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Ingressエージェント兼業新人マッパーさんのためのOSM豆知識

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この記事は OpenStreetMap Advent Calendar 2017 の18日目として、Ingress1 エージェント2 向けに書いた自分の Google+投稿 を転載し、ゲーム内の用語などについて注釈を加えたものです。
マッパー歴1年半ほどの若輩者ですので、先輩マッパーの皆さんから見て不備などありましたら、ご教示いただけるとうれしいです。

IngressAGの為のOSM(OpenStreetMap) にGoogle+上でエージェント向けに自分で書いたもの、他のエージェントがOSMについて言及したものをまとめてますので、興味のある方はご参照ください。

Q. なんでこんなに道路ずれてるの? 道消えてるの?

A. 日本国内のOSMの道路データは、主に2011年頃にYahooから寄付されたデータを一括インポートした物が基になっているそうです。データの鮮度は2011年よりも更に古いということになります。
当時のYahoo地図はアルプス社由来のデータを使用していたため、これらの道路には source=YahooJapan/ALPSMAP が付されています。
一括インポート後にマッパーが編集した地域では衛星写真や現地調査による位置の調整、Yahooで漏れていた道の描画などが行われていますが、誰も編集していない地域ではインポート当時の精度の低いデータのままになっている場所がたくさんあります。
アカウント取ってレッツ編集( ゚∀゚ )

Q. 建物が消えたよ(´・ω・`)

A. 建物は特に一括インポートは行われてないので、誰かが描かないとOSMには永遠に載りません。気になったら描きましょう。
自宅1棟だけぽつんと描いたりすると家バレの可能性3 もあるので、周辺1ブロックぐらいは描きましょう。
OSMのデータ全般に言えることですが、活発なマッパーのいる地域はやたら詳しく、誰もいない地域は空白地帯ということがままあります。
GoogleMapのデータが少ない地方の小さな町では、逆にOSMに変わって今までなかった建物がスキャナー4 上に現れたということもあると思います。

Q. どうやって編集するの? 専用のGPS端末や高度な測量の知識が要るの?

A. 多くの場合は、使用を認められている航空写真・衛星写真を下絵にトレースして道路や建物を描き、データを追加します。
日本国内は地理院オルソ画像、Microsoftから使用を認められているBing航空画像が主になります。
(Bingは位置の精度が低めなので、地理院オルソが使える地域はできるだけ地理院オルソを使ってほしいです…)
解像度が高いGoogleMapの衛星写真を参照したくなりますが、ストリートビュー含め認められていないのでご法度です。

初心者向け:OSMのサイトにログインして「編集」ボタンを押して使うブラウザ内エディタの iD
中級者以上向け:OSM編集用のアプリ JOSM (要JAVA8・WinMacLinux対応)

このいずれかが主な編集ツールです。
背景画像として上記のBingや地理院オルソなどを指定すると、OSMのデータと背景画像が重なって表示されるので、写真に合わせて建物などを描きます。
スマホ向けのツールでライン(道路など)、ポリゴン(建物など)を編集できる使いやすいものがないので、現状はPC必須です。

登山道や公園内通路などはGPSログをトレースして描くこともありますが、Android・iPhoneともGPX形式でログを取れるアプリがたくさんあるので、専用機がなくても大丈夫です。

Q. Ingressのために道路と建物だけ編集しても怒られない?

A. 実際に存在する事物がOSMのデータにないので追加する、あるいは誤っているので形状や位置を修正する行為は、動機5 が何であれ歓迎されます。
マッパーにも色々な人がいて、全国の鉄道ばかり、空港ばかり、高速道路ばかり専門に編集してたり、公衆電話や消火栓をひたすらマッピングしてたり…という方もいらっしゃいます。
地元の事物を現地のリアルタイムな土地勘に基づき航空写真をトレースして描くというのは、OSM的にはむしろ王道な編集スタイルだと思います。
特に道路を正しく描くことはイン活6 ポケ活のためのみならず、後に続くマッパーが建物やその他様々な事物を追加していくための基礎としてとても重要です。

既存OSMコミュニティの側でも、今回のナイアンティックの採用をきっかけに日々地域を歩き回ってその土地をよく知っている7 エージェント&トレーナーがマッパーデビューして、編集が追いついていなかった空白地帯のデータが充実するのをwktkしながら待っていたりします。
ということで、遠慮は要らないのでバシバシ編集しましょう!
ただし悪意なく間違うのは仕方ない(ベテランマッパーだって間違いはあります)ですが、故意に実在しない事物を描いたり、あるいは実在するものを勝手に削除しちゃったりするのはだめですよ。

Q. 編集したけど、いつIngressのスキャナーに反映されるの?

A. 更新頻度は現在検討中とのことです。
https://plus.google.com/u/0/+mMikanZuki/posts/4TgKmwPjsB3
個人的には週1ぐらいで更新してほしいですが、厳しいでしょうね。
ちなみにOSM本体の地図表示には数分から数時間で反映されます。

Q. Ingress・ポケモンGO以外でOSMのデータが使われてる所ってあるの?

A. Foursquare の地図がOSMらしいです。(使ってないので詳しく知らない)
私の副業穴掘り( Resources8 というAndroidゲーム)もOSMの地図を使っており、私はここからマッパー沼に飛び込みましたw

通信回線がなくても使えるオフライン地図アプリの MAPS.ME (Android・iOS)、 OsmAnd (Androidのみ)9もOSMのデータを使用していて、月1ペースでデータが更新されます。
これらの地図アプリでは、OSMのタグとして入力した建物名称や営業時間などを検索することもできますが、GoogleMapにはデータ量、精度とも全然かなわないのが現状です。

GISソフトによる集計資料などのベースとして、オープンデータで使いやすいOSMが使われることも多々あります。

(追記)Google+にて、nogajunさんより FacebookInstagram もOSMの地図を使用との情報をいただきました。ありがとうございます。

Q. Ingressのスキャナーには載らないけど、石碑とか彫刻を登録してもよろし?

A. よく訓練されたエージェント10 なら、日々のイン活を通して自分の活動地域の記念碑・彫刻・郵便局・公園・東屋・神社・寺院・ローソン等々11 が脳内マップに刻み込まれていることでしょう。
OSMに載ってなければどんどん載せちゃいましょう。
ただしポータル名が必ずしも正式名称ではないので、ちゃんと調べてから。
公園の遊具「色あせたパンダ」12 「怖いアヒル」13 とかそのままOSMに入力しないようにw
迷ったら、例えば記念碑のタグ historic=memorial だけ付けておいて名称は空欄のまま登録するというのもありです。
IntelMap14 から取得したポータルの緯度経度はナイアンティックの所有データでOSMへのインポートを認められているものではないので、あくまでもポータルを訪ねて得た知識(その場所に記念碑がある)を参考に航空写真等で位置を特定してクリックし、OSMに描き加えるということです。

Q. タグ付けで迷ったらどこに聞けばいいの?

A. Google先生に「OSM 道路」とか聞くと、OSMwikiの該当ページに案内してくれます。
http://wiki.openstreetmap.org/wiki/JA:%E9%81%93%E8%B7%AF (一例ですよ)

Twitterのアカウントをお持ちなら、ハッシュタグ #osmjp を付けてつぶやくと誰かが答えてくれるかもしれません。

まずはLearnOSMというわかりやすい導入サイトがありますので、こちらを一通り眺めてみてください。
http://learnosm.org/ja/

メーリングリストもあり、細かい議論はこちらで行われています。
https://openstreetmap.jp/ML
https://www.mail-archive.com/talk-ja@openstreetmap.org/ (過去ログ)

Q. 森林ががが…

A. 場所によっては派手にずれてますね。
KSJ2というタグが付いているのは国交省の国土数値情報(規約改定により現在はインポート不可)からインポートされたデータですが、かなり古いようです。
アウトラインを航空写真合わせで直すぐらいの軽易な修正はやっちゃっていいと思います。
ただし森林のような大きなデータは複数のラインやポリゴンを組み合わせたリレーションという形を取っており、理解せずに一部を削除したりするとデータが壊れることもあるので、わからなければ触らない方がいいです。
同様に海岸線も初心者が触らない方がいいものです。



  1. Ingress: Googleの社内ベンチャーであったナイアンティック社が開発した、スマホGPSにより現実世界で青と緑の2陣営に分かれて賽の河原の石積みの如くポータルという名のチェックポイントを取ったり取られたりを繰り返す陣取りゲーム。2017年12月、突如アプリ上で使用される地図がGoogleマップからOSMに変更され、一部プレイヤーがOSMに興味を持つに至った。 

  2. エージェント: Ingress内ではプレイヤーのことをエージェントと称する。 

  3. 家バレ: IngressはスマホGPSを用いて活動するゲームで、ゲーム上のログから行動範囲がバレバレになってしまうため、家バレ職場バレを警戒するプレイヤーが多い。 

  4. スキャナー: Ingressのゲーム上ではスマホアプリをスキャナーと称する。転じてスマホ本体をスキャナーと呼ぶエージェントも多い。用例「道凍っててイン活中に転んだけど、スキャナーだけは守らなきゃと思って右手かばって左手捻挫したさ」 

  5. 動機: 記事執筆時点でIngressのスキャナー上にはOSMのデータから道路(歩道や線路なども何故か含む)と建物しか反映されていないので、大半のエージェントにとってOSMに記載可能なその他の事物はどうでもいい。 

  6. イン活: Ingress活動の略。割と一般的に言う。ポケモンGO活動をポケ活というのが一般的かどうかは知らない。 

  7. その土地をよく知っている: Ingressをプレイしてポータル巡りをしたり、人によってはポータル申請のために申請できそうな事物を探してうろうろしたりする中で、地元の地理について異様に詳しくなるエージェントが多い。彫刻等のパブリックアートや郷土史に関心を持ち調査したり、関係するIngress外のコミュニティへ活動を広げていく者もいる。 

  8. Resources: スマホGPSにより現実世界で仮想の鉱山を掘って自分の会社を拡大していくAndroidゲーム。アプリ上でMapnik他OSMのマップタイルがそのまま使用されている。Ingressと兼業している社長(プレイヤー)が多い。https://play.google.com/store/apps/details?id=ch.pala.resources&hl=ja 

  9. OsmAnd: Androidのみと書いたけどiOS版というのもあるらしいですね。この記事書いてから判明。https://itunes.apple.com/jp/app/osmand-maps/id934850257?mt=8 

  10. よく訓練されたエージェント: 元々はSF風のバックストーリーを持つIngressのゲーム上で運営が使った用語だが、日々の生活や思考がIngressに支配されてしまったエージェント達がしばしば自虐的に使う表現。 

  11. 記念碑・彫刻・郵便局・公園・東屋・神社・寺院・ローソン等々: Ingress上でポータルになっていることが多い事物。ローソンは提携企業として各店舗をポータル化し、年数回エージェント向けのキャンペーンを開催している。 

  12. 色あせたパンダ: 北海道北見市に実在する公園内遊具のポータル名。 

  13. 怖いアヒル: 札幌市中央区大通公園内に実在する遊具のポータル名。 

  14. IntelMap: ポータルやCF(各ポータルを三角形に結んで作るフィールド)の状況などが確認できるオンライン地図。エージェントのみ閲覧可能。記事執筆時点で背景はGoogleマップ由来の黒ベースの地図、または衛星写真。 

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