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紙面の「AI」を「数理モデル」に入れ替えて読んでみたらすっきりした話

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「AI(人工知能)」という言葉の居心地の悪さ

先週よく使っているニュースアプリからこんな記事がハイライトされてきました。

『センサーとAIを使い幸福度を高める行動を各人にアドバイス』JBpress (参照日:2018年6月3日)

今ではすっかり市民権を得た「AI(又は人工知能)」という言葉についてですが、私は「AI(人工知能)」という言葉が上記のような文脈で使用されることに対して未だに違和感を覚えます。ややヒューリスティックですが、おそらく違和感の原因は

  • 日常で使う「知能」という言葉のニュアンスと機械学習における「知能」という言葉のニュアンスが異なる

ためであると考えます。

世界大百科事典第2版によれば知能とは適応力、抽象的思考力、学習能力の3つの側面を持つとされます。これが我々の日常で使う「知能」という言葉のニュアンスだとすれば、機械学習における「知能」とは以下の二点で異なります。

まず抽象的思考能力ですが、当たり前のように大半の(実用化されているものに関しては100%の)機械学習システムは抽象的思考能力を有していません。しかし「人工知能」という言葉を日常の文脈でとらえた際にあたかも計算機が抽象的思考能力を有しているように見えてしまう、これが第一の誤謬だと思われます。

続いて適応力と学習能力についてですが、おそらく機械学習システムではオンライン学習によるパラメータの最適化能力をもってシステムの適応力ないしは学習能力とし、知能の定義を満たすと考えているのではないかと思います。
 しかし辞書の定義をもう少し詳しく読むと適応力とは「新しい場面や困難な問題に直面した際の」適応力であり、学習能力は「知識や技能を経験によって獲得すること」といった意味で使われていることがわかります。つまり日常生活における「知能」では「知能」に対して全く新規な環境に対する柔軟な対応力や、学習によって次々と新たな能力を獲得していくということが期待されていると想像できます。
 おそらくここが第二の誤謬で、現在の機械学習システムが領域特化型とよばれるシステムであり、チャットボットに画像分類をさせようとしても学習もしなければ反応もしないことから分かる通り、機械学習システムは今までの学習データと全く異なるデータに出会った時に柔軟な対応をすること、および期待された能力と別の能力を学習によって獲得することを不得手としています。これは我々が日常の「知能」に対して期待する水準をはるかに下回るものであり、「人工知能」の日常語化に伴う違和感に繋がるのだと考えられます。

改善案

そのため本記事では現在巷に流通している「人工知能(AI)」という言葉を「数理モデル」と言い換えることを提案します。なぜなら

  • 現在の「人工知能革命」の主たる原動力は最先端のモデルと最適化手法にあるのではなく、社会・経済的な現象に数理モデルを当てはめるというアイデアそのものにある

と考えるからです。
実際にKaggleが1万6000人のデータサイエンティストを対象に「仕事で一番よく使う手法は何か(複数回答可)」を尋ねた調査では、CNNやRNNを抑えて、ロジスティック回帰や決定木が上位に食い込みました。データの可視化は統計モデルに関係なく行われる操作なので全員の共通項をとったときに上位に来ることは必然なのですが、結局ビジネスにおいて活用されることが多いのは解釈の容易な簡単なモデルです。それでもビジネスの世界では、意思決定に統計モデルを用いる時点でかなり新しい視点なのではないかと思われます。

Screenshot from 2018-06-10 23-48-22.png

実験

実際にWeb上のニュース記事のうち「AI」に関連するものを取り出して、タイトルの原文と、タイトル中の「AI」という単語を「数理モデル」と入れ替えたものを読み比べてみます。今回はGoogle NewsのAPIを使って直近1週間の記事のうち「人工知能」をクエリとして(「AI」はクエリに入れると英語の記事が大量に出るため除外)20件の記事を取得しました。Google News APIはこのページからAPIキーを取得することで誰でも無料でリクエストできます。

from newsapi import NewsApiClient
import pandas as pd

newsapi = NewsApiClient(api_key='xxxxxxxx')

all_articles = newsapi.get_everything(q='人工知能',
                                      from_param='2018-06-01',
                                      to='2018-06-09',
                                      sort_by='relevancy',
                                      page=2)

articles = pd.DataFrame(all_articles['articles'])
titles = articles[articles.title.str.contains("AI|人工知能")].drop(2)[['title']]

結果はtabulateモジュールでマークダウン形式に出力します。なお、見出しがかぶっている記事とタイトルに「人工知能」または「AI」を含まない記事は除外しています。

from tabulate import tabulate
print(tabulate(titles, tablefmt="pipe", headers="title"))
index title
0 「南部美人」酒造りにAI導入 酒米の最適な吸水時間を算出/岩手・二戸(デーリー東北新聞社)
3 AIコピーライターの衝撃 広告代理店は今後どうなる?
4 保全の再訪率半減、AI活用で最適な修理作業を自動提案する技術(MONOist)
6 MRI、北京大とAI分野の共同研究に着手(BCN)
7 【画像】2014人工知能学会誌の表紙かわいいwwwwwwww
9 【講演会】AIや5G、ビジネス広げる 法整備も必要【デジタルサミット】
10 電子書籍のマンガ、AIで「モアレ」少ない自然な画像に 共同印刷(ITmedia NEWS)
12 シャープ、AIoTプラットフォーム対応の「AQUOS 4K」第2弾(BCN)
13 新入社員の退職リスクをAIが判定したら離職率低下につながった(ニュースイッチ)
14 ブス界イチの美女・大沢あかね、人工知能の「顔採点」で驚きの結果が
15 AIベンチャーのHEROZ、純利益2.6倍に B2B好調(ITmedia NEWS)
16 AI活用で新入社員が辞めなくなる? 面談者が気づかない退職リスクを判定して成果が出た事例
18 日本オラクル、納税者サービスに関するAIチャットボットの実証実験に参画(ZDNet Japan)
19 「自分に合う靴」AIが提案 靴と足の3Dデータをマッチング(ITmedia NEWS)

さて、タイトルの「人工知能」「AI」を「数理モデル」に入れ替えます。

titles_altered = pd.DataFrame(titles.title.str.replace("AI|人工知能", "数理モデル"))
print(tabulate(titles_altered, tablefmt="pipe", headers="title"))
index title
0 「南部美人」酒造りに数理モデル導入 酒米の最適な吸水時間を算出/岩手・二戸(デーリー東北新聞社)
3 数理モデルコピーライターの衝撃 広告代理店は今後どうなる?
4 保全の再訪率半減、数理モデル活用で最適な修理作業を自動提案する技術(MONOist)
6 MRI、北京大と数理モデル分野の共同研究に着手(BCN)
7 【画像】2014数理モデル学会誌の表紙かわいいwwwwwwww
9 【講演会】数理モデルや5G、ビジネス広げる 法整備も必要【デジタルサミット】
10 電子書籍のマンガ、数理モデルで「モアレ」少ない自然な画像に 共同印刷(ITmedia NEWS)
12 シャープ、数理モデルoTプラットフォーム対応の「AQUOS 4K」第2弾(BCN)
13 新入社員の退職リスクを数理モデルが判定したら離職率低下につながった(ニュースイッチ)
14 ブス界イチの美女・大沢あかね、数理モデルの「顔採点」で驚きの結果が
15 数理モデルベンチャーのHEROZ、純利益2.6倍に B2B好調(ITmedia NEWS)
16 数理モデル活用で新入社員が辞めなくなる? 面談者が気づかない退職リスクを判定して成果が出た事例
18 日本オラクル、納税者サービスに関する数理モデルチャットボットの実証実験に参画(ZDNet Japan)
19 「自分に合う靴」数理モデルが提案 靴と足の3Dデータをマッチング(ITmedia NEWS)

いかがでしょうか? 
元記事を参照してもどのようなモデルによって予測しているのかが書かれていないものが大半だったので一概には言えませんが、私は編集後のタイトルのほうがしっくりくるものが多いと考えます。ただし学会名もしくは「人工知能」が深層学習を意味している記事(7番,10番,14番,15番)は元タイトルのまま「人工知能」としたほうがよいかもしれません。

考察 

「人工知能」に対する正しい理解を促し、不要な脅威論を取り除くためにも、単に「数理モデル」と表したほうが適切な場合は「人工知能」ではなく「数理モデル」や「統計モデル」と言い換えたほうが適切なのではないでしょうか。もちろん「人工知能」と言ったほうがお金が集めやすいのはわかります。しかし不適切な言葉によって集められたお金の行き着く先は結局の所「バブル」であって、遠くない将来にその実態が明らかになった時に必ず崩壊します。
データに裏付けられた経営/ビジネスを「ブーム」として終わらせないためにも、「人工知能」で生活していく人こそ正しい言葉使いが求められるのではないでしょうか。

参考文献

本記事は以下の記事・論文からインスパイアを受けました。

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