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kintoneの限界を突破する!Power Platform連携で広がる業務改善の可能性

Last updated at Posted at 2025-07-29

1. はじめに

業務改善の現場では、柔軟に使えるノーコード/ローコードツールとしてkintoneが広く活用されています。
アプリ作成、データ管理、ワークフローの仕組みなど、現場にぴったりの業務システムをすぐに構築できるのが魅力です。

kintoneを使っていると、次のような課題に直面した経験はありませんか?

  • 通知や承認フローをもっと柔軟にしたい
  • データをグラフやダッシュボードで可視化したい
  • 外部サービスと連携して業務を自動化したい
  • モバイルやUIの自由度をもっと高めたい

こうした課題に対して、kintoneのカスタマイズ自体でも対応可能な部分もありますが、
さらに可能性を広げてくれるのが 「Microsoft Power Platform」 です。


:point_right: 記事の目的

kintoneを中心に据えた業務改善の取り組みに「Microsoft Power Platform」を組み合わせることで何ができるのかを整理・紹介します。
それぞれのツールの特徴を踏まえながら、連携によって得られるメリットやユースケースを具体的にまとめました。


:beginner:こんな方におすすめ

  • kintoneを業務で活用しているが、さらなる改善を模索している方
  • Power Platformに興味はあるが、kintoneとの連携方法がわからない方
  • ノーコード/ローコードで業務システムを構築・改善したい方
  • IT部門・業務改善担当者・現場のアプリ開発者

:pencil: 背景・動機

筆者自身、kintoneを活用する中で、通知や分析、外部連携の限界を感じる場面が多くありました。
Microsoft Power Platformを組み合わせることで 「kintoneの得意な領域を活かしつつ足りない部分を補う」 というアプローチを試したところ、業務の幅が大きく広がりました。

この経験をもとに、同じような課題を感じている方に向けて 「kintone × Power Platform」 の可能性と実践的な活用方法を共有したいと思い、本記事を執筆しています。

2. kintoneの強みと課題

kintoneがどんな強みを持ち、どこに課題があるのかを整理してみましょう。
強みと課題を整理することで、Power Platformと連携する価値が見えてきます。

:arrow_forward: kintoneの強み

サイボウズが提供するノーコード/ローコード業務アプリプラットフォームです。
現場主導で業務改善を進められる点が大きな魅力で、以下のような特徴があります。

kintoneの強み
・ノーコードで業務アプリを作成できる
 └フォーム設計、一覧表示、アクセス権設定などが直感的に操作可能
・柔軟なデータ管理とワークフロー設計
 └レコード単位でのステータス管理やプロセス管理が可能
・JavaScriptによるカスタマイズ性(ローコード)
 UIの拡張や外部API連携など、開発者向けの自由度も高い
・チームでの情報共有がしやすい
 コメント機能や通知機能により、業務の流れを可視化できる

DXへの第一歩としてExcelや紙ベースの業務から脱却し、現場に合った業務アプリを素早く構築できます。
そのうえで、現場にあったカスタマイズを実装することで 業務効率化や自動化 が可能となります。

:arrow_forward: kintoneの課題

一方で、kintoneを使い込むほどに、以下のような課題に直面することもあります。

kintoneの課題
・通知や承認フローの柔軟性に限界がある
 └標準機能では複雑な条件分岐や外部連携が難しい
・データ分析・可視化機能が限定的
 └グラフ機能はあるが、複雑な集計やダッシュボードには不向き
・外部サービスとの連携には技術的ハードルがある
 └REST APIやJavaScriptの知識が必要で、非エンジニアには難しい、社内に扱える人がいない
・UIの自由度が制限される場面がある
 └有償プラグインなしではデザインのカスタマイズやモバイル対応には限界がある

これらの課題を補完し、kintoneの強みを活かしながら業務改善を進める手段として、 Microsoft Power Platform との連携が注目されています。

3. Power Platformとは?

Microsoft Power Platformは、業務の自動化・可視化・アプリ開発・チャットボット構築をノーコード/ローコードで実現できる統合プラットフォームです。
Microsoft 365やAzureとの親和性が高く、企業のIT環境に自然に組み込めるのも特徴です。

製品名 主な機能・特徴 kintoneとの連携例
Power Apps ・Webやモバイルで動作する業務アプリをドラッグ&ドロップで作成可能
・外部データソース(SharePoint、Excel、Dataverse、APIなど)と連携
・入力フォーム、一覧表示、条件分岐などを柔軟に設計
kintoneのAPIを使ってレコードの表示・更新が可能
Power Automate ・「トリガー」と「アクション」で業務フローを自動化
・メール通知、ファイル操作、データ登録などをノーコードで実装
・多数のサービスと連携可能
kintoneのレコード追加・更新・通知を自動化
Power BI ・データをグラフやダッシュボードで視覚的に表現
・フィルター、ドリルダウン、クロス集計などの高度な分析が可能
kintoneのデータを取り込み、業務状況の見える化を実現
Power Virtual Agents ・ノーコードでチャットボットを作成
・Power Automateと連携して外部サービスと対話可能
kintoneのデータを参照・更新するチャットボットを構築可能

これらのツールは組み合わせることで柔軟で高度な業務改善が可能になります。

4. kintone × Power Platformで実現できること

kintoneとMicrosoft Power Platformを組み合わせることでできることを、ツール別に紹介します。
Power Platformの各ツールは、kintoneの機能を補完・拡張する形で活用できます。

Power Appsと組み合わせるとできること
・kintoneのデータを使ったモバイル対応の業務アプリを作成
・入力フォームのUI強化(条件付き表示、入力補助、バリデーション)
・複数のkintoneアプリを横断して操作できる統合アプリの構築
・kintoneのレコードを新規登録・更新・削除
・外出先でも使える申請・報告アプリの作成
Power Automateと組み合わせるとできること
・kintoneのレコード追加・更新をトリガーにメールやSlack通知を送信
・承認フローを自動化しkintoneのステータスを更新
・kintoneのデータをExcelやSharePointに自動転記
・期限切れや異常値を検知(定期的にkintoneのデータをチェック)
・他サービスとの双方向連携(Google Sheets、Teams、LINEなど)
Power BIと組み合わせるとできること
・kintoneのデータをグラフやチャートで可視化
・ダッシュボードで業務状況やKPIをリアルタイムに表示
・複数アプリのデータを統合して部門別・期間別の分析
・kintoneのデータを時系列でトレンド分析
・Power BIのアラート機能で異常値を検知して通知
Power Virtual Agentsと組み合わせるとできること
・kintoneのFAQデータを活用した社内問い合わせチャットボット
・チャットボットから申請状況やレコード内容を確認
・ユーザーの入力に応じてkintoneにレコードを登録
・チャットボットでの対話内容をkintoneにログとして保存
・チャットボットによる簡易アンケート収集とkintoneへの保存

※中にはkintoneの機能やカスタマイズによって実現できることも含まれます。

5. ユースケース紹介

kintoneとPower Platformを組み合わせた、現場でよくある課題とその解決策を紹介します。

1. 申請業務の自動化

課題
申請→承認→完了の流れをkintoneだけで構築すると、通知や条件分岐が複雑になりがち。

解決策

  • Power Appsで申請フォームを作成(UI強化・モバイル対応)
  • Power Automateで承認フローを構築(条件分岐・通知)
  • 承認結果をkintoneに自動反映(ステータス更新・履歴記録)

2. データ分析の高度化

課題
kintoneの標準グラフでは、複雑な集計や部門別分析が難しい。

解決策

  • Power BIでkintoneのデータを取り込み
  • ダッシュボードで部門別・期間別の傾向を可視化
  • KPIや異常値をリアルタイムで監視・共有

3. 問い合わせ対応の効率化

課題
社内の問い合わせ対応が属人化し、対応漏れや遅延が発生。

解決策

  • Power Virtual Agentsでチャットボットを構築
  • kintoneのFAQデータを活用して自動応答
  • チャット履歴や問い合わせ内容をkintoneに記録

DXを進めるうえで大切なのは業務内容や組織の課題に合わせた業務改善です。
どの組み合わせ方を採用するか考えるにあたりイシューからはじめることを意識すると、
解決したい方向性が明確になりクリティカルな対処ができるようになります。

問題を解決してどうしたいかをあらかじめ具体的に言葉にしておきましょう。

6. 技術的な連携ポイント

kintoneとPower Platformを連携させるには、いくつかの技術的なポイントを押さえておく必要があります。
ここでは、実装時に特に重要となる要素を紹介します。

1. kintone REST APIの活用

Power Platformからkintoneのデータを操作するには、kintoneのREST APIを使います。APIを通じて、以下のような操作が可能です:

・レコードの取得(GET)
・レコードの登録(POST)
・レコードの更新(PUT)
・レコードの削除(DELETE)

具体的な手順等やAPIの仕様は公式ドキュメントに詳しく記載されています。
https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/rest-api/

Power Platform側での呼び出しにはHTTPリクエストの構成が必要です。

2. 認証方式の選定と管理

kintone APIには、以下の2つ認証があります。

  • APIトークン認証:アプリ単位で発行でき、シンプルで扱いやすい
  • OAuth認証:ユーザー単位の認可が可能で、よりセキュア

Power Platformでは、HTTPアクションにヘッダーを設定することでAPIトークンを渡すことができます。
セキュリティを考慮し、環境変数やAzure Key Vaultとの連携も検討すると良いでしょう。

3. HTTPリクエストの構成(Power Automate / Power Apps)

Power AutomateやPower Appsでは、HTTPアクションを使ってkintone APIを呼び出します。
以下の要素を正しく設定する必要があります。

・メソッド(GET / POST / PUT / DELETE)
・URL(kintoneのドメイン+APIエンドポイント)
・ヘッダー(認証情報、Content-Typeなど)
・ボディ(JSON形式でデータを指定)

Power Appsでは、カスタムコネクタを作成することで、API呼び出しを簡略化・再利用が可能です。

4. データ型の違いと整形

kintoneとPower Platformでは、データ型の扱いに違いがあります。

フィールド種別 注意点
日付・日時 ISO形式(例:2025-07-29T13:00:00Z)への変換が必要な場合あり
選択肢・チェックボックス 複数選択時は配列として扱われる(例:["A", "B"])
添付ファイル ファイルIDやURLの取得が必要。ダウンロードには認証が必要な場合も
ユーザー選択・グループ選択 オブジェクト構造(code, nameなど)を理解して扱う必要あり

Power Automateでは、JSONの整形や条件分岐を使って、kintoneのデータ構造に合わせた処理を行う必要があります。

5. エラー処理とログ管理

API連携では、エラー処理とログの確認も重要です。
Power Automateでは各ステップの実行結果を確認できるため、失敗時の原因特定がしやすくなっています。

  • ステータスコードによる分岐(200, 400, 403など)
  • エラーメッセージの取得と通知
  • 実行履歴の保存と分析

これらの技術的ポイントを押さえることで、kintoneとPower Platformの連携を安定して運用できる仕組みとして構築できます。

7. まとめと今後の展望

kintoneを中心に据えた業務改善の取り組みに、Microsoft Power Platformを組み合わせることで何ができるのかを整理してきました。

kintoneは、現場主導で業務アプリを構築できる柔軟なプラットフォームです。
通知・分析・外部連携・UIなどの面で限界を感じる側面もあります。
Power Platformを掛け合わせることで、業務の自動化・可視化・アプリ開発の幅を広げるイメージがわいてきたのではないでしょうか。

特に以下のような場面で、連携の効果が発揮されます。

・モバイル対応やUI強化(Power Apps)
・承認フローや通知の自動化(Power Automate)
・データの可視化と分析(Power BI)
・問い合わせ対応の効率化(Power Virtual Agents)

今後は、この記事で紹介した内容をベースに、各ツールごとの具体的な実装方法やユースケースを個別に掘り下げていく予定です。

たとえば、

・Power Appsからkintoneにレコードを登録する方法
・Power Automateでkintoneのステータスを自動更新する方法
・Power BIでkintoneのデータをグラフ化する手順
・チャットボットでkintoneのFAQを参照する方法

これらの実践的な内容を通じて 「kintone × Power Platform 連携」 のリアルな活用方法を紹介できればと思っています。

次回以降の記事で取り上げてほしいテーマや、実際に困っている業務課題などがあれば、ぜひコメントください!
みなさんの現場に役立つ情報を、今後もお届けしていきます!

参考

https://cybozu.dev/ja/kintone/docs/rest-api/
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-platform/

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