営業またはセールスの方たちのパフォーマンスを上げるためには、売上などの結果の指標だけでなく、日々の営業活動がうまくいっているかどうかを測るためのファネル指標を定義し、モニターする必要があります。
こうした指標を元に自分たちの営業活動のどこで問題が起きているのかを早めに発見し、さらに素早くそうした問題の解決に向けアクションを起こしていけるようになるのです。
そこで、今回は多くの業界で共通する営業のファネル構造と各ファネルで注視しておくべき5つの指標を紹介いたします。
1. リード数
多くの場合、営業の活動は、連絡可能なリード(見込み顧客) の検討ステージが進むことで、受注につながります。
また営業のパフォーマンスが同じ場合、リード数が多ければ多いほど、受注件数・金額は大きくなるので、リード数は重要な指標と言えるわけです。
なお、リードの獲得はマーケティング関連部門が担当することも多いですが、営業としてリード数の推移をモニターすることで、リードの供給量に問題が生じていないかを理解できます。
例えば、リードの供給量が減少しているが確認できれば、リードの獲得に責任を持つ部門と、アクションの改善について速やかにコミュニケーションを取ることができるわけです。
2. フォロー完了数 / フォロー完了率
仮に見込み顧客があなたの商品やサービスを興味を持ってくれたとしても、すぐに商談が発生するとは限りません。多くの場合、お客様に価値のある情報を継続して提供することや、自社の製品・サービスの提案を重ねることで商談が発生します。
そのため、メールや電話などを通して見込み顧客と連絡を取り、自社の製品・サービスの価値を知ってもらうためのフォローアップが必要となるわけです。
そこで、見込み顧客のフォローアップ漏れがないように、どれだけのリードをフォローできているかの指標である**フォロー済みのリードの数(フォロー完了数)**をモニターすることになるわけです。
しかし新規の見込み顧客の数は日々ばらつくので、先月は多くて今月は少ないといったことがよくあります。
そこで、フォロー済みのリードの数(フォロー完了数)ではなく、フォローが完了している割合であるフォロー完了率をモニターします。
リード数と同じように、フォロー完了率の推移をモニターすることで、リードのフォローアップに問題が生じていないかを理解できます。
さらにチームや顧客セグメントごとにフォロー完了率を可視化することで、うまくいっている/いないセグメントを見つけ出し、改善のきっかけをつかむことができるわけです。
3. 商談数 / 商談化率
見込み顧客への提案が成功し、あたなの製品やサービスの必要性を感じてもらえると、商談が発生し、見込み顧客は、実際にあたなのサービスや製品を本格的に利用するかを決めることになります。
そこで、商談数が重要な指標になるわけですが、フォロー完了数と同じように、商談数もばらつくので、フォローが完了したリードのうち、どの程度の顧客が実際に商談まで進んだかの指標である商談化率をもって、営業活動のパフォーマンスを測ります。
フォローアップした顧客のうち、どの程度の顧客において商談が発生しているかの指標をもって、顧客への価値提案がどれだけうまくいっているのかをモニターできるわけです。
これまでの指標もそうですが、指標の推移を可視化したり、セグメントごとの指標を可視化することで、何がうまくいっているのか、あるいはいないのかを理解できますが、セグメントごとに商談化率の推移を可視化することで、どういったセグメントにおける、提案活動を改善できているのかを理解できます。
4. 受注数 / 受注率
最終的な営業活動は発生した商談から受注に至った件数(受注数)・金額で評価をされることは言うまでもありません。
そして、商談がどれだけ受注に至ったかの指標である受注率をもって、クロージング(価値提案・競合に対する優位性の説明・価格調整など)がうまくいっているのかを測ることができます。
時系列で受注率の推移を可視化することで、受注率を改善するための活動がうまくいっているかを理解できますし、セグメントごとに受注率を可視化することで、営業の活動の改善に関するヒントを得られます。
例えば、競合企業ごとに受注率を比べれば、自分たちが強い競合、弱い競合を理解して、商談の際の改善点を検討できます。
5. ファネル全体の遷移率
これまで紹介してき3つの割合の指標は、いずれもステージごとの遷移率の指標でした。
一方で、どの程度の顧客が、それぞれのステージに遷移しているかを理解したいときもあります。
このようなことがわかると、例えば見込み顧客が100人いたときに、どの程度の商談数や受注数を期待できるのかを想定し始められます。すると、目標に対して受注件数が足りないときや、より大きな収益をあげることを期待されているときに、マーケティングチームに、営業チームが必要とする具体的な見込み顧客数を伝えることができるようになります。
ダッシュボードを使って営業指標の計算を自動化、モニターする
他にも営業のファネルに注目したときに考慮すべき指標はありますが、今回は最低限おさえておきたい5つのファネル指標を紹介しました。
実際のビジネスの現場では、これらを定期的にモニターし、ビジネスの状況を的確に把握した上で次のアクションを計画したり、現在の活動の軌道修正を行っていくことになります。
しかし、毎回データを取得し、指標を計算のうえチャートを作っていては時間がいくらあっても足りません。そこで定期的(例:毎日、毎週、毎月)に複数の指標が計算され、さらにそれらのトレンドを把握するための複数のチャートが生成され、1つのダッシュボードにまとめられて、メールなどでその情報が送られてくると、放っておいてもデータを見ていく習慣ができます。
例えば、データの加工とチャートやレポートの作成が簡単にできるExploratoryのようなツールを使ってダッシュボードを作り、スケジュールすることで、毎月(または毎週)最新のデータを元に自動的に生成されたダッシュボードがメールで配信されるようになります。
なお、今回の紹介した指標と、それらをExploratoryを使って実際に計算する方法を紹介したセミナーを最近開催しました。そちらの録画もこちらで公開していますので、ぜひご覧ください!
データサイエンスを体系的に学びたい!
今回は、営業活動のパフォーマンスを上げるために見るべき5つのファネル指標について紹介しましたが、さらに営業活動の改善スピードを早めたり、あるいは営業活動を改善していくためのヒントを得るためには、売上などの指標を予測したり、またはその裏にある因果関係に迫っていくための分析が欠かせません。
そこで、そういった分析手法を基礎から、そして体系的に学びたいという方向けに、データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニングを6月に開催しますので、興味のある方はぜひご参加をご検討いただければと思います。