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第4回ニコ技深圳観察会に参加しました

Last updated at Posted at 2016-05-22

これは第4回ニコ技深圳観察会の参加報告です。
感想まとめから、他の参加者の報告もご覧ください。


こんにちは。明治大学の高橋です。

2016年4月12日~16日にかけて、中国は深圳に行ってまいりました。
この記事はその参加報告になります。

ご意見ご感想は以下からお願いします。
Twitter: @kaede_tone
Email: ee97064(at)gmail.com

はじめに

振り返ること、2015年の7月29日、明治大学中野キャンパスにて、エリック・パン氏(Seeedstudio CEO)、秋田純一氏(金沢大学 教授)、高須正和氏(チームラボ、Maker faire 深圳・シンガポール2015 実行委員)による講演会が開催されました。
講演会記事:miyashita.com記事(7/29)

深圳観察会は、エリック・パン氏率いるSeeedstudioをはじめとした中国の企業、メイカースペース、そして深圳の電気街を訪問できる大人の社会科見学となっています。今回は、主催者の高須さんからのお誘いで参加させていただきました(明治大学からは僕を含めて学生5名が参加)。
僕は、Digital Fabrication(特に3Dプリンタ)をテーマとして研究を進めており、メイカームーブメントや近年の「ものづくり」の発展が大きく関係する分野に身を置いています。そのため、世界のものづくりの中心地である中国の様子を肌で感じ、見識を深めるというねらいで参加した次第です。

深圳観察会

全体のスケジュールは以下になります。
 12日 香港空港到着,深圳へ移動
 13日 Seeedstudio 訪問 (射出成形工場,PCB工場見学)
 14日 ShenZhen Open Innovation Lab. 見学
    Shenzhen LeMaker Technology 訪問
    Makeblock 訪問
    JENESIS 訪問
 15日 SEG Maker+ 見学
    HAX社 訪問
    Huaqiangbei見学
 16日 香港空港へ,帰国

観察会全体を俯瞰した報告は、他の参加者みなさんの方が詳しいと思われますので、特に僕が気になった射出成形工場とJenesisについて、あと最終日にぶらついた電気街を中心に。
また、本筋とはそれほど関係ない中国の感想を、おまけ感覚で書き連ねます。

射出成形工場

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プラスチック製品の一次成形法のひとつである「射出成形」は、加熱流動化した材料を低温の金型に射出する、というもので、熱可塑性プラスチックの代表的な量産方法です。こちらの工場では、比較的小ロットの製品のための金型加工・射出成型を対象としているようです。所狭しと機材は並んでいるものの、まだまだ人の手による調整が多そうで、紙の仕様書?が放られていたりも。工場内は、かなり自由に動き回っても大丈夫なようで、ちょっと危ないぐらいの距離まで機材に近づくことができます。こんなにオープンなのも中国ならではなのでしょうか(日本の工場についてそこまで詳しくないですが)。

月並みな感想ですが、こういった金型を用いた成型方法と積層法(3Dプリンタ)は、互いに上手く住み分けられているという印象があります。製造ロット数やコストによって、より安価な手法が選択される、つまり、製造方法の対極をなしているイメージです。

しかし、近年、これらが互いに歩み寄って来ているように感じます。
例えば、以下のような研究、ニュースがホットです。
・Computational thermoforming (SIGGRAPH 2016, to appear)
 http://igl.ethz.ch/projects/thermoforming/
 (PLAで型を作り石膏を成形するという研究)
・卓上真空成型機『FormBox』発表。掃除機吸引で樹脂型を成型、3Dプリンターより素早く量産
 http://japanese.engadget.com/2016/05/05/formbox-3d1/
・Carbon3D
 http://carbon3d.com/
 (従来の光造形方式よりも25~100倍の造形速度を実現したことで話題に)
・3Dプリンターを大量生産マシーンに完成させたHPの新Multi Jet Fusion
 http://i-maker.jp/multi-jet-fusion-9285.html

技術的な歩み寄りはもちろんですが、パーソナルなレベルでの金型加工・成形や工場にドカンと置かれるような3Dプリンタなど、利用される環境も変容しているようです。このような背景を考えると、それぞれの手法がの利用目的が重要になってきそうです。Rapid toolingやRapid manufacturingなどのキーワードも登場していますが、これらの製造方法には今後も注目していく必要がありそうです。

さて、観察会から帰還してすぐに、僕も熱溶解積層3Dプリンタを使って射出成形の真似事をしてみました。マルチエクストルーダの3Dプリンタを使用して、温度の違う樹脂に型と材料の役割をさせる、というアイディアです。
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ご覧のとおりで、そうそう上手くいきません。
上手くいったところで…という程度のものですが、この斜め後方を向いたようなアイディアがなんとも皮肉っぽくて気に入っています。

Jenesis

[株式会社ジェネシスホールディングス (JENESIS HOLDINGS)] (http://Genesis.jp/gaiyo.html)

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近年、国内のレストランやエンタテインメント施設で、タブレット端末などがよく見られますが、Jenesisはそういった端末の受注生産・企業間取引を行っている企業です。特に、日本からの高要求案件や専用端末の小ロット生産などのニーズに対応しているとのことです。社内には小規模な生産ラインがあります。

深圳工場は代表取締役の藤岡敦一氏によって取り仕切られており、現地の中国人の雇用と徹底した品質管理、指導のもと、日本で通用する品質を実現しているそうです。主な作業員は若い中国人女性であり、生産ライン上で担当する作業を淡々とこなしている姿が印象的でした。
また、日本人は、製品のキズや汚れ、初期不良などに関して特に敏感であるため、工場内では作業着の着用が義務付けられています。

あまり紹介はできませんが、かなり無茶な(面白さすらある)要件が飛び込んでくるといったお話や、昨今の中国事情など、興味深いお話を聞かせていただきました。

電気街

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最終日にぶらぶらとうろついた华强北(Huaqiangbei)の電気街です。
即売会的に区画分けされたブースが様々な電子部品を携えて密集している、そんな環境になっています。面白そうなガジェット・電子部品はもちろん、どう見てもグレーな一品から救いようのないゴミまで、なんでも置いてあります。需要と供給のバランスとは。

見て回ることに精一杯で、購入にまで至らなかったのですが、一日中居ても飽きません。もうちょっと時間がほしかったです。

はじめての中国

中国に行く際に気を付けたこと、準備、その他面白かったことについて。

ネット

中国のインターネットは金盾というグレートな防壁によって固められています。ネットワーク関係の知識が乏しい僕には、とにかくグレートな代物だ、としか表現できないのですが、GoogleやTwitterなどののサービスが遮断されているなど、なにかと不便な環境になります。

そのため、香港経由のSIMを事前に購入し、SIMフリー端末に入れてテザリングするか、大学のVPNを経由し続ける必要がありました。一応、宿泊先のホテルにもWifiがあったのですが、非常に不安定でまともに使えるものではありませんでした。
私事ですが、今回の観察会の期間中に某国際会議の原稿締め切りがあり、原稿や動画のやり取りと投稿作業がそれはそれは大変でした。
高須さんや研究室メンバーから、事前に準備しておくと良い環境について、さまざまな情報をいただけたので事なきを得ましたが、本当に気を付けなければいけません。(まずは、こういうブッキングを起こさないことだと思うのですが)

言語

ごく一部の人を除いて英語が全然通じないようです。
ちょっとした英単語の羅列ぐらいは通じるだろう、と思っていたのですが甘かったです。

飯 こちらは、3日目の夜に訪れた飯屋(山湖?)ですが、店の前で見知らぬ子供をからかっていると隣の店のおばちゃんに「お前はどこから来たんだい?韓国からか?(中国語)」という風に絡まれました(実際に何と言っていたかは分かりません)。 機械翻訳を駆使して、日本から観光で~的な応答をした結果、けたけたと笑っているだけでした。 こういうぐしゃぐしゃなコミュニケーションはそんなに嫌いじゃないのですが、どうせなら多少の中国語を覚えていけばよかったなぁ、などと今更。 という、申し訳程度の異文化交流も致しました。 (なお、経由した香港はばっちり英語圏で、駅の改札から出られなくなった際には、駅員さんにいろいろと助けてもらいました)

たばこ

モク ちょっとダメなんじゃないか、と思うぐらい煙草に寛容です。 町中のいたるところに灰皿が搭載されたゴミ箱があるのは素晴らしいですが、路上喫煙やりたい放題で、灰皿の隣で吸っているのは僕ぐらいでした。しかも、歩行者も全く気にせず、火が触れるんじゃないか、ぐらい近距離を通り過ぎていきます。

ちなみに、上の写真にあった飯屋「山湖」では、店員さんがお客さんに煙草を配ったりしていました。
十数年前、僕の地元でも、床屋に「ご自由にどうぞ」なタバコが置いてあったりしたもので、なんだか懐かしさがありました。もちろん当時は吸っていませんが。

モクモク こちらが中国のたばこパッケージ。いろいろ売っていましたが無難なマールボロに。 (同じ銘柄のはずなのに、明らかに日本とは成分量が違うのですが)

Smoking can accelerate ageing of skin
喫煙は皮膚の老化を加速させます

よくある英語メッセージでは「Smoking kills」、「Smokers die younger」などがありますが、お肌へのダメージに重きを置くとはいかにも中国らしい(?)。英語については前述したとおりですが、この英語をどれぐらいの中国人が理解できるのでしょう。(購入したコンビニの店員さんには若干通じましたが…)
なお、日本のパッケージは、「心筋梗塞の危険性を高めます」、「周りの人に悪影響を及ぼします」などが一般的ですね。

意外とこういうところにお国柄がでるんじゃないかなぁ、と思った一品。
たばこは20歳になってから。

食事

飯 ※個人の感想です

物価がべらぼうに安く、信じがたい量の飯とビールを食らっても500~1,000円ぐらいで済みます。しかし、ほとんどの食べ物は口に合いませんでした。実際に何度かお腹を壊しました。
独特な調味料?が特にダメで、美味しいか否か以前の問題でした。”本格” 中華が本格的に苦手なこともありますが…(ちなみに、僕はわさびもダメです。寿司も食べられません)

一方で、美汁源という果物ジュースと、かっぱえびせん(カルビーではない)は美味しかったです。おすすめです。

おわりに

そんなこんなで、深圳観察会そして初めての中国のご報告でした。

イメージ通りなところも、そうでないところも多々ありましたが、実際の経験と結びついたということで、貴重な体験をすることができたと思います。
再び行くことがあれば電気街の観光に時間をさけると良いなぁ、と思います。特にインパクトが強かったので。

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