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IT技術も「作者の気持ちをわかる」ことが大切

Last updated at Posted at 2021-08-10

はじめに

エクセルとかgoogleスプレットシートとかをサクサク使いこなしているような、いわゆるIT技術に強い人と、そうでない人との違いはなんでしょうか?

才能?
勉強量?
理系脳?

もちろん答えはいくつもありますけど、特に大事なのは、「作者の気持ちを考えられるか」だと僕は思っています。

国語の定番設問ですね。
この時の作者の気持ちを15文字で答えなさい。
ってやつです。

知らんよ! 作者に聞けよ! とツッコミを入れたくなるやつですが、実はIT技術においてとても大事な考え方です。
なんなら、すべてのベースとなる基本にして奥義である必殺技だと言っても過言ではありません。

ぜひこの記事を、僕の気持ちも考えながら読んでみてください。

「技術」と「科学」の違い

IT技術に対して漠然と

理系の領域。めっちゃロジカルに考えられる人じゃないと無理

と考えている方が一定数いらっしゃるように思います。

これ、もちろん一部は正解ですが、一部は間違いです。

おそらくですが、「技術」「科学」の区別が曖昧なのだと思います。

大学の情報学科とかで学ぶような内容は、それはもうド理系の分野です。
2進数とかベクトルとか三角関数とか、聞くだけでうんざりするような数学知識がじゃんじゃんでてきます。
「こんなん勉強していつ役に立つんだよ」と思っていた高校数学の授業を、まさしく役に立てていくツライ領域です。

そして、こういうのはどちらかといえば「科学」の領域です。
人工知能とかアルゴリズムとかはまさに科学ですね。

でも、実務で使うようなエクセルとかGoogleスプレットシートとか、いわゆる「パソコンが得意」と言った時に出てくるようなIT技術については違います。
これは文字通り、IT 「技術」です。

なにが違うかというと、科学が自然界の法則とかを相手にするのに対して、技術は人が作ったものを相手にするものなわけです。

なので、技術というのは

説明書を読んで、サンプルを見て、理解できたら、自分でもやってみる。

という領域です。

科学を扱うなら「理系の領域。めっちゃロジカルに考えられる人じゃないと無理」というのはその通りかもしれません。
でも、技術を扱うならその限りではありません。
だって、人が使うために作られたのが技術ですからね。

そして、世の中のほとんどの「パソコンを使って作業する人」が扱うのは、技術の方です。

技術を扱うとは、作者の気持ちを考えること

技術は、人が作ったものを扱う領域だと説明しました。
つまり、エクセルをはじめとした様々なIT技術には作者がいるということです

当たり前ですけど、エクセルを作った人がいるんです。

マイクロソフトで働いてるトムさん(仮)が、みんなが快適に使えるようにと設計して作ったのがエクセルだとすれば、エクセルを使うために必要なのは理系脳じゃなくて、作者の気持ちを考えることだと思いませんか?

なんなら、ユーザーが快適に使えることを目指して作られている分、難解な文学作品よりもエクセルの方がよっぽど親切です。

そして、国語の「作者の気持ちを考えろ」がなんの役に立つのかは難しいところですが、技術の「作者の気持ちを考えろ」は、その技術を理解するための1番の近道です。

例: 「貼り付け」のショートカットキー

例えばこれはエクセルに限りませんが、コピーしたものを貼り付けるショートカットってCtrl + Vですよね。
コピーのショートカットは「Copy」のCなんでしょうけど、じゃあなんで貼り付けは「Paste」のPじゃないんでしょうか。

それは、単純にキーボードの「P」が押しにくい位置にあるからです。
コピーしたらすぐにペーストするんだから、ショートカットは隣り合ったキーが便利でしょ?
と、ショートカットを作った人は考えたわけです。

すごく人間的だと思いませんか?
そして、その気持ちがわかったら、貼り付けのショートカットを覚えやすくなると思いませんか?

「貼り付けはV」と覚えるのは、暗記が得意な人なら気にならないかもしれませんが、ちょっととっかかりが少なくて難しく感じます。
でも、「コピーした後に貼り付けやすいように、Cのとなりにある」なら、すんなり腹落ちもしやすいですね。

学校の勉強でもそうですが、ただ暗記するというのは人間の脳にはなかなか難易度が高いものです。
背景を理解するというのは、技術そのものを理解することの強力な助けになります。

作者の気持ちを考えることから始めてみる

では今、関数がごちゃごちゃ絡み合った複雑怪奇なエクセルのシートを同僚から渡されたとして、これを理解しようと思ったらどうするでしょうか?

とりあえず適当なセルをクリックしてみて、そこに書いてある関数を読み解こうとするのは、お勧めしません。
わけのわからん関数の羅列は、余程耐性のある人でなければ目が焼かれます。
目が焼かれて、やる気を吸い取られて、そっとエクセルと閉じたい気持ちが溢れ出します。

おすすめは、やはり「作者の気持ちを考える」ことです。

これを作った人は、

  • なにをしたかったのか?
    • 売上をカテゴリごとに分析したかった?
    • 毎日手で集計してたレポートを、エクセルで自動化したかった?
  • どうやって解決しようとしたのか?
    • A列にデータを入力したらB列に変換結果が出て、それを別シートにグラフ化する?
    • 実は電卓で計算したものをエクセルに手入力する?

これがわからない状態で、詳細を把握しようとするのはもはやただの苦行です。

可能であれば、そのエクセルを作った人に上記を聞きましょう。
それが難しいなら、せめてエクセルの全体を眺めて感じ取ることから始めましょう。

作者の気持ちがわかったら、ごちゃっと書いてある関数も理解しやすくなってきます。
A列にデータを入力したらB列に変換結果が出るとわかっていれば、B列に書いてある関数はA列を見て何かの変換をしているというヒントがある状態で読めるわけですからね。
これをノーヒントで関数だけ見て理解するのは、そりゃキビシイ戦いです。

これは「人が作ったエクセルを理解する」話ですが、自分でエクセル計算を作るために使い方を理解する、という場合も同じです。

  • なんでエクセルがこういう作りになってるんだろう?
  • なにがしたくてこういう関数があるんだろう?

と、想いを巡らせることで、無闇に暗記するより遥かに効率的にエクセルを習得していくことができるはずです。

一流のプログラマだって同じ

これ、決してIT苦手な人だけの話ではありません。

一流のプログラマであっても、まずは作者の気持ちを知ることから始めます。
その証拠に、良いプログラムには必ず「コメント」がついています。

このプログラムは、こういう動きをするよ。
こういうことを考えてコードを書いてるよ。

というメモをプログラムに書いておくのです。

そして、初心者ほどこのコメントを書くのをめんどくさがり、上級者ほどしっかりとコメントを書きます。
なぜなら、そのプログラムを読む人に「自分の気持ち」をわかってもらうことが大事だと理解しているからです。

余談ですが、プログラマの99%は、1週間も経てば自分のプログラムなんてすっかり忘れてます。
必要に迫られて過去のプログラムを読むときは、自分が書いたコメントを読みながら、ああそうだった、と自分で再確認していくのです。

1からプログラムを読んで理解していくなんて、時間がもったいないし気持ち的にもツライ。
「気持ち」を理解してから取り組むのが一番効率的だ。

と、IT技術のプロだって思っているのです。

まとめ

「パソコンが苦手」という方の中には、詳細なところから理解しようとして挫折する方が多い印象です。
でも、それは「パソコンが苦手だから」というのは関係なくて、プロのプログラマにとっても辛いやり方です。

ITツールにはすべて「作者」がいて、その作者は「みんなが使いやすいようなツールを作ろう」と思っています。
なので、まずはその「作者の気持ち」を考えるところから始めるのが、苦手克服への第一歩です。

もちろん、複雑なツールであるほど、その作者の気持ちを理解するために必要なIT知識も増えていき、理解の難易度が上がっていきます。
でも、その必要なIT知識だって、やっぱり作者がいるのです。

千里の道も一歩から。
でも、近道があるならまずはそちらに踏み出すのがいいに決まってます。

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