はじめに
「RAIDログ」って聞いて、何をイメージしますでしょうか?
恥ずかしながら、僕はディスク冗長化(RAID0とかRAID10とか)の仕組みの中で出力されるシステムログのことだと思っていました。
しかしながら、プロジェクトマネジメントの中で用いられるリスクなどの管理手段のことでした。
日本語ではあまり検索しても情報見つからなかったので、同じような誤解を持っている人が減るように、記事に残したいと思います。
RAIDログとは?
RAIDとは、リスク(Risks)、仮定(Assumptions)、課題(Issues)、依存関係(Dependencies)、それぞれの頭文字になります。
「ログ」とはいいつつ、アクセスログやシステムログのようなものとは、タイプが異なります。
RAIDログは、プロジェクト管理の中で、リスク・仮定・課題・依存関係を認識し追跡するために用いることができます。
RAID要素のそれぞれについて、以下に概要を説明します。
リスク(Risks)
こちらは、日本でも割とよく用いられるリスクマネジメントで使われている単語と同等です。
人的、システム的、あらゆる面で、ネガティブな影響を与える可能性のある要素になります。
例)
- 悪意ある外部の攻撃者によるシステム停止
- うっかりミスによる機密データの漏洩
- 盗難による資産の損失
仮定(Assumptions)
プロジェクトを成功に導くと想定される事柄になります。
「想定される」なので、ネガティブな結果になる可能性もあります。
Actionと定義されている情報もありました。
例)
- 品質を上げるため、検査項目を増やす
- 顧客満足度を上げるため、納期を短縮する
課題(Issues)
プロジェクトの中で発生した問題事項になります。
こちらも、プロジェクトマネジメントの中でよく聞く単語になります。
リスクが、まだ未発生のものに対し、こちらはすでに発生しているもの、あるいは発生することが確定したものになります。
例)
- 予想よりも多くのアクセスが発生しているため、Webページでタイムアウトが頻発している
- クラウドサービスのコストが、見積もりよりも大幅に超過している
依存関係(Dependencies)
プロジェクトの結果に影響を与える、または、影響を受ける外部要素(作業や契約など)。
全体的な計画を立てる上で重要になります。
例)
- プロジェクトの完了が、次の契約を受けるための前提条件になっている
- プロジェクトで利用する別プロジェクトで作成中のモジュール
RAIDログはどのようなときに有効?
なんとなく、RAIDログがどんなものか、イメージいただけたかと思います。
それでは、どのように使うものなのでしょうか?
現在、プロジェクト管理をされている方でRAIDログをご存知なかった方も、それぞれの要素は既知感があると思います。
それぞれ、プロジェクト管理の中では重要なものばかりです。
すでにこれらの要素を適切に管理できている状況下では、無理に追加する必要はないかと思います。日本語で情報が少ない要因の一つかも知れません。
一方、RAIDログでは、これらを一元的に管理することで、見通しを良くすることができます。
個別で行っている場合、例えば、課題の解消に時間がかかった際に、依存関係への考慮が疎かだと外部に影響を与えてしまうことがあります。
また別の例では、仮定を進めていく中で、新たなリスクが生じていたが、リスクアセスメントへの反映が漏れることもあります。
一箇所でまとめて管理することで、RAIDそれぞれの関係性においても適切にアップデートすることが可能になります。
どのように使うか?
RAIDログとしての、規定のテンプレートはありません。
いくつかインターネット上で見つかった例を貼っておきます。
<引用: https://www.groupmap.com/map-templates/raid-log/>
<引用: https://citoolkit.com/articles/raid-log/>
既定のテンプレートがないということは、自分好みに変えてもいいということです。
僕自身は、一つのスプレッドシートで、RAIDそれぞれ別シートのままで集約するところから始めてみようと思います。
この記事が、僕のように、「RAIDログ」というワードを知らなかった人の何かの役に立てば幸い :)