ChatGPTに“他人の目”を借りてみた:AI他己評価という新しい自己レビュー
自己評価って難しい。主観が入りすぎるし、他人に聞くのも気まずい。
じゃあいっそ、ChatGPTに“他人になってもらって”評価してもらったらどうなる?
私は実際にクライアント向けに提出した提案資料をもとに、ChatGPTを「想定クライアント」や「他チームのメンバー」に仕立てて他己評価を依頼しました。
使ったのは、ChatGPTの一時モードとペルソナ入力によるプロンプト設計。客観視のトレーニングにもなり、成果物の質向上にも役立ちました。
そんな実験を、プロンプト・出力結果・反省点とともに共有します。
検証に使った素材:自作の業務提案資料
今回評価対象としたのは、ある企業の海外展開支援に関する提案資料です。
📝 提案内容:EC領域における業務改善・LTV設計支援
提出者:筆者(フリーランスの業務DX支援パートナー)
提出時期:2025年春頃
資料には、以下のような構成が含まれていました:
- 現状整理(市場動向・組織体制の変遷など)
- 課題仮説マップ(現場・戦略ギャップの抽出)
- 提案施策(KPI設計、ダッシュボード支援、継続購入設計)
- 支援スコープ・稼働イメージ
- 提案価格(月額15万円〜)
この資料に対し、ChatGPTに「上司」や「担当部門の責任者」になりきってもらい、コメントを求めていきます。
ChatGPTで“他己評価”を行うプロセス
今回の評価は、以下の5ステップで実施しました。
① 一時モードをON
→ ChatGPTの記憶を使わないことで、先入観ゼロの評価を狙いました。
② ペルソナ入力
→ ChatGPTにこう伝えました:
あなたは某企業の海外戦略部門マネージャーです。現在、EC事業の拡大とLTV最大化をミッションとしています。事業背景としては…(以下略)
評価を引き出すための質問設計
最初に「この資料どう思う?」と聞いただけでは、当たり障りのない感想が返ってきがちです。
そこで、以下のような切り口で追加の質問を重ねました。
- 同類の提案と比べて、どの程度の完成度?
- この価格帯(15万円/月)の人材として妥当か?
- 任せるとしたらどのタスク領域が向いてそう?
- 逆に、他の中堅エンジニアでもできる内容では?
- 提案書でわかりにくかった箇所はある?
- 改善するとしたらどこを見直すべき?
評価軸を明確に設けたプロンプトにすることで、ChatGPTの回答精度も大きく向上しました。
ChatGPTの評価コメント(一部抜粋と所感)
🧠 出力例
「この提案書は論理的ですが、施策の“差別化”要素が少し弱いように見えます。他社提案との差別化軸が明示されていれば、より説得力が増します。」
「月額15万円という金額感に対して、内容的には適正に見えます。ただし、KPI設計や分析支援の深さによっては、もう少し価値訴求を追加してもよいかもしれません。」
「任せるなら“要件定義〜ベンダー折衝”フェーズが最適。実装やBI開発単体であれば、他の外注先でも良いのでは?という印象を持ちました。」
👀 筆者の所感
- 「差別化要素の弱さ」→ 同業提案との比較セクションを追加
- 「BIは他でもできる」→ 提案書に“業務との接続力”を補足
- 「価格と中身の妥当性」→ 強みとなる稼働内容を具体化
ChatGPT他己評価のメリットと限界
✅ 良かった点
- 自分視点だけでは見えない“ズレ”が明確に
- 提案資料の改善ポイントがすぐ明らかになる
- 「自分の単価って他人から見てどう?」みたいなナイーブな問いに答えてくれる
- 資料レビューの相棒として手軽に使える
⚠️ 限界点
- 感情的なニュアンスまでは読み取れない
- 入力の質=出力の質なので、質問設計が鍵
- 実在するクライアントの“温度感”とはズレる可能性あり
あくまで「仮想的な他者視点」ですが、フィードバック素材としては非常に有用です。
まとめ:AIを“仮想上司”にして自分を見つめる時代
他者からの評価を得るのは難しい。けれどChatGPTを活用すれば、擬似的に“他人の目”を借りて自己評価を行うことができます。
資料レビューの壁打ち、価格妥当性の見立て、強みの再認識…。使い方次第で、ChatGPTはとても良質な「客観視エンジン」になります。
GPT4oになってきてから、自然言語の取り扱い能力向上によって、ドキュメントの推敲はほんとに楽になったと感じてます。ぜひお試しあれ!