[備忘録] C/C++コードのある区間の所要時間を求めたい(Windows/Linux両対応)

時間測定ライブラリ

このプロジェクトは、Windows、Linux、macOS に対応した 高精度な時間測定ライブラリ です。
Windowsでは QueryPerformanceCounter()、Linux/macOSでは clock_gettime() を利用し、ナノ秒単位の精度で実行時間を測定できます。

ソースコード

get_time.h (計測対象のソースにこれをインクルード):

#pragma once
#ifndef H_GET_TIME_H__
#define H_GET_TIME_H__
#endif

#include <stdio.h>
#include <stdint.h>

#ifdef _WIN32
#include <windows.h>
#else
#include <time.h>
#endif

#ifdef _WIN32
double get_time(void) {
    static LARGE_INTEGER freq;
    static int initialized = 0;
    if (!initialized) {
        QueryPerformanceFrequency(&freq);
        initialized = 1;
    }

    LARGE_INTEGER now;
    QueryPerformanceCounter(&now);
    return (double)now.QuadPart / freq.QuadPart;
}
#else
double get_time(void) {
    struct timespec ts;
#ifdef CLOCK_MONOTONIC_RAW
    clock_gettime(CLOCK_MONOTONIC_RAW, &ts);
#else
    clock_gettime(CLOCK_MONOTONIC, &ts);
#endif
    return ts.tv_sec + ts.tv_nsec / 1e9;
}

#endif

main.c (使い方サンプル):

#include <stdio.h>
#include <stdint.h>

#include "get_time.h"
#ifdef _WIN32
#include <windows.h>
#else
#include <time.h>
#endif

int main(void) {
    double start = get_time(); // ↓この区間の所要時間を計測したいとします。
    for (volatile int i = 0; i < 99999; i++) {}
    double end = get_time();   // ↑この区間の所要時間を計測したいとします。

    printf("所要時間: %.9f 秒。\n", end - start);

    return 0;
}

機能

• ✅ クロスプラットフォーム対応 (Windows / Linux / macOS)
• ✅ 高精度な時間測定 (ナノ秒単位です)
• ✅ シンプルな API (get_time() を呼び出すだけです)
• ✅ 低オーバーヘッド (パフォーマンスへの影響が最小限度だと思います)

ファイル構成

ファイル名	説明
get_time.h	高精度時間測定関数 get_time() を定義するヘッダーファイル
main.c	get_time() を使用して実行時間を測定するサンプルプログラム

技術解説

このライブラリでは、各プラットフォームに応じた高精度なシステム関数を使用しています。

1. Windows の時間測定

Windows では QueryPerformanceCounter() を使用し、高精度なタイムスタンプを取得します。

測定方法

1. QueryPerformanceFrequency() を呼び出し、1秒あたりのカウント数を取得します。
2. QueryPerformanceCounter() で現在のカウンタ値を取得します。
3. カウント値を周波数で割ることで、秒単位の時刻を計算します。

計算式:

(double)now.QuadPart / freq.QuadPart

2. Linux/macOS の時間測定

Linux および macOS では clock_gettime() を使用し、ナノ秒単位の高精度な時刻を取得します。

測定方法

1. clock_gettime(CLOCK_MONOTONIC, &ts) で現在の時刻を取得します。
2. ts.tv_sec (秒) と ts.tv_nsec (ナノ秒) を結合し、秒単位の時間を計算します。

計算式:

ts.tv_sec + ts.tv_nsec / 1e9

CLOCK_MONOTONIC_RAWが使用できる場合はカーネルの補正がない生の時間を取得し、より正確な測定が可能です。

使用方法

1. コンパイル

Linux/macOS

以下のコマンドでコンパイルし実行できます。

gcc -o main main.c -lrt
./main

(注: -lrt は clock_gettime() のリンクに必要な場合があります。)

Windows (MinGW)

gcc -o main.exe main.c -O2
main.exe

Windows (Visual Studio)

1. 「 x64 Native Tools Command Prompt for VS 」を開く
2. 環境変数を設定 (設定例です。環境依存です。)

   "C:\\Program Files\\Microsoft Visual Studio\\2022\\Community\\VC\\Auxiliary\\Build\\vcvars64.bat"
   

3. コンパイル

   cl main.c
   main.exe
   

実行結果

所要時間: 0.000123456 秒。

(値はシステム性能に依存して変動します。実行するごとに状況に応じて変わることもあります。)

用途

• 簡単なコードブロックのパフォーマンス測定
• 短いループの実行時間を測定
• 異なるアルゴリズムのベンチマーク

このライブラリは 高精度 かつ 低オーバーヘッド なので、パフォーマンスクリティカルなアプリケーションにも最適なのではないでしょうか。