まえふり
電気回路部品の抵抗の値は仮数部と指数部に分けた浮動小数点で示されます。例えば122で12×10の2乗で1.2kΩ(いってんにキロオーム)になります。普通の抵抗部品は炭素皮膜抵抗器で有効数字が2桁の許容差±5%のものが秋葉原で100本100円程度で売られています。
105は10×10の5乗で1.0MΩを表します。1000kバイトという半端な数が1Mバイトと同じ所謂SI接頭辞の規則に従います。お店で抵抗部品を買うとき「いちメガオームの抵抗をくださいな。」で話しは通じますが、女性店員さんから「ワッテージは?」とか突っ込まれる等するので事前に調べておきましょう。
ところで、某抵抗器で有名なメーカのホームページ(XXX株式会社> 製品情報 > 電子部品の基礎知識 > 抵抗値の表示方法)にこの様な説明がありました。(平成29年1月現在)
<MΩの読み方>
抵抗値などでは桁を表す記号としてk(キロ)、M(メガ)、G(ギガ)などがありますが、抵抗値でMΩはメガオームとは読みません。英語ではohmなど単位の語が母音で始まる場合、接頭辞の末尾の母音が除される(Mega~ではMeg~になる)という規則があり、MΩはMeg-ohmとなり「メグオーム」と読みます。
メガオームとは読まないの!?
メガオームとは読まないだとぉ。・・・それならkΩの読み方はキルオームやんけー!GW(ギガワット)はジゴワットかぁ~。(元ネタ解説のWikipediaへのリンクを付けました。)
村田製作所さんのホームページ(エレきっず学園>電子部品のはたらき>抵抗器とは?)や進工業さん(抵抗の基礎知識)ではMΩ (メガオーム) という読みが確認できるのでメーカー各社にバラツキがあります。ちなみに、経済産業省関係特定保守製品に関する省令では絶縁抵抗値はメガオームだったりします。
メグオームを調べてみよう
ということで手持ちの文献を軽く調査してみました。
電気測定 鈴木寿伝次 著 大正15年発行
国立国会図書館永続的識別子 info:ndljp/pid/1020108
今は国立国会図書館デジタルコレクションで読みづらい上に欠損ページもありますけど読めます。
P126 絶縁抵抗測定 総説
絶縁抵抗は導体が電気を通過せしむると反対に、電気の通過を妨げる目的を以て用いられた物体が有する抵抗を言うもので、通例高抵抗であるから、単位にはメグオームを用いる。
電気通信自主技術開発史 搬送電話編 日本電信電話公社 昭和47年発行
P217 朝鮮海峡第1無装荷海底ケーブル障害第1号の記
しかし、このケーブル障害で、わたしは毎晩の絶縁試験がいかに重大なものであるかを
つくづく知らされた。けっして、1メグといえどもおろそかにされない。
ソフトウェアの信頼性 IBM Systems Research Institute Glenford J.Myers 有澤 誠訳 昭和52年初版発行
P10 ハードウェアの信頼性
故障は製品にはじめから存在するのではなく、操作中の何らかの原因、例えば分子欠陥から生じた退化、熱、湿気、摩擦、放射線などの物理現象のために生じるエラーである。故障の例としては、摩擦のためのスイッチの摩耗、過熱による磁気コアの磁性消失、絶縁のゆっくりした退化によるIC(集積回路)の故障などをあげることができる。
Qiitaは「プログラミング知識を共有しよう」ですから最後の文献はお約束ということで。
さて、電気抵抗は部品としての管理をされる人工的な抵抗の他に、寄生抵抗と呼ばれる天然素材や周囲環境、接触状況などに由来の抵抗として、絶縁抵抗、接地抵抗、接触抵抗などもあります。メガとかメグより、この区別の方が大事だと私は考えます。大事なのですが普通科高校を出て大学の電気科などに入ると習わない事もあるので現場で教えて頂いたりします。なお文部科学省の複線型教育については私は知識の交換が出来るので素晴らしいと思っています。
そして、この部品としての抵抗と寄生抵抗の区別がどの位大事かと言えば、nite 独立行政法人製品評価技術基盤機構が電気製品の事も評価して公開しているので、ここを参考にすると良いと思います。
で、結局のところメガなの?メグなの?
MΩの呼びはメガオームなのかメグオームなのかですが、私は学校でメグオームとか習ってないので、電子工作で抵抗を買うときは「1メガオームの抵抗をくださいな~。」と言ってます。コー○さんゴメンナサイ。でも過去からの慣行によるメグオームという読み方もありと思います。郷に入れば郷に従えデス。
パソコンのお掃除
プログラミングが大好きな人達があつまるQiitaですので、きっとご自宅にもパソコンがあると思います。最近、CPU性能の向上が鈍化していてパソコンを買い換える機会が少なくなっていると思います。古くなったら年に1回くらいはテーブルタップ周りやファンの回りのホコリをお掃除などしてあげてください。ホコリが水分を吸収すると寄生抵抗になり電気が流れれば発煙・発火の恐れもあります。それと平形のAC電源ケーブルは机で踏んづけたりすると絶縁抵抗が下がるので交換してあげてください。
ところで昔(20世紀末)、風の噂ですがコンピュータのサーバーを買ってきたら付属のAC電源ケーブルは捨てて秋葉原の愛三の地下でAC電源用のキャブタイヤケーブルを買ってくるって聞いたのですが今でもそーだったりするのでしょうか。
記事を書いた切っ掛け
記事を書く切っ掛けになったのは下記ツイートでした。
最近まで1MΩを1メガオームと読んでいた…。
私は1メガオームと読み続けますが、勉強になりました。ありがとうございました。
おまえは結局何が言いたいんだっ!
電気の世界は現場に近くなると少し職人属性があるので大きな声で怒鳴られる感じで問い詰められる事もごくたまにあります。(本当にごく希で普段は紳士的ですよー^^ )
メガとかメグとか随分細かい事が気になるのが多い昨今ですが、この2つのどちらが正しいのかと言う二項対立ではなくもう少し寛容になれないのかなと思う事が最近になって増えてきていると感じています。近年アメリカ英語を小学校から教える様になりました。グローバル化と言うのであれば英語に限らず、もっと世界の言葉、ジャンボー(スワヒリ語)ですとかニイハオ(中国語)ですとかナマステ(サンスクリット語)ですとかスパシーバ(ロシア語)ですとかグラーツェ(イタリア語)も教えてあげた方が視野が広がると思うのは私だけなのでしょうか。と言う愚痴を言いたかっただけです。
ところで数式の大中小括弧は小学校で下記の様に習いますが、
[ { ( a + b )+c } - d]e
海外では下記の様に
{ [ (a+b)+c] -d }e
書く国もあります。
参考
しなぷすの独り言 MΩは「メガオーム」?それとも「メグオーム」?
次回予告
半導体のキャリアとキャリヤ、論理回路のディジタルとデジタルの違いについて調べています。どなたかご存じないでしょうか?