目次
- 1. はじめに
- 2. 5G開発に関連する3GPP技術仕様の概要
- 3. 3GPP TSに基づくユーザー機器(UE)開発における困難性
- 4. 3GPP TSに基づく次世代ノードB(gNB)開発における困難性
- 5. 3GPP TSに基づく5Gコア(5GC)開発における困難性
- 6. UE、gNB、および5GC間の相互運用性の確保における困難性
- 7. 3GPP TSの頻繁な更新と進化がUE、gNB、5GCの開発に与える影響
- 8. 3GPP TS内の特定の技術的に困難または複雑な要素の特定
- 9. 結論
- 10. 主要な表
- 11. 関連ドキュメント
- 12. 引用文献
1. はじめに
3GPP(Third Generation Partnership Project)は、世界の電気通信標準化機関が連携して、GSM(2G)から最新の5Gおよびそれ以降のモバイル通信技術に至るまでの技術仕様を開発する国際的な協力プロジェクトです[1]。3GPPの活動は、無線アクセスネットワーク(RAN)、サービスおよびシステム側面(SA)、コアネットワークおよび端末(CT)の3つの主要な技術仕様グループ(TSG)に組織されています[1]。3GPPが開発するのは技術仕様であり、これらは各地域の標準化機関(SSO)によって実際の標準規格に転換されます[3]。
UE(User Equipment)、gNB(next-generation NodeB)、5GC(5G Core)で構成される複雑な5Gネットワークの相互運用性と機能性を確保する上で、3GPP技術仕様(TS)は非常に重要です[3]。これらのコンポーネントをTSに従って開発することは、グローバルに統一されたスケーラブルな5Gエコシステムの実現に不可欠です。
しかし、3GPP TSは膨大な量と詳細さを誇り、さらにこれらの仕様は継続的に進化しているため、開発には固有の複雑さが伴います[1]。各3GPPリリースの規格には、数百もの個別の技術仕様と技術報告書が含まれており、それぞれが何度も改訂されている可能性があります[1]。これらの仕様を理解し、実装することは、開発者にとって大きな課題となります[9]。
本報告書では、最新の3GPP TSに基づいてUE、gNB、および5GCシステムを開発する際に遭遇する主要な困難性を分析することを目的とします。プロトコルの複雑さ、機能要件、設計制約、相互運用性の課題、頻繁な更新の影響など、多岐にわたる側面を検討します。
2. 5G開発に関連する3GPP技術仕様の概要
2.1. 3GPP TSの構造
3GPP TSは階層的な構造で組織されており、RAN、CT、SAといった主要な技術仕様グループ(TSG)が、それぞれの専門分野の仕様を開発しています[1]。RANは無線アクセスネットワーク(gNBとUEの無線部分を含む)に焦点を当て、CTはコアネットワーク(5GC)と端末(UE)のプロトコルを扱い、SAはサービス要件とシステム全体の側面をカバーします。各TSG内には、さらに特定のレイヤーや機能に取り組むワーキンググループ(WG)が存在します(例:RAN WG1は物理層、RAN WG2はレイヤー2および3のRRCを担当)[1]。
2.2. UE開発に関連する主要なTSシリーズ
UE開発に関連する主要なTSシリーズには、以下が含まれます。
-
38
シリーズ: LTE以降の無線技術(5G NRを含む)を規定します[12]。 -
34
シリーズ: UEおよび(U)SIMのテスト仕様を規定します[12]。 -
24
シリーズ: ユーザー機器からネットワークへのシグナリングプロトコル(ステージ3)を規定します[12]。 -
36
シリーズ: LTE(Evolved UTRA)無線技術を規定します(EN-DCシナリオに関連)[12]。
2.3. gNB開発に関連する主要なTSシリーズ
gNB開発に関連する主要なTSシリーズには、以下が含まれます。
-
38
シリーズ: LTE以降の無線技術(5G NRを含む)を規定します[12]。 -
33
シリーズ: セキュリティ側面を規定します[12]。 -
28
シリーズ: シグナリングプロトコル(ステージ3) - (RSS-CN)およびOAM&Pと課金を規定します[12]。
2.4. 5GC開発に関連する主要なTSシリーズ
5GC開発に関連する主要なTSシリーズには、以下が含まれます。
-
23
シリーズ: システム全体およびコアネットワーク手順の技術的実現(ステージ2)を規定します[12]。 -
29
シリーズ: シグナリングプロトコル(ステージ3) - イントラ固定ネットワークを規定し、多くの場合、コアネットワークインターフェイスとサービスをカバーします[12]。 -
33
シリーズ: セキュリティ側面を規定します[12]。
2.5. 3GPPの標準化プロセス
3GPPの標準化プロセスは、以下の3つの段階で構成されています[1]。
- ステージ1: ユーザーの視点からサービスの要件を定義します。
- ステージ2: これらのサービス要件をサポートするための全体的なアーキテクチャを定義します。
- ステージ3: 詳細なプロトコル仕様を通じて、アーキテクチャの実装を定義します。
2.6. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察1: 仕様が異なるTSGおよびWGに分散しているため、単一のコンポーネントに取り組む開発者は、3GPPフレームワーク全体を包括的に理解する必要があります。RAN、CT、およびSAの仕様間の依存関係により、複雑さが増す可能性があります。
- 考察2: 3段階の仕様策定プロセスは、技術的な詳細が段階的に増加することを示唆しています。開発者は、高レベルの要件から詳細なプロトコル仕様までをナビゲートする必要があり、それ自体が困難な場合があります。
3. 3GPP TSに基づくユーザー機器(UE)開発における困難性
3.1. プロトコルの複雑さと多様な機能要件
- UEは、NRに関する
38.3xx
シリーズなどのさまざまなTSで規定されている、物理層、MAC層、RLC層、PDCP層、SDAP層、RRC層、NAS層など、異なるレイヤーにわたる多数の複雑なプロトコルを実装する必要があります[9]。 - 音声通話、データ通信、マルチメディアサービス、ポジショニングなど、多様な機能をサポートするには、それぞれ独自のTS要件セットを持つ、
22
、24
、26
シリーズのTSに準拠する必要があります[1]。 -
38.300
や37.340
などのTSで定義されている、SA(スタンドアロン)、NSA(ノンスタンドアロン)、EN-DC(E-UTRA-NRデュアルコネクティビティ)などの異なるネットワークシナリオを処理する必要があります[23]。
3.2. 厳格な省電力要件と設計制約
- UEはバッテリ駆動デバイスであるため、特にPC2電力クラスの導入により、TSで義務付けられているように、電力消費を最小限に抑えるための慎重な設計が必要です[25]。
-
TS 38.3xx
に従った不連続受信(DRX)などの省電力機能を実装するには、複雑なスケジューリングとネットワークとの連携が必要です[27]。 - 高性能(高データレート、低遅延)と省電力要件のバランスを取ることは、大きな課題です[27]。
3.3. 異なるネットワーク構成およびテクノロジーとの互換性の確保
- UEは、
TS 38.101-1
およびその他の関連仕様で定義されているさまざまな周波数帯域、数値体系、および展開シナリオと互換性がある必要があります[11]。 -
TS 23.502
[29]に従ったLTEとNR間のハンドオーバーなどのRAT間モビリティ、およびTS 23.501
[30]に従った異なるネットワーク間のローミングをサポートするには、複雑な手順への準拠が必要です。 - 異なるベンダーのgNBおよび5GC実装との互換性を確保するには、
38.521
シリーズなどの適合性仕様に対する徹底的なテストが必要です[1]。
3.4. TSで指定された堅牢なセキュリティ機能の実装
- UEは、
TS 33
シリーズで定義されている認証(TS 33.501
[31]に従った5G-AKA、EAP-AKA'など)、制御プレーンおよびユーザープレーンデータの暗号化、および整合性保護のためのさまざまなセキュリティプロトコルをサポートする必要があります[1]。 - 攻撃から加入者ID(
TS 33.501
[32]に従ったSUPI/IMSIプライバシー)を保護することは、重要な要件です。 - さまざまな3GPPセキュリティ関連TSに反映されている、進化するセキュリティの脅威とタイムリーなセキュリティアップデートの必要性に対処します[33]。
3.5. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察3: UEが広範な機能をサポートし、多様なネットワーク展開との互換性を確保する必要があるため、ハードウェアとソフトウェアの複雑さの点で大きな課題が生じます。これにより、開発コストが増加し、市場投入までの時間が長くなる可能性があります。
- 考察4: 省電力と高性能の間の緊張は、UE開発における繰り返しのテーマです。許容可能なバッテリ寿命を維持しながら、高データレートと低遅延を達成するには、高度な設計と最適化が必要です。
- 考察5: 相互運用性の課題は、仕様への準拠に限定されず、さまざまなネットワークベンダーの機器やさまざまな展開シナリオ(ローミング、ハンドオーバー)でのシームレスな動作の確保も含まれます。
4. 3GPP TSに基づく次世代ノードB(gNB)開発における困難性
4.1. 高データレートおよび低遅延要件への対応
- gNBは、
TS 22.261
およびその他の性能関連仕様で定義されているように、5Gユースケースで要求される高スループットと低遅延の目標(IMT-2020要件[37]に記載されている最大20 Gbpsのダウンリンクおよび10 Gbpsのアップリンクのピークレート、およびURLLCサービス[37]で言及されている1 msの低遅延)をサポートする必要があります[11]。 - これらの厳格な要件を満たすための効率的なスケジューリングアルゴリズムと物理層手順(
38.2xx
シリーズ[13]に詳細が記載されている)の実装は、技術的に困難です。 - 異なるQoS要件を持つ高度化モバイルブロードバンド(eMBB)と超高信頼性低遅延通信(URLLC)を同時にサポートすることで、複雑さが増します[39]。
4.2. 高度な無線技術の実装:Massive MIMOとビームフォーミング
- gNBは、容量とカバレッジを向上させるために、
TS 38.101-2
および38.213
で規定されているように、Massive MIMOアンテナアレイと高度なビームフォーミング技術[1]を実装する必要があります[13]。 - Massive MIMOシステムにおけるビーム管理(ビームスイーピング、リファインメント、リカバリー)およびチャネル推定のためのアルゴリズム開発には、大きな課題があります[28]。
- Massive MIMOシステムにおける多数のアンテナ要素の同期と調整には、精密なハードウェアおよびソフトウェア制御が必要です[43]。
4.3. RANにおけるネットワークスライシング機能のサポート
- gNBは、
TS 23.501
および28.530
シリーズ[1]で定義されているように、無線リソースを分割し、異なるスライス間で分離を提供することにより、ネットワークスライシングをサポートする必要があります。 - RANにおけるスライスごとの動的なリソース割り当てとQoS管理の実装は複雑なタスクです[43]。
4.4. 他のネットワーク要素との連携とインターフェース
- gNBは、
TS 38.413
(NG-AP)や38.423
(Xn-AP)などのインターフェース仕様[56]に準拠して、NGインターフェースを介して5GCに、Xnインターフェースを介して他のgNBに接続します。 -
TS 38.401
[56]に従って分離されたアーキテクチャが使用されている場合、F1インターフェース[59]を介してgNB-CUとgNB-DUとのインターフェース接続が複雑さを増します。 - gNB間およびLTEとNR間(EN-DC)のシームレスなハンドオーバーを保証するには、
TS 23.009
および37.340
[23]で定義されている手順の慎重な実装が必要です。
4.5. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察6: 5Gにおける多様で要求の厳しいサービス要件(eMBB、URLLC、mMTC)の同時サポートには、動的なリソース管理とQoS差別化が可能な、高度に柔軟で複雑なgNB設計が必要です。
- 考察7: Massive MIMOやビームフォーミングなどの高度な無線技術の採用は、5Gの性能にとって不可欠ですが、アルゴリズム開発、ハードウェア実装、およびリアルタイム信号処理の点で大きな課題をもたらします。
- 考察8: 分離型gNBアーキテクチャ(CU/DU分割)は柔軟性をもたらしますが、F1インターフェースの管理と異なる論理エンティティ間の機能の調整が必要になるため、gNB開発の複雑さが増します。
5. 3GPP TSに基づく5Gコア(5GC)開発における困難性
5.1. 仮想化およびクラウドネイティブアーキテクチャの実装
- 5GCは、
TS 23.501
および関連仕様[1]で概説されているように、ネットワーク機能仮想化(NFV)およびクラウドネイティブ原則に大きく依存しています。 - COTSハードウェアまたはクラウドインフラストラクチャ上の仮想化またはコンテナ化されたエンティティとしてのネットワーク機能(NF)の開発と展開には、パフォーマンス、スケーラビリティ、およびリソース管理に関連する課題があります[61]。
- 仮想化環境におけるセキュリティ(
TS 33.501
[34]に従ったコンテナセキュリティおよびNF分離を含む)は、重要な懸念事項です。
5.2. サービスベースアーキテクチャ(SBA)の採用と管理
- 5GCアーキテクチャはSBA(
TS 23.501
、29.5xx
シリーズ、[1])に基づいています。 -
TS 29.501
[68]に従った標準化されたサービスベースインターフェース(API)を介した多数のNF間の相互作用の開発と管理には、慎重な設計と実装が必要です。 - これらのAPIのセキュリティ(
TS 33.501
[61]に従った認証、認可)とサービスディスカバリー(TS 29.510
[21]の管理は複雑なタスクです。
5.3. コアネットワーク全体のネットワークスライシングのオーケストレーションと管理
- 5GCは、
TS 23.501
および28.530
シリーズ[1]で定義されているように、エンドツーエンドのネットワークスライス管理を担当します。 - ネットワークスライスのライフサイクル(作成、アクティブ化、変更、廃止)の管理、およびRAN、トランスポート、コア全体のリソースの割り当てには、高度なオーケストレーションメカニズムが必要です[48]。
- 異なるネットワークスライス間の分離とセキュリティの確保(
TS 33.501
[46])は非常に重要です。
5.4. 複雑なモビリティ管理手順とセッション継続性の処理
- 5GCは、
TS 23.502
[11]で規定されているように、異なるトラッキングエリアおよび登録エリア間のUEモビリティを管理します。 - ハンドオーバーイベント中のセッション継続性の確保(
TS 23.009
[29]に従う)とユーザーセッションの管理(TS 29.502
[21])は技術的に困難です。
5.5. 5GC内での包括的なセキュリティ機能の実装
- 5GCは、
TS 33
シリーズで定義されているように、認証(TS 29.509
[21]に従ったAUSF)、認可(TS 29.512
[21]に従ったPCF)、およびTS 33.501
[31]で定義されているデータ保護のためのさまざまなセキュリティ機能を実装する必要があります。 - SBAインターフェースの保護とコアネットワーク内の機密データの保護は、重要な要件です[61]。
5.6. 多様なサービスとアプリケーションに対するQuality of Service(QoS)の管理
- 5GCは、
TS 23.501
および23.503
[11]で規定されているように、サービス要件およびネットワークスライス特性に基づいてQoSを管理する責任があります。 - トラフィックの分類と優先順位付け、QoS要件に基づくネットワークリソースの割り当て、およびさまざまなトラフィックタイプ(eMBB、URLLC、mMTC)に対する差別化された処理の保証は複雑なタスクです。
5.7. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察9: 5GCにおける仮想化およびクラウドネイティブアーキテクチャへの移行は、従来の電気通信の複雑さに加えて、IT関連の課題をもたらします。これには、ネットワーク開発と運用に対する新しいスキルセットとアプローチが必要です。
- 考察10: サービスベースアーキテクチャは、モジュール性と柔軟性を促進しますが、コアネットワーク内のインターフェースと相互作用の数も増加させ、堅牢なAPI管理とセキュリティメカニズムを必要とします。
- 考察11: 5GCにおけるネットワークスライシングには、すべてのネットワークドメイン(RAN、トランスポート、コア)にわたるエンドツーエンドのオーケストレーションと管理が必要です。約束された分離と各スライスの差別化された処理を保証することは、複雑さと調整の点で大きな課題となります。
6. UE、gNB、および5GC間の相互運用性の確保における困難性
6.1. 異なるレイヤー間のインターフェース仕様とプロトコルの整合性への準拠
- さまざまな3GPP TS(例:
38.413
(NG-AP)、38.423
(Xn-AP)、38.473
(F1AP)、24.501
(N1 NAS)、29.518
(N2 AMF)、29.281
(N3 UPF))で定義されている詳細なインターフェース仕様(例:NG、Xn、F1、N1)への厳格な準拠は、相互運用性にとって非常に重要です[56]。 - UE、gNB、および5GC間のシームレスな通信には、プロトコルスタック全体(物理層シグナリングからアプリケーション層データまで)にわたるプロトコルの整合性と、多数のTSに規定されている手順の正しい実装が不可欠です[9]。
- 仕様の不整合または曖昧さ([23]で強調されているEN-DC定義の不整合など)は、相互運用性の問題につながる可能性があります。
6.2. 異なるベンダーの実装間の潜在的な互換性の問題への対処
- 詳細な仕様があっても、ベンダーが異なると、わずかに異なる方法で仕様を解釈および実装する可能性があり、互換性の問題につながります[43]。
- UE、gNB、および5GCの3GPPテスト仕様(例:UEの場合は
38.521
シリーズ、gNBの場合は38.141
シリーズ、[1])に対する徹底的な適合性テストは、相互運用性の問題を特定および解決するために必要です。 - 機能的で信頼性の高い5Gエコシステムを保証するには、異なるベンダーの機器間の相互運用性テストが重要なステップです[11]。
6.3. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察12: 相互運用性は、マルチベンダーの5Gエコシステムにおける基本的な課題です。詳細な仕様があっても、解釈と実装のばらつきにより、重大な統合問題が発生する可能性があります。
- 考察13: 5Gアーキテクチャの複雑さと多数のインターフェースにより、相互運用性の潜在的な障害点が増加します。これらのリスクを軽減するには、徹底的なテストと検証が不可欠です。
7. 3GPP TSの頻繁な更新と進化がUE、gNB、5GCの開発に与える影響
7.1. 新しいリリースへの対応と既存製品への変更の組み込み
- 3GPP仕様は頻繁に更新され、新しいリリースでは新しい機能、拡張機能、および修正が導入されます[1]。
- 開発者は、これらの更新を継続的に監視し、それに応じて開発ロードマップと製品設計を適応させる必要があります。これは、リソースを大量に消費する可能性があります。
- 安定性とパフォーマンスを維持しながら、新しいリリースの変更を既存の製品に組み込むことは、大きなエンジニアリング上の課題です。
7.2. 下位互換性と将来互換性の要件の管理
- 新しいリリースでは、既存のUEおよびネットワーク機器のシームレスな動作を保証するために、多くの場合、以前のバージョンとの下位互換性が必要です[6]。
- 将来の仕様変更を予測して、将来互換性を考慮した設計も困難な場合があります[6]。
7.3. 進化する仕様による継続的なテストと検証の必要性
- 頻繁な更新には、実装が最新の仕様に準拠し、相互運用性を維持するために、継続的なテストと検証が必要です。
- これには、機能テストだけでなく、最新の仕様に対する性能テストとセキュリティテストも含まれます。
7.4. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察14: 3GPP仕様の更新が速いペースで行われるため、開発チームは常に最新の機能を取り入れ、適応する必要があり、他のイノベーションへの取り組みからリソースが転用される可能性があります。
- 考察15: 下位互換性と将来互換性のバランスを取ることで、開発プロセスに複雑さが加わります。新しい機器が古いシステムと連携し、現在の設計が将来の仕様に対応できるようにするには、慎重な計画と設計が必要です。
8. 3GPP TS内の特定の技術的に困難または複雑な要素の特定
8.1. 複雑なプロトコルの例
-
TS 38.331
および36.331
[9]で定義されている、特にモビリティ管理、接続確立、および再構成に関連する無線リソース制御(RRC)プロトコルの特定の手順。 - 登録、セッション管理、およびモビリティ管理を含む、
TS 24.501
[21]で定義されているUE-コアネットワークシグナリング用の非アクセス層(NAS)プロトコル手順。 - QoSフローから無線ベアラへのマッピングに関する、サービスデータ適応プロトコル(SDAP)仕様([22]に記載されている
TS 37.324
)の複雑さ。
8.2. 複雑なアルゴリズム
- スケジューリング、電力制御、干渉管理を含む、
TS 38.331
で規定されているgNBのMAC層における無線リソース管理(RRM)のアルゴリズム。 - 特に高データレートと信頼性を実現するための、
TS 38.211
および38.212
に詳細が記載されている物理層におけるチャネルコーディングと変調のアルゴリズム。 - [43]で説明されているMassive MIMOシステムにおけるビームフォーミングとプリコーディングのためのアルゴリズム。
8.3. 詳細なインターフェース仕様
- gNBと5GC間のシグナリング手順とデータ転送プロトコル(例:
TS 38.414
[90]に従ったNGAP、GTP-U)を定義する、gNBと5GC間のNGインターフェース仕様(TS 38.41x
シリーズ)。 - ハンドオーバーと連携をサポートするための、gNB間のXnインターフェース仕様(
TS 38.42x
シリーズ)。 - 分割されたアーキテクチャを管理するための、gNB-CUとgNB-DU間のF1インターフェース仕様(
TS 38.47x
シリーズ)。
8.4. 洞察、隠れたパターン、因果関係、広範な影響
- 考察16: 3GPP TS内の特定のプロトコルとアルゴリズムの複雑さは、多くの場合、正しいかつ効率的な実装のために深い専門知識と多大な開発努力を必要とします。
- 考察17: 詳細なインターフェース仕様は、異なるネットワーク要素間のシームレスな通信を保証するために、シグナリングおよびデータ転送メカニズムの正確な実装を義務付けています。わずかな逸脱でも、相互運用性の問題やネットワーク障害につながる可能性があります。
9. 結論
3GPP TSに基づいてUE、gNB、および5GCを開発する際の主要な課題をまとめると、プロトコルの複雑さ、多様な機能要件、厳しい設計制約、相互運用性のハードル、頻繁な更新への対応、および仕様内の特定の技術要素の固有の複雑さなど、多岐にわたることが強調されます。
堅牢で相互運用可能な5Gエコシステムを成功裏に開発および展開し、将来の多様なパフォーマンスおよびサービス要求を満たすためには、これらの仕様の徹底的な理解、正確な実装、および継続的なテストが不可欠であることを改めて強調します。
10. 主要な表
表1: 3GPP技術仕様グループとその焦点
WG | 短縮形 | 範囲 | 仕様 |
---|---|---|---|
RAN | RAN | 無線アクセスネットワーク(gNBとUEの無線側面) |
38 シリーズ(無線技術)、34 シリーズ(UEテスト)、36 シリーズ(LTE)など |
CT | CT | コアネットワークと端末(UEと5GCのプロトコル) |
24 シリーズ(UEシグナリング)、23 シリーズ(コアネットワークアーキテクチャ)、29 シリーズ(コアネットワークプロトコル)など |
SA | SA | サービスとシステム全体の側面 |
22 シリーズ(サービス要件)、28 シリーズ(OAM&P)、33 シリーズ(セキュリティ)など |
表2: UE、gNB、および5GC開発に関連する主要な3GPP仕様シリーズ
仕様シリーズ番号 | タイトル/説明 | UEへの関連性 | gNBへの関連性 | 5GCへの関連性 |
---|---|---|---|---|
38 | NR; 無線アクセス技術 | 〇 | 〇 | |
34 | UE(ユーザー機器)適合性仕様 | 〇 | ||
24 | ユーザー機器(UE)とネットワーク間のシグナリングプロトコル | 〇 | ||
36 | Evolved Universal Terrestrial Radio Access(E-UTRA); ユーザー機器(UE)無線伝送および受信 | 〇 | ||
33 | セキュリティ側面 | 〇 | 〇 | 〇 |
28 | シグナリングプロトコル(ステージ3); (RSS-CN)およびOAM&Pと課金 | 〇 | 〇 | |
23 | システムアーキテクチャ | 〇 | ||
29 | シグナリングプロトコル(ステージ3); イントラ固定ネットワーク | 〇 |
表3: 3GPP TS内の特定の技術的に困難な要素の例
カテゴリー | 特定の要素 | 関連する3GPP TS | 複雑さの簡単な説明 |
---|---|---|---|
プロトコル | RRC接続再確立手順 | TS 38.331 |
さまざまな障害シナリオとUE状態の処理 |
アルゴリズム | Massive MIMOプリコーディングアルゴリズム | TS 38.214 |
干渉管理のためのプリコーディング重みの最適化 |
インターフェース仕様 | PDUセッション管理用のNG-APインターフェース | TS 38.413 |
gNBと5GC間のPDUセッションのライフサイクルの管理 |
11. 関連ドキュメント
12. 引用文献
- 3GPP - Wikipedia (4月 15, 2025にアクセス)
- 3GPP - THIRD GENERATION PARTNERSHIP PROJECT - ETSI (4月 15, 2025にアクセス)
- Understanding 3GPP – starting with the basics | Qualcomm (4月 15, 2025にアクセス)
- 3GPP – The Mobile Broadband Standard (4月 15, 2025にアクセス)
- The 3rd Generation Partnership Project (3GPP) (4月 15, 2025にアクセス)
- Introducing 3GPP (4月 15, 2025にアクセス)
- Overview of the 3GPP Space - Tech-invite (4月 15, 2025にアクセス)
- The Technical Specification Groups (TSGs) - 3GPP (4月 15, 2025にアクセス)
- Guide to reading 3GPP Specifications - wirelessbrew.com (4月 15, 2025にアクセス)
- Specifications & Technologies - 3GPP (4月 15, 2025にアクセス)
- 5G System Overview - 3GPP (4月 15, 2025にアクセス)
- Specifications by Series - 3GPP (4月 15, 2025にアクセス)
- 3GPP specification series: 38series (4月 15, 2025にアクセス)
- 3GPP specification series: 34series (4月 15, 2025にアクセス)
- 3GPP 24-series: 3G to 5G UE-to-Network Protocols - Tech-invite (4月 15, 2025にアクセス)
- Specification # 36.101 - 3GPP (4月 15, 2025にアクセス)
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- Comparative Performance Evaluation of 5G-TSN Applications in Indoor Factory Environments - arXiv (4月 15, 2025にアクセス)
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