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JavaScriptでなんちゃって演算子オーバーロード---四則演算子

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はじめに

前回は自作の数値計算ライブラリの実行用(フロントエンド)を紹介した。
この数理計算ライブラリには複素数、ベクトル、行列クラスなどがある。
そうなると欲しくなるのが四則演算+,-*,/などの演算子オーバーロードである。
JavaScriptは演算子オーバーロードはサポートされていないがトランスパイラであるBabelのPluginを使うことで擬似的に作ることができる。
その方法を、備忘録を兼ねて記事にする。

Babel Plugin

Babelは言わずとしれたトランスパイラである。
Babel Pluginはこ のBabelの処理の途中に独自の処理を加えてソースコードを書き換えるものである。
その処理には元JSからAST(抽象構文木)に変換してそれを元に別のJSに変換するのもである。
そのため、この処理をより深く理解するためにはASTの知識が合ったほうがいいがその知識は参考文献にしておく。

白状するとこの記事はほぼこの記事、JavaScriptで演算子オーバーロードしてみる(BabelでAST)、のパクリです。

下準備

複素数クラスやベクトル、行列クラスにはそれぞれ+.-.*./に対応するadd,sub,mul,div等のメソッドを定義しておく
更にそれを橋渡しする関数mul(a,b)等を以下のように定義する。

mul.js
const mul=(a, b=void 0)=>{
    if( typeof(a)==='number' && typeof(b)==='undefined' ) return a;
    else if( typeof(a)==='number' && typeof(b)==='number' ) return a*b;
    else if( typeof(a)==='object' && typeof(a.mul)==='function' ) return a.mul(b);
    else if( typeof(b)==='object' && typeof(b.mul)==='function' ) return b.mul(a);

    throw new Error('!!! mul invaild !!! undefined calculation');
}

export mul;

つまりnumberとnumberであればそのまま、一つがオブジェクト(クラス)でありaddメソッドがあればそれを呼ぶ用にする。
つまり各クラスの掛け算の実体はクラスメソッドに定義しておく。

Pluginの登録

今回の使い方ではブラウザのJavaScript上で動かすのでブラウザ上で動かすので
<script src="node_modules/@babel/standalone/babel.js"></script>
のように読み込んでおく、これをするとBabelオブジェクトが定義されるのでそれにPluginを登録する。

登録の本体は以下のようにする。

operator_overload.js
Babel.registerPlugin('operator_overload', ({ types: t })=>{
    return {
        visitor: {
            Statement(parentPath){
                parentPath.traverse({
                    BinaryExpression(path){
                        const { left, right, operator } = path.node;
                        let fname;
                        if( operator==='+' ) fname=t.identifier('add');
                        else if( operator==='-' ) fname=t.identifier('sub');
                        else if( operator==='*' ) fname=t.identifier('mul');
                        else if( operator==='/' ) fname=t.identifier('div');
                        else return;

                        path.replaceWith(t.callExpression(fname, [left, right]));
                    }
                });
            }
        }
    }
});

ここで{ types: t }はBabelの識別子などを生成するコンテキスト(オブジェクト)であり、これを通じてコードなどを生成する。
ここでBynaryExpressionは二項表現でいわゆるオペレーターで2つの変数等をつないだものである。
callExpressionは普通の関数呼び出しで第一引数が関数名であるがこれらはtから生成されたものでないといけない。
つまり、二項表現でさらに+,-,*,/の場合だけ

befor.js
a+b;
a+b+c;
after.js
add(a, b);
add(a, add(b, c));

のように書き換えている。

使用例

使うときはこのようにする。

run.js
function run(){
    const { code }=Babel.transform(original_code, { presets: ['env'], plugins: ['operator_overload'] });
    const f=Function(code);
    f();
}

最後に

Babel pluginの簡単な例として演算子オーバーロードの例を解説した。

より体系的な解説などはここ(Babel Plugin Handbook)にあると思います

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