。数十億台規模で展開されることを前提に設計。
-
特徴:
- 通信速度よりも省電力・接続密度重視
- 通信技術としては NR-Light(RedCap) や NB-IoT/LTE-M との共存も想定
車載デバイス・V2X端末(URLLC向け)
-
概要:自動運転支援・協調走行・交通制御のためのV2X(Vehicle-to-Everything)通信に使用。
-
特徴:
- 超低遅延(<1ms)と高信頼性が要求される
- C-V2Xと5G NR-V2Xの両規格に対応し始めている
- 車内インフォテインメントとセンサ連携も含む
産業用ロボット・AGV(URLLC/eMBBハイブリッド)
-
概要:工場や倉庫などで使用されるロボットや無人搬送車(AGV)は、リアルタイム制御と映像解析の両立が求められる。
-
特徴:
- 時分割でeMBBとURLLCを使い分け
- MECと組み合わせた構成が一般的
固定無線アクセス(FWA)端末
-
概要:家庭や企業向けに、5Gを固定ブロードバンド代替として利用するための装置。
-
特徴:
- 室内/屋外ルータ、CPE(Customer Premises Equipment)
- 高利得アンテナとビームフォーミング技術を内蔵
デバイスタイプと用途分類(簡易マトリクス)
デバイスタイプ | 主要ユースケース | 対応カテゴリ | 特徴 |
---|---|---|---|
スマートフォン | eMBB(高精細動画/AR等) | フルNR対応端末 | 高速・多機能 |
IoTセンサー | mMTC(センサネットワーク) | NR-Light, NB-IoT | 超低消費電力、安価 |
車載通信端末 | URLLC(自動運転/V2X) | NR-V2X | 高信頼・低遅延 |
産業ロボット | URLLC/eMBBハイブリッド | Private 5G | 高精度リアルタイム制御 |
FWAルータ | eMBB(固定通信代替) | 5G CPE | 家庭/企業向けブロードバンド |
このように、5Gネットワークは単一のユースケースにとどまらず、多様なカテゴリのデバイスに適応可能な柔軟な通信基盤として設計されています。これにより、スマートフォンだけでなく、産業、車両、都市インフラ、家庭など幅広い分野での利用が可能となっています。
4.4 UEとネットワーク間の認証・暗号化機能
5Gシステムでは、セキュリティとプライバシー保護を強化するために、UEとネットワーク間で多層的な認証および暗号化メカニズムが導入されています。これにより、盗聴・なりすまし・再送攻撃といった脅威への耐性が大幅に向上しています。
認証機構の概要
5Gの認証は 3GPP TS 33.501 に準拠して設計され、以下の要素が関与します:
- UE(User Equipment):USIMに保存された SUPI(Subscription Permanent Identifier) を保持。
- SEAF(Security Anchor Function):AMF内に実装され、初期のセキュリティ接続処理を担当。
- AUSF(Authentication Server Function):加入者の恒久的認証データに基づき、HMACによる応答生成を行う。
- UDM(Unified Data Management):加入者情報(SUPI、認証キーなど)を保持。
5Gでは、5G-AKA および EAP-AKA' の2つの主要な認証方式が採用されています。これにより、4G以前の脆弱性を解消し、相互認証(UE⇔NW)と完全な鍵導出を実現しています。
認証および鍵階層の流れ
暗号化と整合性保護(Ciphering & Integrity Protection)
5Gでは、制御面(NAS/RRC)とユーザー面(UP)において、以下の暗号化・整合性保護が施されます:
層 | 対象 | 機能 | 使用鍵 | アルゴリズム |
---|---|---|---|---|
NAS | UE ↔ AMF | 暗号化+整合性保護 | KNASenc / KNASint | 128-NEA / 128-NIA |
RRC | UE ↔ gNB | 暗号化+整合性保護 | KRRCenc / KRRCint | 128-NEA / 128-NIA |
UP | UE ↔ gNB | 暗号化のみ(整合性なし) | KUPenc | 128-NEA |
- NEA:5G用の暗号化アルゴリズム(例:128-NEA1=SNOW 3G, 128-NEA2=AES, 128-NEA3=ZUC)
- NIA:整合性保護用アルゴリズム(同上)
注:ユーザーデータは整合性保護されません(性能重視)。
SUPIとSUCI:プライバシー保護の工夫
- SUPI(Subscription Permanent Identifier):IMSIに相当する永続識別子。
- SUCI(Subscription Concealed Identifier):公開鍵方式でSUPIを暗号化した識別子。初期接続時に送信され、盗聴リスクを低減。
4.5 UEにおけるネットワークスライスおよびQoS管理
ユーザー機器(UE)におけるネットワークスライスおよびQoS(Quality of Service)管理は、5Gネットワークの柔軟性とサービス品質の根幹を支える重要な機能です。UEは、 複数のネットワークスライス(S-NSSAI)を識別・利用 し、それぞれに適したQoS設定を適用することで、eMBB、URLLC、mMTCなど多様なユースケースに対応します。
■ ネットワークスライスの管理
- UEは、 PDUセッションの確立要求時にS-NSSAI(Single Network Slice Selection Assistance Information) を含め、スライス選択を5GCに要求します。
- AMF/SMF/NSSF がこの情報を受け取り、適切なスライスの割り当てとUPF経路を選定します。
- 複数のスライスを同時に使用することで、1台のUEが用途に応じたサービスを同時に利用可能です。
■ QoS管理の仕組み
- QoSは QoS Flow単位 で制御され、 5GCがUEにQoS Rule/QFI(QoS Flow Identifier)を通知 し、** UEのSDAP層でDRB(Data Radio Bearer)にマッピング** されます。
- QoSパラメータには、 5QI(QoS Identifier)、ARPr(優先度)、GBR(保証ビットレート)など が含まれます。
■ NG-RAN(gNB)の関与と連携
UEがネットワークスライスやQoS管理を実現するには、 NG-RAN(gNB)との密接な連携が不可欠 です。gNBは以下のような役割を担います:
NG-RAN(gNB)の役割 | 説明 |
---|---|
QoS Flowの処理(SDAP) | QFIを読み取り、対応するDRBにマッピングしてスケジューリング |
RRCによるQoS設定の伝達 | UEに対してRRC Connection ReconfigurationでQoS RuleやDRB情報を通知 |
S-NSSAIの認識と適用 | スライス識別情報に基づいたスケジューリング/リソース制御(特にCU-UP) |
UPFとのデータ転送 | QoS条件に応じてUPFからのデータを適切に分類/優先制御 |
gNBは単なる転送装置ではなく、 QoSとスライスの実行主体 として重要な役割を果たしています。
■ UEとネットワーク間におけるスライス・QoS連携図
■ まとめ
UEはQoS FlowやS-NSSAIを理解し、PDUセッション確立・QoSポリシー適用などを自律的に行います。ただし、QoSのリアルタイム適用や優先度制御はNG-RAN(gNB)が担う実行層であり、UE・gNB・5GCの三位一体によるスライス/QoS連携が5Gの柔軟性と性能を支えています。
5. 運用・保守・管理(OAM)の概要
5.1 OAMの定義と重要性
OAM(Operations, Administration, and Maintenance:運用・管理・保守)は、5Gネットワークの安定運用に不可欠な管理機能の総称です。OAMは、ネットワークインフラの構成、障害の検出と修復、性能の監視、ソフトウェアのバージョン管理、セキュリティ制御、そしてリソースの最適化など、ネットワークライフサイクル全体を支える役割を担います。
5Gでは、ネットワークの仮想化(NFV)や自動化(ZSM: Zero-touch Service Management)、スライスごとの管理ニーズが高まっているため、OAMの高度化・標準化が特に重要視されています。OAM機能は、RAN(無線アクセスネットワーク)、5GC(5Gコアネットワーク)、トランスポートネットワークなど、複数のネットワークドメインにまたがって統合的に機能する必要があります。
OAMは以下のような側面で5Gシステムにおいて中心的な役割を果たします:
- サービスの可用性維持:障害を即座に検出し、迅速に復旧させることで、高信頼性のネットワークを実現します。
- 運用コストの削減:自動構成やリモート監視・更新機能により、人的運用負荷を軽減します。
- スライスごとの可視化と制御:ネットワークスライスごとに個別のOAMポリシーを適用し、サービス品質とセキュリティを保証します。
- AIとの連携によるインテリジェント化:NWDAF(Network Data Analytics Function)やテレメトリ機能と連携することで、予測的な保守や動的な最適化が可能になります。
OAM機能の標準化は、主に3GPPのTS 28.xxxシリーズ(例:TS 28.541, TS 28.550)によって進められており、TMF(TeleManagement Forum)やETSI ZSMなどの団体とも連携して、エンドツーエンドの運用自動化を支える枠組みが構築されています。
下図では、5GネットワークにおけるOAMの対象領域(RAN, Core, Transport)と、OAMの主な機能カテゴリ(Fault, Configuration, Performance, Security, Analyticsなど)との関係を表現しています。
この図は以下の構成を表します:
- OAMの対象ドメイン:RAN、5GC、Transport
- OAMの機能領域:Fault, Configuration, Performance, Security, Analytics
- 横断的な機能:Slice管理、ZTP、自動化、AI/ML連携
5.2 3GPPのOAM管理体系(TS 28.xxxシリーズの概要)
3GPPにおけるOAM(Operations, Administration, and Maintenance)機能の仕様は、主に TS 28.xxxシリーズ で定義されています。このシリーズは、5Gネットワークの各コンポーネント(RAN、コア、トランスポート、仮想化環境など)に対して、標準化された管理インターフェースとデータモデルを提供するものです。
📘 主な仕様群のカテゴリ
分類 | 主な仕様 | 内容 |
---|---|---|
管理原則・要件 | TS 28.500 | 管理フレームワーク、情報モデル、機能構成の基礎 |
ネットワーク機能管理 | TS 28.541, 28.542 | gNBやAMF、SMFなどのNFの管理に関する仕様 |
インターフェース仕様 | TS 28.532, 28.533 | 管理IFのAPI仕様(REST/SBIベース) |
情報モデル(NRM) | TS 28.541〜28.543 | 各管理対象のネットワークリソースモデル(NRM) |
パフォーマンス管理 | TS 28.550〜28.554 | KPIの収集と管理手法、レポート仕様など |
フォールト管理 | TS 28.625 | 障害の通知、アラーム管理、ログ収集など |
セキュリティ管理 | TS 28.550, TS 28.562 | セキュリティイベント、監査記録、鍵管理など |
NWDAF | TS 28.104, 28.105 | 分析機能の仕様、統合方法、イベントトリガーなど |
🧩 管理アーキテクチャの特徴
- SBIベースのサービスモデル:OAM機能も5GCの他機能と同様、Service-Based Interface (SBI) を通じて実装され、各NFとの統合が容易。
- NRM(Network Resource Model) によって、機能・物理資源を統一的にモデリング。
- 統合OAM(Integrated Management):従来のeNB/gNB、仮想化インフラ(NFVI)、スライス単位での管理まで統合。
🌐 実装例
- gNB管理には、TS 28.541に基づくNRMが使用され、セル情報、無線構成、QoS設定などを管理。
- UPFやAMFの管理は、TS 28.542で定義されたOAMサービスを通じて行われる。
- NWDAFは、OAMとは別の枠組みだが、パフォーマンスや利用傾向の分析に活用され、OAMと連携して運用最適化を支援する。
OAM管理構成図
このように、3GPPのTS 28シリーズは5GシステムのOAMを 標準化された方法で統合的に管理 するための鍵となります。
5.3 ネットワーク管理機能(FCAPS: Fault, Configuration, Accounting, Performance, Security)
FCAPS は、ITU-Tによって定義された 5つの基本的なネットワーク管理機能カテゴリ であり、3GPPでもこれに基づいたOAM管理体系が構築されています。5Gネットワークにおける運用・保守・管理を体系的に分類・実装するための枠組みです。
🧩 各管理カテゴリの概要
管理機能 | 説明 | 主な3GPP仕様 |
---|---|---|
Fault Management(障害管理) | ネットワーク障害の検出、通知、修復、アラーム処理。 | TS 28.625 |
Configuration Management(構成管理) | ネットワーク構成情報の取得・変更、初期設定、プロビジョニング。 | TS 28.541〜543、28.550 |
Accounting Management(課金管理) | 利用量の記録、ユーザー毎の課金データ収集、ログ記録。 | TS 32.240〜32.297(特に課金関連) |
Performance Management(性能管理) | KPI測定、トラフィック統計、リソース使用状況の監視。 | TS 28.550〜28.554 |
Security Management(セキュリティ管理) | 鍵・証明書管理、アクセス制御、ログの監査、セキュリティイベントの報告。 | TS 28.562、TS 33.xxx関連 |
📌 特徴と実装のポイント
- FCAPSは**OAMツールやOSS(Operations Support System)**と連携して、全体のネットワーク運用を支援します。
- それぞれのカテゴリは、3GPP TS 28.xxxシリーズに明確に対応しており、NRMモデルとの連携で一貫した管理を可能とします。
- NWDAFとの統合により、FaultやPerformanceの自動予測やアラートの最適化が実現可能です。
FCAPS構造図
FCAPSは5Gネットワーク運用における 「縁の下の力持ち」 として、日常運用の可視化と自動化を実現する重要な管理フレームワークです。
5.4 トポロジ管理と自動構成(ZTP: Zero-Touch Provisioning)
トポロジ管理 とは、ネットワーク内の要素(ノード、リンク、サービス)の関係性を把握・管理し、全体構成を動的に維持する機能です。5Gネットワークにおいては、 CU/DUs、gNB、RU、UPF、AMF、SMF、UE など多様な要素が協調するため、正確なトポロジ管理が必要不可欠です。
一方、 ZTP(Zero-Touch Provisioning) は、装置を現地に設置するだけで、手動設定なしに自動で構成・登録を完了させる手法です。これにより 構築工数や人的ミスを削減 し、 スケーラブルで迅速な展開 が可能になります。
🚀 ZTPの一般的なステップ
- デバイスの物理設置と電源投入
- 自動IPアドレス取得(DHCP, IPv6 SLAACなど)
- 管理ネットワークへの接続と初期スクリプトの取得
- OAMシステムとの認証・登録
- トポロジへの自動マッピング
- 設定テンプレートの適用と構成反映
💡 3GPPでの位置付けと補完技術
- 3GPP TS 28.541、28.550などでは、 NetConf/YANGベースのプロビジョニング や NRMモデル を活用した構成管理が定義されています。
- Self-Organizing Network(SON) や Service Management and Orchestration(SMO) との連携で、 運用効率化が加速 しています。
ZTPとトポロジ管理の構造
📌 ZTP活用による利点
- 現地作業の自動化 による導入期間の短縮
- トポロジ情報の即時反映 で監視・運用が容易
- 標準化された構成テンプレート による品質の均一化
- O-RAN SMO との連携によるマルチベンダー環境対応
ZTPとトポロジ管理は、 5Gの広域・多層ネットワーク における迅速な導入と安定運用の基盤技術として、今後さらに重要性を増す領域です。
5.5 分析・監視とAIの活用(Analytics, NWDAF, Telemetry)
5Gネットワークでは、高度な可視化・最適化・障害予測を実現するため、 リアルタイム監視 や AIによる分析機構 が重要な役割を果たします。
特に注目すべき要素は以下の3つです:
- Telemetry(テレメトリ) :装置の状態やパフォーマンス指標をリアルタイムで収集・送信する仕組み。従来のポーリング型監視(SNMPなど)に比べて効率的。
- NWDAF(Network Data Analytics Function) :3GPP TS 29.520などで定義される、コアネットワーク内のデータ分析機能。ネットワーク最適化、ポリシー制御、異常検出などを担う。
- AI/MLの統合 :OAMやSMOにAIエンジンを組み込み、予測型運用(Predictive Maintenance)や異常検知の自動化を実現。
🔍 NWDAFの主なユースケース
- セッション中断やQoS低下の検出とSMF/PCFへのフィードバック
- ユーザビヘイビア分析に基づくポリシー最適化
- UEの移動パターンからのハンドオーバ最適化
📡 Telemetryの具体例
- gNBのCPU使用率・無線資源使用率
- UPFのパケットドロップ率・スループット
- RAN遅延やUEの接続状態の変化
🤖 AI/MLの活用場面
- 異常検出:通常時との振る舞いの差異から障害予兆を検出
- 最適化:動的にパラメータを再設定(例:スケジューラ、RRC再設定)
- パターン予測:トラフィック予測によりリソースを事前配備
NWDAFとTelemetry活用構成図
✨ 総括:AIと分析機能の相乗効果
5Gでは、従来の事後対応型運用から、 予測・最適化型のスマートOAM への移行が進んでいます。NWDAFとTelemetryにAIを組み合わせることで、以下のような次世代運用が可能になります:
- ネットワーク品質のリアルタイム監視と即時改善
- 障害予兆の早期検知と自動修復
- ポリシーやQoS設定の動的適用
6. 5Gシステムにおける主要なインターフェースとプロトコル
6.1 RANとコアネットワーク間のNGインターフェース
NGインターフェースは、NG-RAN(5G無線アクセスネットワーク)と5GC(5Gコアネットワーク)間の主要なインターフェースです2。このインターフェースは、gNBとAMF(アクセスおよびモビリティ管理機能)間のN2インターフェース(制御プレーンシグナリング用)と、gNBとUPF(ユーザープレーン機能)間のN3インターフェース(ユーザープレーンデータ用)で構成されています2。NGインターフェースは、無線アクセスとコアネットワーク間の重要な接続であり、シームレスな通信と制御を可能にします。制御プレーンとユーザープレーンのインターフェース(N2とN3)の分離は、全体的なアーキテクチャ原則であるCUPS(制御プレーンとユーザープレーンの分離)と一致しています8。
6.2 コアネットワーク内のNF間のサービスベースインターフェース(SBI)
5GC内のネットワーク機能(NF)は、通常RESTful APIとHTTP/2プロトコルに基づくサービスベースインターフェース(SBI)を通じて相互に通信します1。SBIの例としては、AMFとSMF(セッション管理機能)間のN11インターフェース、SMFとUPF間のN4インターフェース、AMFとAUSF(認証サーバー機能)間のN12インターフェースなどがあります9。ネットワークリポジトリ機能(NRF)は、これらのサービスの発見を容易にする役割を果たします1。SBIの採用は、NFが容易に相互作用し、互いにサービスを提供できるモジュール式で柔軟なアーキテクチャを促進します。RESTやHTTP/2などの標準的なITプロトコルの使用は、統合を簡素化し、既存のエコシステムを活用することを可能にします。
6.3 ユーザー機器(UE)とネットワーク間の無線インターフェース
ユーザー機器(UE)とgNB間の無線インターフェースは、NR-Uu(New Radio User-to-Network)と呼ばれます2。このインターフェースは、スペクトル効率、データレート、および遅延の点で強化された機能を提供するNew Radio(NR)テクノロジーを利用しています3。NRは、低、中、高(ミリ波)バンドを含むさまざまな周波数帯域で動作し、それぞれ異なるユースケースと展開シナリオに適しています2。NR-Uuインターフェースは、5Gにおける無線接続の基盤であり、その進歩は、約束されたパフォーマンスの向上を実現するための鍵となります。広範囲のスペクトルで動作できることにより、柔軟な展開とサービス提供が可能になります。
6.4 その他の重要なインターフェースとプロトコル
- F1インターフェース: RAN内のCU(集中ユニット)とDU(分散ユニット)間のインターフェース(セクション3.4で詳細に説明)。
- Xnインターフェース: RAN内のgNB間で使用され、モビリティおよびその他のRAN機能をサポートします15。
- 非アクセス層(NAS)プロトコル: N1インターフェースを介してUEとコアネットワーク(特にAMF)間のシグナリングに使用されます20。NASプロトコルは、UEとコアネットワーク間のモビリティ管理、セッション管理、およびセキュリティ手順などの重要な制御プレーン機能を処理します。
- パケット転送制御プロトコル(PFCP): ユーザープレーンのトラフィック転送を制御するために、SMFとUPFの間(N4インターフェースを介して)で使用されます6。PFCPは、制御プレーン機能とユーザープレーン機能の分離を可能にし、SMFがUPFのユーザープレーンの動作を管理できるようにします。
- ストリーム制御伝送プロトコル(SCTP): 制御プレーンにおけるシグナリングトランスポートに使用されることがあります18。
- GPRSトンネリングプロトコル(GTP): ユーザープレーンでユーザーデータを転送するために使用されます10。GTPは、5Gコアネットワーク全体でユーザーデータパケットをカプセル化して転送するための主要なプロトコルです。
- TLS 1.2および1.3: SBAにおけるネットワーク機能間のトランスポート層セキュリティに使用されます5。
- OAuth 2.0: SBAにおけるネットワーク機能間のアプリケーション層認証に使用されます5。
7. 最新の高性能・高機能な5Gシステムの主要な機能と特徴
7.1 ネットワークスライシング
ネットワークスライシングは、共有された物理インフラストラクチャ上に複数の論理的で独立した仮想ネットワーク(スライス)を作成することを可能にする技術です2。各スライスは、異なるサービスまたはユースケース(例えば、高度化モバイルブロードバンド(eMBB)、超高信頼性・低遅延通信(URLLC)、大容量多接続(mMTC))の特定の要件を満たすように、異なる品質オブサービス(QoS)、セキュリティ、および遅延特性で調整できます7。ネットワークスライス選択機能(NSSF)は、ユーザー機器(UE)に適切なネットワークスライスを選択する責任を担います9。ネットワークスライシングは、効率的なリソース利用と、さまざまなパフォーマンスニーズを持つ多様なサービスのサポートを可能にする、5Gの主要な革新です。これにより、オペレーターは差別化されたサービスを提供し、新しい垂直市場に対応できます。
7.2 Multi-access Edge Computing(MEC)
Multi-access Edge Computing(MEC)は、コンピューティングとデータストレージをネットワークのエッジ、ユーザー機器(UE)の近くに配置する技術です2。これにより、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)、ゲーム、産業オートメーションなどの遅延に敏感なアプリケーションにおいて、遅延が減少し、アプリケーションのパフォーマンスが向上します2。MECには、ユーザープレーン機能(UPF)をエッジの近くに展開することが含まれます6。また、ネットワークスライシングを活用して、エッジアプリケーション専用のリソースを提供することも可能です19。MECは、5Gにおける低遅延および高帯域幅アプリケーションを可能にするために不可欠です。コンピューティングリソースを分散させることにより、特定のユースケースにおける集中型クラウドコンピューティングの制限を克服します。
7.3 超高信頼性・低遅延通信(URLLC)
超高信頼性・低遅延通信(URLLC)は、非常に高い信頼性と非常に低い遅延を必要とするミッションクリティカルなアプリケーション(例えば、産業制御、自動運転車、遠隔手術)をサポートするように設計された5Gの主要な機能です2。URLLCは、より短い伝送時間間隔、優先トラフィック処理、エッジコンピューティングなどのRANおよびコアネットワークの機能強化の組み合わせによって実現されます2。ネットワークスライシングを使用して、URLLCサービスに対して厳格な信頼性と遅延要件を持つ専用スライスを作成できます7。URLLCは、リアルタイムで信頼性の高い通信が不可欠な産業およびエンタープライズアプリケーションにおいて、5Gの新たな可能性を開きます。
7.4 大容量多接続(mMTC)
大容量多接続(mMTC)は、IoT展開に典型的な、大量の接続されたデバイスをサポートするように設計されています2。mMTCは、データレートが低く、送信頻度が低い可能性のある大量のデバイスをサポートしながら、エネルギー効率を最適化することに重点を置いています2。ネットワークスライシングを使用して、mMTCに関連する多数のデバイスを効率的に管理できます19。mMTCにより、5Gは、スマートシティ、産業用IoTなど、広大で成長しているIoTデバイスとアプリケーションの市場に対応できます。
7.5 その他の高度な機能
- 高度化モバイルブロードバンド(eMBB): 以前の世代と比較して大幅に高いデータレートと容量を提供し、HDビデオストリーミングやAR/VRなどの帯域幅を大量に消費するアプリケーションをサポートします2。
- 柔軟なネットワーク運用: ネットワーク機能公開、スケーラビリティ、多様なモビリティサポート、強化されたセキュリティ、効率的なコンテンツ配信、および以前の世代のネットワークとの移行と相互運用などの機能が含まれます2。
- 強化されたセキュリティ: 5Gには、柔軟な認証フレームワーク、改善された加入者プライバシー(例:IMSI暗号化)、およびネットワークアクセスとネットワークドメインの両方のセキュリティメカニズムを含む、いくつかのセキュリティ強化が含まれています3。
- XRおよびメディアサービスのサポート: Release 18以降には、マルチモーダリティ伝送やマルチモーダルデータフローの協調ポリシー制御など、XR(拡張現実)およびメディアサービスの高データレートおよび低遅延要件をサポートするための機能強化が含まれています25。5G標準の継続的な進化(Release 18の機能が示すように)は、新たなテクノロジーとアプリケーションの要求を満たすためにシステムの機能を強化する継続的な取り組みを強調しています。
表3:主要な5G機能とその利点
機能 | 説明 | 主な利点 | 実現技術 |
---|---|---|---|
ネットワークスライシング | 共有インフラ上に複数の論理ネットワークを作成 | リソースの効率的な利用、多様なサービス要件への対応、新しい市場への対応 | NSSF, 仮想化 |
Multi-access Edge Computing(MEC) | コンピューティングをネットワークエッジに配置 | 低遅延、アプリケーションパフォーマンスの向上、ローカルデータ処理 | UPFの分散配置, ネットワークスライシング |
超高信頼性・低遅延通信(URLLC) | ミッションクリティカルなアプリケーション向けの超高信頼性と低遅延通信 | 産業オートメーション、自動運転、遠隔手術などの実現 | 短い伝送時間間隔, 優先トラフィック処理, MEC |
大容量多接続(mMTC) | 大量の接続されたデバイスのサポート | スマートシティ、産業用IoTなどの実現、エネルギー効率の最適化 | ネットワークスライシング, 低消費電力設計 |
高度化モバイルブロードバンド(eMBB) | 大幅なデータレートと容量の向上 | 高品質なビデオストリーミング、AR/VRなどのリッチメディア体験の向上 | 広帯域幅, 高度な変調方式 |
8. 5Gシステムコンポーネント間の関係
9. 結論
本レポートでは、最新の3GPP技術仕様に基づいた、一般的な大規模モバイルキャリアにおける高性能・高機能な5Gシステムの詳細について解説しました。5Gシステムは、サービスベースアーキテクチャ(SBA)を採用し、制御プレーンとユーザープレーンを分離することで、柔軟性、スケーラビリティ、効率性を高めています。コアネットワーク(5GC)は、アクセスおよびモビリティ管理機能(AMF)、セッション管理機能(SMF)、ユーザープレーン機能(UPF)など、多数のネットワーク機能(NF)で構成され、それぞれが特定の役割を担い、標準化されたインターフェースを通じて連携しています。無線アクセスネットワーク(RAN)は、gNBを中心に構成され、集中ユニット(CU)と分散ユニット(DU)に分離することで、展開の柔軟性を向上させています。
5Gシステムの主要な機能と特徴として、ネットワークスライシング、モバイルエッジコンピューティング(MEC)、超高信頼性・低遅延通信(URLLC)、大容量多接続(mMTC)などが挙げられます。これらの機能は、多様なサービス要件に対応し、新たなユースケースの実現を可能にします。ネットワークスライシングは、仮想的な専用ネットワークを構築し、MECは遅延を短縮し、URLLCはミッションクリティカルな通信をサポートし、mMTCは多数のデバイス接続を可能にします。
5Gシステムは、NGインターフェースを介してRANとコアネットワークが接続され、コアネットワーク内ではサービスベースインターフェース(SBI)を通じてNFが相互に通信します。ユーザー機器(UE)との無線インターフェースはNR-Uuと呼ばれ、高速かつ低遅延の通信を実現します。
3GPPの標準化活動は継続的に行われており、最新のReleaseでは、XRやメディアサービスなどの新たなアプリケーションに対応するための機能拡張が進められています。高性能・高機能な5Gシステムは、モバイル通信の可能性を大きく広げ、様々な産業や社会の発展に貢献することが期待されます。
10. 関連ドキュメント
11. 引用文献
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