アニメ「葬送のフリーレン」23話
フェルン「フリーレン様、宝箱を判別する魔法(ミークハイト)の判別結果を見ましたよね?ミミックです」
フリーレン「フェルン、その魔法の精度は99%だよ」
フェルン「それがどうかしたのですか?」
フリーレン「ベイズ推定だよ」
フェルン「...ベイズ推定とミミックに何の関係があるんですか?」
※ 本記事ではベイズ推定を解説する関係上、原作とは異なる設定が登場します。予めご了承ください。
フリーレン「フェルン、私がここでこの宝箱を開けて、ミミックに食べられる確率は?」
フェルン「99%なんじゃないんですか?」
フリーレン「違うよフェルン。宝箱を判別する魔法(ミークハイト)の精度99%というのは、実際にミミックに使ったときに、正しくミミックだと判別する確率だよ 1。本物の宝箱に使ったときにミミックだと誤判定される場合が考慮されていない」
フェルン「それはそうかもしれませんが...だからと言って、その宝箱を開ける理由になるんですか?」
フリーレン「フェルン、この世界の宝箱の何%がミミックなのか知ってる?」
フェルン「何%なんですか?」
フリーレン「2%だよ 2。それはつまり、本物の宝箱に宝箱を判別する魔法(ミークハイト)を使って、ミミックだと誤判定されている確率も無視できない」
フェルン「なるほど...ではこの宝箱がミミックである確率はどのくらいなんですか?」
フリーレン「宝箱を判別する魔法(ミークハイト)が本物の宝箱を本物と判別する精度も99% 3。つまり1%の確率でミミックだと誤判定してしまうわけだよ。ミミックかどうか分からない宝箱に宝箱を判別する魔法(ミークハイト)を使ったときにはね、次の2パターンを考える必要があるんだ。
- 実際はミミックで、かつそれを正しくミミックと判別する確率: 0.02 × 0.99 = 0.0198
- 実際は本物の宝箱で、かつそれを間違えてミミックと判別する確率: 0.98 × (1 - 0.99) = 0.0098
これらの確率を比べてみてどう?
」
フェルン「確かに、値としては同程度のオーダーですね」
フリーレン「でしょ?ここから『ミミックと判定が出たときに、実際にミミックである』確率は
0.0198 / (0.0198 + 0.0098) ≈ 67%
ということになる。
」
フェルン「意外と低いですね。理屈としては分かるのですが、直観に少し反する結果ですね」
フリーレン「これはね、ミミックが本物の宝箱と比べて珍しいことが効いているんだ。ミミックが珍しいせいで、本物の宝箱からの誤判定率が優位になってきて、偽陽性(ミミックではないのにミミックと判断してしまうこと)が増えてしまう。こういう陽性が珍しいケースではね、陽性の珍しさ以上に判定精度を十分上げる必要があるんだ。現実でも、ガンの検査やAIによる異常検出のように、一見精度が高いから安心だと思えても、偽陽性が高くて使い物にならない場合が多くあるんだ」
フェルン「...最後はよくわかりませんでしたが、とにかく、99%という数字に騙されてはいけませんね」
フリーレン「そう。だからこの中身は貴重な魔導書だよ。私の統計学者4としての経験がそう告げている」
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(画像元: 葬送のフリーレン公式Xアカウントのポストより)