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NPSサーベイで実施すべき4つの分析手法

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NPS(ネット・プロモーター・スコア)は、顧客のエンゲージメントやロイヤルティを測るための指標で、顧客のキャンセルや離反、あるいはリファラル(紹介)の先行指標として広く利用されています。

一方で、NPSサーベイ(アンケート)を実施しているものの、その結果を確認するだけにとどまり、スコアの改善のための分析までは実施できていないことも多いようです。

そこで今回は、NPSの回答データがあったときに、有用な情報や気付きを得るために実施すべき4つの分析手法を紹介いたします。

NPS(ネット・プロモーター・スコア)とは

NPSは「他の人に推薦したいか」という回答者が取り得る具体的な行動を11段階で質問します。

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そして、回答をスコアによって3つのグループに分け、9以上のスコアをつけたプロモーター(推奨者)の割合から6以下のスコアをつけたデトラクター(非推奨者)の割合を引いて計算します。

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NPSは、一般的に50を超えると素晴らしいものとされ、70を超えると世界中に広がるような「ワールドクラス」の企業やサービスと言われています。

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1. 分布の可視化

以下は前述したAirbnbのNPSの質問に対する回答の分布です。

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NPSが70を超えるようなワールドクラスのサービスの場合、Airbnbのように「9」や「10」に回答のスコアが集中し、50前後になると「7」や「8」に回答が一定量集まるような特徴があります。

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なお、NPSが同じ値でもスコアの分布が異なる場合もあります。

例えば以下のサーベイにおけるNPSのスコアは40です。

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デトラクターはほぼいませんが、積極的にはサービスを推薦していないパッシブの割合が多いことがわかります。

一方で以下のNPSも同様に40です。

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こちらの場合、先程とは異なり、プロモーターの割合が多いものの、デトラクターも一定量、存在しています。

前者のようなサービスの場合、パッシブの顧客をもう一押しして、プロモーターに押し上げることに注力しますが、後者の場合、スコアが低いデトラクターにおける問題の確認と、その解決に注力することが、より重要になります。

このように、スコアの分布によって取り得るアクションが変わるため、スコアの分布を理解することが重要になるわけです。

2. 推移の可視化

先程は基準となるスコアを紹介しましたが、本当に重要なことは「NPSのスコアが継続して改善しているかどうか」です。

なぜなら、NPSのスコアが継続して改善しているのであれば、顧客のエンゲージメントが改善していて、その結果、顧客のキャンセルなどに関する状況も改善していると考えられるわけです。

そのため、NPSのサーベイを実施するときには、継続してそのスコアが改善しているのかどうかをモニターすることが重要です。

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このとき気を付けるべきことが2つあります。

一点目がNPSのスコアにノイズが混じらないように、サーベイを実施するタイミングやサーベイの対象者の性質が、ばらつかないようにするということです。(詳細は以下のノートをご参考ください)

3. 相関分析

これまで見てきた2つの分析手法は、NPSの質問への回答そのものを掘り下げるアプローチでした。

しかし、多くの場合、NPSサーベイや顧客満足度調査においては、NPS以外の質問もします。

例えば、以下はZoomやTeamsのようなオンライン会議ツールに関する顧客満足度調査の結果となり、1行が1人の顧客を表していますが、NPSに関する質問以外にも、様々な切り口で顧客に満足度を確認しています。

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このようなデータがあったときに、実施したい分析が相関関係の分析です。

「相関」とは、2つの変数のうち、1つの変数の値が変わると、もう1つの変数の値も一定の規則をもって一緒に変わる関係です。

仮に「サポートの品質」への満足度が伸びると、NPSが上がるような「相関関係」を確認することができれば、サポートの品質向上に注力して、NPSを高められるかもしれません。

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あるいは、特定のカテゴリー(例: 職種)のNPSが高いのであれば、そういった顧客をターゲットに据えて顧客になってもらうことで、サービス全体のNPSが向上するかもしれません。

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そして、こういった相関関係を調べるときは、バーやラインなどのチャートを使ってNPSを比べることになります。

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ただし、アンケートから取得可能なデータは多く、全てのデータ(変数)を使い沢山のチャートを作ってNPSを比べるのは手間がかかります。

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そこで、注目している変数(NPS)と、他の変数の相関関係を一度に調べることができれば、どういったセグメントや活動に注力すればいいかのヒントをスピーディーに得られます。(画像はデータの加工、可視化、分析、レポーティングのためのUIツールのExploratory、の「相関モード」を利用した結果です)

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なお、NPSのような数値の変数と、それ以外の相関の強さは「R2乗」という指標で計算できます。

そのため、「R2乗」が大きい順に変数を並び替えられれば、NPSとの相関が強い変数を一瞬で確認できます。

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4. 自由記述のテキストと掛け合わせた分析

NPSに関するサーベイを実施したときには、そのスコアを付けた理由に関する自由記述の質問をすることも少なくありません。

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そこで有効なのが、NPSのスコアの回答と、自由記述のテキストを掛け合わせた分析です。

自由記述のテキストデータを分析をするときには、文章を単語に分解し、各単語の登場頻度を集計して頻出単語をもとに、どのような傾向があるのかを分析することは、よくやることの1つです。

そこで、ここからは、以下のように1行が1人のサーベイの回答者を表し、列にはNPSの質問に対する回答のスコアと、その理由を記述したデータをもとに話を進めていきます。

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このデータを使って「推奨度の理由」列で利用されている頻出単語を集計したところ以下のような結果を得られました。

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上記の結果からは、「サポート」、「機能」、「価格」といった単語が多く利用されているといったことが分かりますが、それ以上のことはわかりません。

そこで、回答の傾向をより深くつかみたいときに有効なのが、単語の登場頻度と一緒に使われる単語の関係性を可視化した「ネットワーク図(共起ネットワーク)」です。

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上記のネットワーク図において、サークルは「単語」を表し、円の大きさは「出現頻度」によって決まっていて、出現頻度が多いとサークルは大きくなり、出現頻度が少ないとサークルは小さくなります。

また、各単語をつなぐ線は、一緒に使われている単語を表しており、一緒に使われやすい単語の組み合わせになるほど、線がより太くなり、一緒に使われることが多い単語には、同じ色が付いています。

上記の結果から、例えば、緑色の単語群に注目すると、録画や画面の共有などの機能についての単語が同じグループにまとめられていることや、オレンジ色のグループに注目すると、担当者や問題解決などのサポートについての単語が同じグループにまとめられていることがわかります。

上記の分析を進めることで、回答にどういった傾向があるのかを理解し始められますが、この段階では前述したような回答傾向が、NPSの回答結果とどのような関係にあるのかはわかりません。

そこで、両者の関係を明らかにするために、先程見た頻出単語と、回答のスコアのカテゴリー(例: プロモーター、パッシブ、デトラクター)の比率を可視化することで、NPSのスコアをつけた理由を定量的に推測できます。

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例えば、以下のように「機能」、「導入」、「便利」といった単語は、NPSのスコアが高いプロモーターの人達は、よく利用していることがわかり、それらの点が評価され、高いNPSの回答につながっていることを想定できます。

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一方で、「価格」や「対応」といった単語は、NPSのスコアが低いデトラクター(非推奨者)の人達に多く登場していることが確認できます。

そのため、それらが低いスコアの原因となっていることを推測でき、NPSのスコアを改善するためのアクションのヒントを得られるわけです。

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自分のデータで試してみたい!

今回はNPSのアンケートやサーベイで実施すべき4つの分析を紹介いたしました。

いずれの分析手法も直感的にわかりやすいものですが、いざ、実際に自分のデータを使って紹介した手法を試そうと思うと、集計や可視化に手間がかかったり、テキスト分析を行うためには、コードを書くことが求められます。

そこで、記事内のスクリーンショットで利用している、データの加工、可視化、分析、レポーティングのためのUIツールのExploratoryを利用することで、これらの分析手法の実行が数クリックで実現可能です。

こちらの記事で紹介した分析手法に興味がある方は、それぞれの分析手法をサンプルデータ付きで試せる情報も公開しています。

上記を参考に、ご自身のデータを使って、データの分析をしたい方は、下記のリンクより無料トライアルが可能です。

企業や組織で真にデータインフォームドな文化を作りたい!

企業や組織で真にデータインフォームドな文化を作っていくための最初の一歩として欠かせないデミング哲学を、具体的なビジネスの例を使って解説するセミナーを2024年6月19日に実施いたします。

データを使ってビジネスを改善したい方は、ぜひ参加をご検討ください。

データサイエンスを体系的に学びたい!

今回は自由記述のアンケートデータにおける分析手法を紹介しましたが、実際のビジネスを改善していくためのヒントを得るためには、自分達が注目している指標の将来を予測したり、またはその裏にある因果関係に迫っていくための分析が欠かせません。

そこで、そういった分析手法を基礎から、そして体系的に学びたいという方向けに、データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニングを9月に開催しますので、興味のある方はぜひご参加をご検討いただければと思います。

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