社内SE採用で「この人に来てほしい」と思う条件とその理由
こんにちは。私は現在、自社の社内SEポジションの採用面接を担当しています。
この記事では、私自身が面接の場で「こういう人に来てほしい」と感じている条件と、その背景にある理由を整理してみたいと思います。
世の中には多くの「求める人物像」テンプレートがありますが、社内SEという職種に特化した“本音ベース”の視点は案外少ないかもしれません。
この記事が、社内SEを目指す方の参考になれば嬉しいです。
第1章:「社内SEってヘルプデスクのことですよね?」から脱してほしい
正直に言うと、社内SE志望で応募される方の中には
「社内のパソコン関係、なんか直す人」=社内SE
と思っている方がまだまだ多いです。
特に未経験の方にその傾向は顕著です。
もちろん、ITヘルプデスク業務も社内SEの大切な仕事のひとつです。
でも、実際の業務はもっと広くて深い。
- システム企画の立案
- 業務システムの開発~運用保守
- IT統制・セキュリティ管理
- 社内インフラの設計・構築
- プロジェクトマネジメント などなど……
そう、“なんでも屋”だけど“なんでもいいわけじゃない” のが社内SEなんです。
ここで少し立ち止まって考えてみてください。
目の前にはネットもある。Qiitaもある。ブログも記事も山ほどある。
調べれば、こうした社内SEの実態には必ず行き着けるはずなんです。
だからこそ、面接の場で「ヘルプデスクを中心に~」というテンプレ反応を見ると、
「え、事前に全然調べてこなかったの……?社内SEの中のヘルプデスクだけがあなたのやりたいこと?」
と、どうしても感じてしまうのです。
社内SEは、調査・ヒアリング・設計・調整・改善……と
“調べて考えて動く”仕事の連続です。
だからこそ、「そもそも調べてこない」という姿勢には、
エンジニアの基礎力が足りていないのでは?
という目線で見てしまいます。
もちろん、最初から完璧な理解を求めているわけではありません。
ですが、
「この仕事、どうなってるんだろう?」と掘る力・調べる姿勢
これは、経験よりも先に見せてほしい大切なポイントなのです。
第2章:「なぜ社内SEなのか?」を自分の言葉で語れるか
これは、経験者にも未経験者にも共通して言えることです。
転職理由や志望動機において、
- どんな問題意識を持っていたか
- なぜ社内SEを選ぼうと思ったか
- それに向けて何を考え、どんな努力をしたのか
これらを自分の言葉で論理的に語れるかどうかは、非常に重要です。
特に社内SEは「課題の発見」から「関係者とのすり合わせ」まで、
技術以前に思考と言語の解像度が問われる職種です。
だからこそ、「考え抜いた人」には自信を持ってGoサインを出せます。
第3章:「仕様書がないなら自分で作る」くらいの自走力と抽象思考
社内SE業務って、実はあいまいな要求や、存在しない仕様書と日々格闘するポジションでもあります。
「このツールが動けばいい」ではなく、
「そもそもこの業務フロー、必要?」「本質的に改善できる設計って何だろう?」
といった抽象思考と再設計志向が求められます。
そして、「誰かが設計してくれるのを待つ」のではなく、自分で「こうやれば動くと思うんですが」と
仮説を持ち、自ら動ける人が活躍できる世界です。
第4章:ITスキルより「わかりやすく伝える力」が先にくる
「え、社内SEなのに技術力はそんなに重視しないの?」と思われるかもしれません。
もちろん、あった方がよいに越したことはありません。
でも、実はそれが最重要ではないんです。
なぜなら社内SEの多くは、
- ITに明るくない人に説明する
- 上司や他部門と要件をすり合わせる
- 仕様を図や言葉に落とし込んで合意をとる
こうした社内調整・説明・交渉のコミュニケーションこそが、大半の時間を占めます。
だから、「わかりやすく説明できる力」「非エンジニアとの会話力」が
スキル以上に問われるのです。
第5章:技術はあとからでも伸びる、けど思考と姿勢は変えにくい
誤解のないように言うと、技術力がいらないという話ではありません。
むしろ、入社後には
- 各種システムの設計・開発
- 社内向けシステムの要件整理と導入支援
- ユーザー部門とのすり合わせ
など、専門性を問われる技術的業務も当然あります。
ただし、技術は時間と努力をかければキャッチアップできます。
でも、
「物事を論理的に考え、構造化して伝える力」
「社内に対する誠実な姿勢」
これは、採用の段階でにじみ出てしまうものでもあり、入社後に急成長させるのが難しいのです。
おわりに:構造的に考えられる人は、社内SEとして輝ける
社内SEは、単なる裏方や保守要員ではありません。
業務の根幹を支え、時に再設計し、関係者と協調して「よりよい仕組み」を築いていく仕事です。
だからこそ、
構造を理解し、そこに自分の経験を接続して、どう貢献するかを描ける人
には本当に来てほしいと思っています。
この記事が、社内SEを志すあなたの助けになれば嬉しいです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!