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データドリブンな営業マンになるなら最低限おさえておきたい4つの基本指標

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営業またはセールスの仕事をされている方たちがデータドリブンになるために、ビジネスの指標をモニターしたいが、どこから始めていいか分からず最初の一歩を踏み出せない、といった相談をよく受けます。

そこで、今回は一般的な売切り型のビジネス(サブスク/SaaS型のビジネスでない)の分野においてデータドリブンな営業の方たちが確実に押さえている基本的な4つのトップライン指標を紹介したいと思います。

なお、ビジネスモデルが異なるサブスク/SaaS型のビジネスで見ておきたい指標は売切り型のビジネスと少し異なりますが、そちらは関してはこちらの「サブスク型ビジネスデータ分析 」ページで紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

1. 売上を増やす2つのエンジン - 新規顧客と既存顧客

当たり前ですが、営業にとって最も重要なことは売上を増やすことです。

そこで売り上げを増やすために何をしなければいけないかを考えるとき、売上を「既存顧客からの売上」と「新規顧客からの売上」に分解して考えることが重要になります。

というのも、この2つのタイプの売上を上げるためのアクションは異なることが多いからです。

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例えば、「既存顧客からの売上」を増やすには1人あたりの売上を増やすための施策や商品を購入してもらう回数を増やすための施策が重要となります。

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逆に、「新規顧客からの売上」を増やすには、例えば広告や口コミなどを使って自分たちのビジネスをより多くの人達に知ってもらうための施策などが重要となります。

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そこで、「既存顧客からの売上」と「新規顧客からの売上」を切り分けたうえで、それぞれのパフォーマンスをモニターしていくことが重要になります。

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なお、1行が1人の顧客の1購買を表すような購買データがあるときに、新規と既存に分けて売上を見るには、初回購入かどうかのラベルをデータに追加することで、そのラベルをもとに、それぞれの売上を可視化できるようになります。

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2. 顧客あたりの売上

上記でも述べたように、「既存顧客からの売上」を増やすためには「顧客あたりの売上」を増やすための活動を行う必要があります。

そこで、「顧客あたりの売上」をモニターし現在の施策、活動がうまくいっているのかどうかを、注意して見ていく必要があります。

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なお、「顧客あたりの売上」は任意の期間(例:年、月など)における売上の合計を顧客数で割ることで、計算できます。

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なお、顧客あたりの売上をセグメントに分けて比べることで、顧客あたりの売上の大きい、優良な顧客セグメントを探索し、ターゲットに据えるべきセグメントのヒントを得ることもできます。

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3. 顧客獲得コスト

売上を増やすには「新規顧客からの売上」を増やすことが重要で、そのためにはより多くの新規顧客を獲得する必要があります。そのため、自社の商品やサービスをより多くの人たちに知ってもらうためのマーケティングやプロモーションの活動を行っていくことになります。

その際、どれだけのコストを掛けることができるのかを把握しておくことが重要で、そのための指標が「1人あたり顧客獲得コスト」です。

もちろんこの「顧客獲得コスト」が前出の「顧客あたりの売上」よりも低くなければ利益が出ません。そして、この2つの指標を正確に把握することで、どれだけ顧客獲得にコストをかけることができるのか、データを元に計画していくことができるようになります。

「顧客獲得コスト」は任意の期間(例:年、月など)の「新規顧客の獲得に費やした総コスト」を「新規顧客数」で割ることで計算できます。

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多くの場合、「新規顧客の獲得に費やした総コスト」は別のシステムやデータベースから取得する必要があったりするため、「顧客獲得コスト」の計算の前にコストのデータと新規顧客数のデータを結合する必要があります。

顧客獲得コストをモニターすることで、新規顧客の獲得にかけているコストが現在のビジネスの状況に対して、適正かを確認できます。

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また、顧客獲得コストをセグメントに分けて比べることで、獲得効率の良いまたは悪い、顧客セグメント・広告媒体・流入経路を理解して、マーケティングや営業活動の注力先を最適化できます。

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4. 営業利益率

新規顧客を増やすための施策にも、そして既存顧客からの売上を伸ばすための施策にもマーケティング費や営業コストがかかるものですが、販促活動を活発に行なった結果、売上は伸びたが利益は減ったというのでは困ります。

そもそもある程度の利益を保つことができなければ、継続的な販促活動が行えなくなるため、長期的には売上も伸びないでしょう。そこで売上に対して利益がどれだけあるかという「利益率」を見ておく必要があります。

なお、利益にはいくつかのタイプのものがあるのですが、営業が注目すべき利益は「営業利益」と呼ばれるものです。これは、売上高から商品やサービスを「生み出すためにかかった費用」である売上原価(原材料費、労務費、設備費)を引いた売上総利益から、さらに商品やサービスを「売るためにかかった費用」である販管費を引いたものです。

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販管費は、広告宣伝費や営業部門の人件費を合わせた「販売費」と、管理部門の人件費やオフィスの賃料などの「一般管理費」などの費用を合わせたものになります。

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営業利益率はこれまでに紹介した指標と同様に時系列で状況を可視化することで、営業利益率が適正であるか、あるいは改善しているのかを理解できます。

さらに、セグメントに分けて比べることで、営業利益率の高いセグメントを理解して、マーケティングや営業活動の注力先を最適化できます。

ダッシュボードを使って営業指標の計算を自動化、モニターする

他にも営業が押さえておくべき指標はありますが、今回はまず最低限おさえておきたい売上、利益に関する4つのトップライン指標を紹介しました。

見る指標が決まったら、これらを定期的にモニターし現在のビジネスの状況を的確に把握した上で次のアクションを計画したり、現在の活動の軌道修正を行っていくことになります。

そこで、毎回データを取得し、計算し、チャートを作るのは大変なので、こうしたプロセスを自動化したいものです。

例えば毎月などのタイミングで自動的に複数の指標が計算され、さらにそれらのトレンドを把握するための複数のチャートが生成され、それらが1つのダッシュボードとして手元に送られてくると、放っておいてもデータをチームで見ていく習慣ができます。

例えば、データの加工とチャートやレポートの作成が簡単にできるExploratoryのようなツールを使ってダッシュボードを作り、スケジュールすることで、毎月(または毎週)最新のデータを元に自動的に生成されたダッシュボードがメールで配信されるようになります。

データやチャートの生成を自動化することで、どの指標を見るべきか、どう定義するべきか、指標のトレンドによってどのようにアクションを変えていくか、といったよりビジネスに直結する本質的な活動により多くの時間を使えるかどうかがデータドリブンになれるかどうかにとって重要となります。

今回の紹介した指標と、それらをExploratoryを使って実際に計算する方法を紹介したセミナーを最近開催しました。そちらの録画がこちらで公開されていますので、ぜひご覧ください!

データサイエンスを体系的に学びたい!

今回はデータドリブンになるための最初のステップとして重要な営業の指標について紹介しましたが、さらにその先に行くには、売上などの指標を予測したり、またはその裏にある因果関係に迫っていくための分析が欠かせません。

そこで、そういった分析手法を基礎から、そして体系的に学びたいという方向けに、データサイエンス・ブートキャンプ・トレーニングをこの3月に開催しますので、興味のある方はぜひご参加をご検討いただければと思います。

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