#きっかけ
ある日、vSphere 7に関する本が社内の本棚に追加されました。その中の1冊がこちら
今井 悟志著『VMware vSphere7 インテグレーションガイド』
個人的に気になっていた本を、嬉しいことに社内で1番目に読む機会をいただいたので、本書の書評を書いてみました。
#どんな本か
本書は、仮想化技術やvSphereに初めて触れる方や、vSphereの構築をしたことがあっても要件定義面はあまりやったことがない方、VMware社製品体系について詳しくない方向けに、vSphereに関する多くの情報を盛り込んだ解説書です。(と私は感じました)
そのことについては、”はじめに”でも
本書がVMware vSphereの専門書としての初めの一歩の道しるべになれば幸いです。
と触れられています。
解説書の意味合いが強いので手を動かす機会はあまりなく、電車バスの移動中でも難なく読めると思います。(単行本だとかさばる厚さですが)
#対象読者層
以下の方に向いている書籍だと思いました。
○vSphereに初めて触れる方
○VMware製品について広く浅く知りたい方
○ESXi、vCenter Serverを初めて構築する方
○vSphereを用いたオンプレ環境の要件定義を担当することになった方
逆に、以下の方には向いていないかもしれないと思いました。
×vSphereを既に現場で構築した経験がある方
×クラウド基盤でvSphereを用いようと考えている方
×詳細設計などで、辞書的に使おうと考えている方
#本書の構成
各章が独立しており、目次から自分が一番知りたいところをピンポイントで学べ、時間がない方に優しい構成になっています。
以下目次の引用です。
Chapter 1 仮想化とは
Chapter 2 vSphere 7の基礎知識
Chapter 3 環境を作る準備
Chapter 4 vSphere 7の新規スタートアップ
Chapter 5 vSphere 7へのアップグレード
Chapter 6 vSphere 7の管理
Chapter 7 vSphere 7環境デザインのポイント
Chapter 8 クラウドの活用
Chapter 9 vSphere 7のマイグレーション
Chapter 10 vSphere 7の運用
Chapter 11 バックアップ/リカバリと災害対策
Chapter 12 vSphere 7の他の製品群
Chapter 13 vSphere 7ラボ環境を作る
この内、実際に手を動かしてインストールや設定を行うのは、Chapter 4, 6辺りでその他は技術や製品の解説がメインです。
#各章の概要と感想
各Chapterの感想を述べます。
Chapter 1 仮想化とは
vSphereから一歩離れて、仮想化技術についてが書かれています。工学部チックで苦手な人には読みにくいかもしれません。
Chapter 2 vSphere 7の基礎知識
題名の通りvSphere周りの基礎知識の解説が書かれています。VMware製品の略語や機能についてが一通り学べます。普段vSphere製品に触っている方でも、vSphere 7で新たに追加された機能など新しい学びがあると思います。
Chapter 3 環境を作る準備
インストールの前に必要となる、ハードウェアやライセンスの選定に関する記述があります。普段、調達をやられない方ですと、意識してない面を知ることができます。
Chapter 4 vSphere 7の新規スタートアップ
ESXiとvCenter Serverを実際にインストールします。スクリーンショットが多く掲載されているので、初心者でも難なくインストールできると思います。
Chapter 5 vSphere 7へのアップグレード
こちらは実際にアップグレードを行うわけではなく、アップグレードを行うにあたって考慮すべき事項が書かれています。こちらも、構築メインで運用フェーズをやられていない方は参考になると思います。
Chapter 6 vSphere 7の管理
タグやアラーム、スケジュールなどのvCenter Serverの主要な機能の解説があります。
Chapter 7 vSphere 7環境デザインのポイント
アーキテクトな話がメインで、それをvSphereの機能でどう実現するかが書かれています。特に、仮想ゲストや仮想スイッチ、ストレージの冗長化の話は面白かったです。
Chapter 8 クラウドの活用
最近のXaaSの話題や、オンプレとクラウドの比較の話が書かれています。こちらも要件定義チックな話がメインです。
Chapter 9 vSphere 7のマイグレーション
仮想ゲストの移行にかかる話です。オンプレやクラウド間の移行にも言及しています。VMware社さんがかなり柔軟に移行方法を用意してくれていることが学べます。
Chapter 10 vSphere 7の運用
監視やユースケースの話が簡単に書いてあります。監視に使えるVMware製品名がさらっと書いてありますが、その操作画面のキャプチャなどがなく、少し残念です。
Chapter 11 バックアップ/リカバリと災害対策
災害時、障害時のための設計に関する話が書いてあります。図が多いのでイメージがしやすいです。
Chapter 12 vSphere 7の他の製品群
書籍では紹介しきれなかったVMware社製品の体系が学べます。運用系、NSX、Tanzuやトレーニングコースについて書かれています。製品名は知っていたけれど、どういう時に使う製品だったか知らないものもあり、勉強になりました。
Chapter 13 vSphere 7ラボ環境を作る
ESXiのカスタムイメージの話や、Raspberry Pi 4にESXiをインストールする話が書かれています。
#まとめ
いかがだったでしょうか。本記事がVMware vSphere7 インテグレーションガイド購入の参考になりましたら幸いです。
現在vSphere 7 U2が登場しており、本書で紹介されているよりも機能が豊かになっています。一方で、vSphere 7に関する和書はあまり充実しておりません。
まずは、VMware vSphere7 インテグレーションガイドを読了し、次に出る、中上級者向けの参考書を待つのがよいかもしれません。
#書籍URL
出版元リンク
https://book.impress.co.jp/books/1120101062
Amazon リンク
VMware vSphere7 インテグレーションガイド
##備考
なお、弊社Webサイトでは各種技術系記事を投稿しております。
ITdo!/技術情報/いけふち