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教えないのに学びが深まる!研修を成功させる3大フレームワーク【ODSC/PREP/4Cs】

Last updated at Posted at 2025-07-23

はじめに

「退屈な講義を聞いて終わるだけ」「学んだはずなのに、現場で全然使えない」
 ─そんな研修、身に覚えありませんか?

この記事では、私たちが実践している「教えない」研修スタイルの設計や運営の工夫、そして現場での事例をご紹介します。
アジャイルやスクラムに関する研修事例ではありますが、研修全般にも応用できる内容だと思います。

少しでも皆さんの現場での「学びの場づくり」のヒントになれば嬉しいです。

一度で書き切る予定でしたが、長くなりそうなので連載形式にしました。

第1回:計画編 - 研修デザインのフレームワーク

研修を設計する際に私が活用しているフレームワークを3つご紹介します。

🧩 ODSC 目的・成果物・成功基準を明確に設計しよう

研修デザインやワークショップにおいて、まず大切なのは「どこに向かうのか」を共有することです。
その際に活用しているのが ODSC フレームワークです。Objectives、Deliverables、Success Criteriaの頭文字を取ったもので、覚えやすい名前ですよね。

O:Objectives(目的)

なぜこの研修や取り組みを行うのか? を明確にします。「何をするか(手段)」ではなく、「どのような 状態 になっているか(達成イメージ)」を描くことがポイントです。

D:Deliverables(成果物)

目的を達成するために“何を作るのか?” を定義します。目的と手段が混ざらないように注意しましょう。個人的にはこの時点でアジェンダが決まっていないことも多く、具体的な成果物が浮かばない場合は先に進めています。

SC:Success Criteria(成功基準)

いつ・どこまでできれば成功といえるか?を具体化します。Objectivesが達成されたかを判断するための指標です。あとから修正しても構いませんが、ここを丁寧に考えることで研修の設計がグッと明確になります。特に 研修時間内に確認できる指標 を設定するのがポイントです。

✅ ODSCをなぜ使うのか?

アジャイルやスクラムに関する研修であるため、研修そのものにも「透明性・検査・適応」が必要だと考えています。ODSCを使えば、

  • 透明性(誰に・どんな価値を提供するか)
  • 検査(成功基準による評価)
    が明確になり、目的に対して柔軟に研修を改善することができます。

🔍 参考リンク


🗣 PREP 検討事項が漏れないようにする

良い会議や研修は「当日のファシリテーション」よりも「事前準備」で決まると言っても過言ではありません。
Prep(プレップ) は、検討漏れを防ぐためのシンプルで強力な設計フレームです。

これは ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社 で紹介している手法で、Purpose・People・Process・Propertyの4つ観点で場作りをしていきます。
※似た用語でPREP法というものがあるようですがそれとは別ものですね

🟡 Purpose(目的)

この場は 何のために存在するのか? を定義します。
ODSCで言えば「O」に相当します。

🔵 People(参加者)

参加者 を具体的に考えます。研修の参加者はどんな属性で、何を知っていて、何を知らないのか? どんな疑問を持っているか? を明らかにします。 次に紹介するProcessと交互に見ながら検討すると、より実態に即した設計となります。

🟢 Process(進行)

アジェンダ(流れ)を設計します。 各ステップにどれくらいの時間をかけ、どのようなシナリオで進めるのかを考えます。講義にするのか、ワークにするのか、質疑・休憩は?配布資料や投影スライドは?など、頭の中で仮想的に進行してみることが重要です。全体の構成に、後述する4Csを取り入れるとより効果的です。

🔴 Property(必要なもの)

場を成立させるために必要な物・情報・環境 を洗い出します。Processを設計する中で自然と見えてくる部分もありますが、あえて「準備物」という視点で見返すことで、意外な抜け(例:ゴミ袋など)に気づけることがあります。

✅ Prepをなぜ使うのか?

その場しのぎの計画では、価値ある場づくりはできません。参加者に確実に価値を届けるためにも、あらかじめ設計・準備しておきましょう。参考リンクにはテンプレートもあるので活用してみてください。

🔍 参考リンク

🔄 4Cs

Sharon Bowman著『Training from the Back of the Room』で提唱される4Csは、参加者の「自ら学ぶ力」を引き出すための設計フレームワークです。 講師が後ろに立ち、「教える」のではなく「引き出す」アプローチです。4Csは、Connect、Concept、Concrete Practice、Conclusionの4つのCで構成されます。

🔗 Connections(つながり)

参加者と研修テーマ、自分の業務、目的などの「つながり」を意識的に作ります。参加者の意識を研修に向け、アラインさせるようなイメージです。
※もし内職している人がいたら、Connectionsが上手くいっていないかもしれません。

🧠 Concepts(概念)

新しい概念を学ぶ際の知識ギャップを埋め、次のステップにスムーズにつなげます。
参加者のレベル感は様々ですし、「何をするのか分からない」不安を抱えている場合もあります。
この段階で、知識・不安・やることをクリアにし、「学ぶ準備が整った状態」に持っていきます。

✋ Concrete Practice(体験・練習)

ワークショップの実施フェーズです。講師はできるだけ口を出さず、参加者同士の学びを支援します。

🎯 Conclusions(まとめ・行動)

参加者が「今日の学びをどう活かすか?」を言語化し、行動に結びつけます。ふりかえりの時間としてとても重要です。

✅ 4Csをなぜ使うのか?

一方的な講義形式の学習効果が低いことは、近年の研究でも明らかになっています。4Csのように、対話や体験を重視したアプローチは「アクティブラーニング」として教育現場でも広がりつつあります。
また、「教えるのではなく気づかせる」という姿勢は、スクラムマスターにも求められる重要な素養です。 アジャイルやスクラムとも相性が良いと実感しています。

🔍 参考リンク

まとめ

今回は、研修設計に活用している「ODSC」「Prep」「4Cs」の3つのフレームワークをご紹介しました。どれもシンプルでありながら、本質を捉えた強力なツールです。「ODSC」で目的を明確にして「Prep」で具体化する。「4Cs」を使ってより効果的なワークショップに仕上げる。というイメージで私は使っています。会議やワークショップなど、学びの場全般に応用できますので、ぜひ使ってみてください。

次回は、これらのフレームを実際の研修にどう適用したかをご紹介します。

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