はじめに
- ESXi 6.5 → 7.0 バージョンアップで、Web Clientへの接続方法が変わった
- ESXi 6.5:vCenterサーバにログイン → ブラウザでWeb ClientのIPアドレスを入力
- ESXi 7.0:6.5のvCenterサーバ(踏み台サーバ)にログイン → ブラウザで7.0環境のWeb ClientのIPアドレスを入力
→なぜめんどくさい仕様になったのでしょうか。変更点をまとめました。
ESXi 6.5 → 7.0 変更点
比較項目 | ESXi 6.5 | ESXi 7.0 |
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リリース年 | 2016年11月 | 2020年4月 |
vCenter Serverの提供形態 | Windows版 & VCSA両方 | VCSA(アプライアンス)のみ |
vSphere Client | Flashベース(旧)とHTML5版が混在 | 完全HTML5対応(vSphere Client統一) |
ハードウェア互換性 | 古いハードにも対応 | 最新CPU・ストレージに最適化(旧ハード非対応が増加) |
セキュリティ機能 | 基本機能のみ | vSphere Trust Authorityなど強化 |
ライフサイクル管理 | 手動が多い(CLI/Update Manager) | vSphere Lifecycle Managerで一括管理 |
Kubernetes対応 | なし | vSphere with Tanzuでネイティブ対応(Enterprise+) |
ハードウェアドライバの対応 | 多数のレガシードライバあり | 古いドライバは削除・非推奨が増えている |
1. vCenterの変更
- ESXi 6.5: vCenter Server は Windows 上にもインストールでき、VCSA(vCenter Server Appliance)も選択肢にあった
-
ESXi 7.0: VCSA のみ提供。Windows版は廃止され、Linux ベースの仮想アプライアンスに統一された
- メリット:インストールが簡単、管理が一元化される、セキュリティ向上
2. vSphere Client(管理UI)の改善
- ESXi 6.5: FlashベースUIが残っていて不安定・重い
- ESXi 7.0: 完全にHTML5ベースに統一され、動作が軽くなった
3. ライフサイクル管理が進化
- ESXi 6.5: 個別ホストの管理にはUpdate ManagerやCLIを使用
-
ESXi 7.0: vSphere Lifecycle Manager(vLCM)による一元管理が可能
- ex. 複数ホストのバージョンやファームウェアを一括で管理できるように
4. セキュリティの強化
- ESXi 6.5: 基本的なセキュリティ機能
- ESXi 7.0: vSphere Trust Authority(vTA)によるセキュアブートや暗号化の強化 + ハードウェアのセキュリティ機能(TPM 2.0)への対応
5. Kubernetesとの統合
- ESXi 6.5: Kubernetesに対応していなかった
-
ESXi 7.0: vSphere with Tanzu によるネイティブ対応が追加
- コンテナの管理と仮想マシンの管理を一元化できるようになり、Kubernetesの導入が簡単に
6. ハードウェアのサポートと制限
- ESXi 6.5: 広範なハードウェア互換性
- ESXi 7.0: 新しいCPUやストレージがサポートされる一方で、古いハードウェアは非推奨になることが増加
ESXi自体はマイナーチェンジだが、管理ツール(vCenter)や拡張機能、連携システムが大きく進化
安定性・セキュリティ・運用性UP
古い環境との互換性がなくなるかも
Q: Web Clientへの接続方法が変わったのはなぜ?
7.0で「Linuxベースのアプライアンス」になった
アプライアンスとは
- アプライアンス(appliance):OSやアプリケーションがあらかじめセットアップされた専用仮想マシン
メリット | 詳細 |
---|---|
簡素化 | Windows ServerにvCenterをインストール→設定…という手間をなくすため、最初から構成済みのアプライアンスを提供 |
セキュリティ強化 | WindowsベースのvCenterはパッチ管理や脆弱性対応が煩雑。Linuxベースに統一して攻撃対象を減らす |
運用の一貫性 | VMwareとしてサポート対象を絞ることで、トラブル対応やアップデートが一貫して行いやすくなる |
リソース効率 | 軽量なPhoton OSベースで動くため、仮想マシンとしてもパフォーマンス・安定性が良い |
Linuxベースとは
vCenter Server 6.5(=Windowsベース)
ユーザーが Windows Server を用意 → その上に vCenter Server を手動でインストール
vCenter Server 7.0(Linuxベースのアプライアンス)
VMwareが提供する VCSA(vCenter Server Appliance) を展開するだけ
「OS + vCenter本体 + 管理ツール」がすべてセットになったオールインワンの仮想マシン
GUIじゃないLinuxに接続するために
- RDP(リモートデスクトップ)は Windows専用
- LinuxベースのVCSAにはRDPでは接続不可。SSHでCUI操作(ターミナルでコマンド入力) するのが一般的
- ただし、vCSAにはGUIの管理画面が用意されているため、ブラウザからGUI操作(web client) が可能
よって、6.5のvCenterを踏み台にして、7.0へアクセスする
- 7.0のvCenter(Linux)に 直接RDPできない
- 6.5のvCenter(Windows)には RDP接続できる
→ まず6.5に入って、そこから7.0のWeb GUI or SSHへ接続
これがいわゆる 踏み台サーバ。直接アクセスできないサーバに入るための中継サーバ
参考:踏み台にできる条件
- 同一ネットワークにいる
- ex. 192.168.1.10 と 192.168.1.20 → 同じサブネット(/24)。IPの第3オクテットが同じ
- 通信が許可されている(FWやルーティングでブロックされてない)
xxx. 用語
単語 | 説明 |
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vSphere Web Client | Flashベースの管理画面(vSphere 6.5までの主流)。現在は非推奨・非サポート |
vSphere Client(HTML5版) | HTML5で動作する管理画面(vSphere 6.5以降で段階的に移行)。vSphere 7.0 ではこれが標準。正式名称も「vSphere Client」 |
Web Client(俗称) | 単に「ブラウザからアクセスする管理画面」のことを指すことが多い。上記2つの総称的な使われ方をすることも |