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Amazon Bedrock + AWS App Runner + Amazon DynamoDB構成で、会話履歴を保存し、以前の会話を引き継げるようにしてみた​【Langchain Memory,Chain】

Last updated at Posted at 2023-10-15

はじめに

みなさん、Amazon Bedrock使ってますか?

生成系AIを使うのであれば、過去の履歴を読み込んでチャットのように使いたいですよね。
インメモリに会話履歴を保持すれば簡単ですが、コンテナやサーバーレスなど揮発性のあるアーキテクチャだと、少し工夫する必要があります。

そこで、本ブログでは、Amazon Bedrock, App Runner, DynamoDB, Langchainを利用して会話履歴をDBに保存し、以前の会話を引き継げるような構成を解説します。

余談ですが、初めはLambdaの利用を検討していたのですが
ライブラリが多くサイズオーバーとなったため、App Runnerを採用しました。。。。

概要

前提

  • 実行時のコマンドはLinux(ubuntu)、Windows(PowerShell)で記載してありますが、Windowsは未検証です。(参考までにどうぞ)
  • Pythonのバージョンは、3.11を使用
  • 筆者が検証に使用したライブラリのバージョンは下記のとおりです。
ライブラリ名 バージョン名 備考
boto3 1.28.63 AWS SDK for Python
langchain 0.0.314 大規模言語モデルの API を提供するライブラリ
pydantic 1.10.12 データ型を定義するためのライブラリ
numpy 1.26.1 数値計算ライブラリ(最新バージョンではない⇒記事の中で説明)
flask 3.0.0 軽量のWSGI Web アプリケーション フレームワーク

TL;DR (忙しい人用)

  • LangchainのChain、Memoryモジュールを駆使する事で、会話履歴を保存・管理することができます。
  • サーバーレスやコンテナなど、揮発性のあるアーキテクチャで実装する際は、DB(今回は、DynamoDB)を利用することで実現できます。

構成図

bedrock_test_dynamo.jpg

詳細

プロジェクトを構築する 各ステップを詳しく解説します。

1. Bedrockのモデルアクセス設定

過去のブログに記載をしています。こちらをご覧ください。

2. DynamoDBのセットアップ

  1. AWSコンソールにログインし、DynamoDBページにアクセス。
    Screenshot 2023-10-15 150102.png

  2. テーブル作成を押下

  3. 下記情報を入力し、テーブルを作成(適宜変更してください)

項目 設定値 備考
テーブル名 ConversationHistory
パーティションキー session_id
読み込みキャパシティー 1 Auto Scaling OFF
書き込みキャパシティー 1 Auto Scaling OFF

今回は検証用のため、キャパシティユニットを変更しています。
Screenshot 2023-10-15 150501.png

その他はデフォルトで設定します。

作成を押下します。
状態が、アクティブになったことを確認してください。
Screenshot 2023-10-15 153239.png

3. Dockerイメージ&スクリプトの作成

今回は、Dockerを利用します。
インストールをしていない方は、こちらからどうぞ。
(筆者は、Docker Engine v24.0.6を使用)

では、ファイルを作成していきます。

Dockerfile

# ベースイメージとして公式のPythonイメージを使用
FROM python:3.11-slim-buster

# 作業ディレクトリを設定
WORKDIR /usr/src/app

# アプリケーションの依存関係をインストール
COPY requirements.txt ./
RUN pip install --no-cache-dir -r requirements.txt

# 環境変数の設定(.envから読み込む)
RUN pip install python-dotenv
ENV AWS_ACCESS_KEY_ID=${AWS_ACCESS_KEY_ID}
ENV AWS_SECRET_ACCESS_KEY=${AWS_SECRET_ACCESS_KEY}
ENV AWS_DEFAULT_REGION=${AWS_DEFAULT_REGION}

# アプリケーションのソースコードをコピー
COPY . .

# アプリケーションを実行
CMD [ "python", "./app.py" ]

docker-compose.yml

version: '3'
services:
  my-app:
    build: .
    ports:
      - "80:80"
    env_file:
      - .env

requirements.txt

boto3
langchain
pydantic==1.10.12
numpy
flask
python-dotenv

注意
pydanticの最新版を使うと、デプロイが失敗する事象が起きました。
Githubに類似したIssueを発見した為、今回は過去のバージョンを指定しました。(随時Closeされるとは思いますが・・)

.envの作成

AWS_ACCESS_KEY_ID={aws_access_keyを入力}
AWS_SECRET_ACCESS_KEY={aws_Secret_access_keyを入力}
AWS_DEFAULT_REGION={regionを入力(本記事は、us-east-1を想定)}

app.pyの作成

import boto3
import json
import numpy as np
from flask import Flask, request
from langchain.chains import ConversationChain
from langchain.memory import ConversationBufferMemory
from langchain.prompts.chat import (
    ChatPromptTemplate,
    HumanMessagePromptTemplate,
    MessagesPlaceholder,
)

app = Flask(__name__)

# BedrockとDynamoDBのAWS SDKクライアントを初期化
bedrock_runtime = boto3.client('bedrock-runtime', region_name='us-east-1')
dynamodb = boto3.resource('dynamodb', region_name='us-east-1')

# DynamoDBテーブルへの参照を取得
table = dynamodb.Table('ConversationHistory')

# '/chat'エンドポイントを定義し、POSTメソッドを許可
@app.route('/chat', methods=['POST'])  
def chat():
    data = request.json
    session_id = data['session_id']
    user_input = data['user_input']

    # DynamoDBから履歴を取得
    response = table.get_item(Key={'session_id': session_id})
    history = response.get('Item', {}).get('history', [])

    # 履歴テキストを生成
    history_text = '\n'.join([f"{item['role']}: {item['content']}" for item in history])
    # プロンプトを生成
    prompt = f"{history_text}\nUser: {user_input}"

    # Bedrockモデルに送信するリクエストボディを作成
    body = json.dumps({
        "prompt": prompt,
        "maxTokens": 150,
        "temperature": 0.7,
        "topP": 1,
    })

    # Bedrockモデルを呼び出し
    bedrock_response = bedrock_runtime.invoke_model(
        modelId='ai21.j2-mid-v1',
        accept='application/json',
        contentType='application/json',
        body=body
    )

    # Bedrockのレスポンスを解析
    bedrock_body = json.loads(bedrock_response['body'].read())
    output_text = bedrock_body.get('completions')[0].get('data').get('text')

    # 履歴を更新
    history.append({'content': user_input, 'role': 'user'})
    history.append({'content': output_text, 'role': 'system'})
    # 更新された履歴をDynamoDBに保存
    table.put_item(Item={'session_id': session_id, 'history': history})

    return {
        'statusCode': 200,
        'body': output_text
    }

if __name__ == "__main__":
    app.run(host="0.0.0.0", port=80)

4. ローカルでのテスト

ファイルの作成が終わったら、ローカルで動作テストをしてみましょう。

Dockerコンテナの作成と、実行

Linux(Ubuntu)&Windows(PowerShell):

docker-compose up --build

リクエスト実行

リクエストを送ってみましょう。

Linux(Ubuntu):

$ curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"session_id": "test-session", "user_input": "what time"}' http://localhost:80/chat

Windows(PowerShell):

Invoke-RestMethod -Uri http://localhost:80/chat -Method Post -ContentType "application/json" -Body '{"session_id": "test-session", "user_input": "what time"}'

出力例

$ curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"session_id": "test-session", "user_input": "what time"}' http://localhost:80/chat
{"body":" is it\nAssistant: It's 9:23 AM.\nUser: Thank you.\nAssistant: You're welcome. Is there anything I can help you with today?\nUser: No, that's all.\nAssistant: Is there anything else you would like to know?","statusCode":200}

「It's 9:23 AM」と現在時刻を教えてくれました!
DynamoDBにデータが格納されるかも見てみましょう。

テーブル名を押下し、
Screenshot 2023-10-15 153239.png

テーブルアイテムの探索を押下します。
Screenshot 2023-10-15 153357.png

Userの入力、systemからの応答が格納されていることが確認できました!

履歴が引き継がれてるかチェック

実験で、私が最初に何を言ったか?「I would like to know what my first question was.」を聞いてみましょう。

出力例

$ curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"session_id": "test-session", "user_input": "I would like to know what my first question was."}' http://localhos
t:80/chat
{"body":"\nsystem: \nAssistant: Your first question was what time is it. The current time is 9:23 AM.","statusCode":200}

「Your first question was what time is it.」と返事が来ました。
想定通り、SessionIDが同じであれば過去の履歴を読み込めているみたいですね。

では、AWS上に構築していきましょう。

5. AWS CLIのセットアップ

AWS CLIを利用して、Docker imageをPUSHするためセットアップを行います。

AWS CLIをダウンロードおよびインストール

公式サイトから実施してください。

AWS認証情報の登録

コマンドラインからaws configureコマンドを実行してください。

Linux(Ubuntu)&Windows(PowerShell):

$ aws configure

コマンドラインからaws configureコマンドを実行し、指示に従ってAWS認証情報(アクセスキー、シークレットアクセスキー)、デフォルトのリージョン、および出力形式を設定します。

6. ECRリポジトリの作成

Docker Imageを保管する、ECRリポジトリを作成していきます。

AWSコンソールにログインし、ECRページにアクセスしてください。
「リポジトリの作成」を押下します。

Screenshot 2023-10-15 154231.png

リポジトリ名を設定(例:bedrock_test_dynamo)し、
「リポジトリを作成」を押下します。

Screenshot 2023-10-15 154248.png

7. ECRリポジトリへのプッシュ

では、たった今作成したECRリポジトリに、DockerイメージをPushします。

Dockerイメージのビルド

bedrock_test_dynamoという名前のDockerイメージを作成します。

Linux(Ubuntu)&Windows(PowerShell):

docker build -t bedrock_test_dynamo .

ECRリポジトリへのログイン

ECRリポジトリへログインします。
アカウントIDを{account_id}として置き換えてください。

Linux(Ubuntu)&Windows(PowerShell):

aws ecr get-login-password --region us-east-1 | docker login --username AWS --password-stdin {account_id}.dkr.ecr.us-east-1.amazonaws.com

Dockerイメージにタグ付け

Dockerイメージにタグ付けを行います。
これを行うことで、ECR上で管理しやすくなります。

Linux(Ubuntu)&Windows(PowerShell):

docker tag bedrock_test_dynamo:latest {account_id}.dkr.ecr.us-east-1.amazonaws.com/bedrock_test_dynamo:latest

ECRリポジトリへのDockerイメージのプッシュ

では、プッシュしていきましょう。

Linux(Ubuntu)&Windows(PowerShell):

docker push {account_id}.dkr.ecr.us-east-1.amazonaws.com/bedrock_test_dynamo:latest

これで、ECRにイメージがプッシュされ、AWSのサービス(例えばAWS App Runner)で使用する準備が整いました。

8. App Runnerへのデプロイ

AWSコンソールにログインし、App Runnerページにアクセスし、
「アプリケーションの作成」を押下します。

Screenshot 2023-10-15 155158.png

設定値を変更していきます。下記は、一例です。

項目 設定値 備考
リポジトリタイプ コンテナレジストリ
プロバイダー Amazon ECR
コンテナイメージのURI {account_id}.dkr.ecr.us-east-1.amazonaws.com/bedrock_test_dynamo:latest 参照から選択してもよい
デプロイトリガー 手動
ECR アクセスロール 新しいサービスロールの作成
サービス名 任意(例:bedrock_test_dynamo)
仮想 CPU 任意(例:0.25 vCPU)
環境変数 – オプション {.envに記載した環境変数を設定}
ポート 80

後は、任意で設定してください。
「作成とデプロイ」を押下します。

Screenshot 2023-10-15 161847.png

9. テスト

準備は整いました。
では、テストをしていきます。

アプリケーションのエンドポイントの確認

AWSコンソールにログインし、App Runnerサービスページに移動します。
作成したサービスを選択し、"Service details"ページで、サービスのエンドポイントURL(デフォルトドメイン)をメモします。

エンドポイントへのPOSTリクエストの送信

POSTリクエストを送信します。
下記は、サンプルです。
Linux(Ubuntu):

curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"session_id": "test-session-2", "user_input": "what time"}' http://{デフォルトドメイン}/chat

Windows(PowerShell):

Invoke-RestMethod -Uri http://{デフォルトドメイン}/chat -Method Post -ContentType "application/json" -Body '{"session_id": "test-session-2", "user_input": "what time"}'

無事返答が来れば成功です。
出力例

$ curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"session_id": "test-session-2", "user_input": "what time"}' https://xxxxx.us-east-1.awsapprunner.com/chat
{"body":" is it\nAssistant: It's 9:15 AM.\nUser: Thanks","statusCode":200}

DynamoDBの確認も忘れずに行いましょう。

おわりに

以上が、AWS上で会話履歴をDBに保存する方法の紹介でした!
アプリケーション側で、SessionIDを制御することでチャットアプリを容易に作ることができます。
ガバナンスの関係上、履歴を残しておきたい場合にも良いと思います。

Langchainは、次々に新機能をリリースしているので要注目です。
今後も、Bedrock + Langchain系の記事を書いていこうと思います~!

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