はじめに
2024年9月21日から22日にかけて、サポーターズさん主催の「技育祭」が開催されています。
本記事では、技育祭1日目で特に印象に残ったセッションの内容を備忘録としてまとめるとともに、今後のキャリアパスについて考えを整理してみたいと思います。
なお、1日目に感想記事を挙げているのは、明日にバイトが入ってしまい、2日目のセッションを視聴できないためです。後悔しつつも、1日目の感想をしっかりとまとめたいと思います。
自己紹介
情報収集や技術知識のアウトプットを目的として、アカウントをつい先ほど作成しました。
エンジニアを志す者として、常に最新の技術や知識に対して貪欲に学び、成長していきたいと考えています。
趣味は、就寝前の読書と古着屋巡りです。
技育祭とは
技育祭は「技術者を育てる」ことを目的とした
エンジニアを目指す学生のための
日本最大のオンラインカンファレンスです
技育祭のポイント
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圧倒的なインプット
およそ30の講演を2日間に渡り実施。短期間で多くの学び、気付きを提供。 -
超豪華なゲスト陣
IT業界を代表する経営者、CTO、エンジニアが集結。ゲストに直接質問も可能。 -
仲間ができる
全国から4,000にんのエンジニア学生が集結!学生さん同士の交流コンテンツもご用意。
イベント内容
ここでは、特に印象的だった2つのセッションについて触れさせていただきます。
また、いずれも技育祭で得た内容について私自身の視点やメモを元に書いており、解釈に多少の違いがあるかもしれませんが、ご容赦いただけますと幸いです。
1. 3社のCTO経験者が語る、生成AIの波とプロダクト変化、エンジニアの向き合い方
私が1つ目に挙げるのは、株式会社LayerX (代表取締役 CTO)/三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社 (取締役)の松本勇気氏のセッションです。
本セッションでは、LLM時代のプロダクト作りを続けてきた松本氏が、これからの社会で求められるプロダクト、環境変化にどう向き合っていくか、どんなエンジニアが今後も活躍し続けるのかということについて話してくださいました。
LLMがもたらす変化と変わらないこと
松本氏のセッションで特に印象的だったのは、LLM(大規模言語モデル)や生成AIがエンジニアの仕事に与える影響についての議論です。今後、AI技術の進化により少人数でのプロジェクトが増え、AIが当たり前のようにソフトウェアに組み込まれる時代が来ると予想されています。
しかし、生成AIやLLMが進化しても、エンジニアとして変わらない重要なポイントがあると述べます。それは、AIが出力した結果が正しいかどうかを判断する責任です。これまでもそうであったように、コードやシステムの品質を最終的にチェックし、責任を持つのはエンジニア自身です。プロフェッショナルとしての姿勢、つまり、学び続けることや責任を負う覚悟は、技術が進化しても変わりません。
また松本氏は、ただ技術に詳しいだけのエンジニアよりも、LLMが優れる部分が多くなることを指摘しました。
では、AIがコードのドラフトを作成することが当たり前になる中で、エンジニアはどのような意識を持つべきなのでしょうか。LLMにはない人間の価値とは何なのでしょうか。
松本氏はこの問いに対して、4つのキーワードを提示しました。
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ドメインディープダイブ力
これは、特定の領域に対する深い知識を持ち、その分野の第一人者となる力です。エンジニアは単に技術的なスキルを持つだけでなく、その界隈で何が求められているのかを理解し、正しいプロダクトや解決策を提案できることが重要です。
AIがいくら優れたコードを生成できても、その領域で何が良いプロダクトかを知る人間の直感や知識がなければ、適切な判断はできません。 -
言語化能力
論理的な思考力と、多様な表現方法でファクト(事実)と仮説をしっかりと区別しながら、他者に伝える能力です。特に、問題を正しく分解し、人やAIそれぞれに課題と施策を正確に提示するスキルが求められます。傾聴やヒアリング力もここに含まれ、ただコードを書くのではなく、人と適切にコミュニケーションを取る力が、AIにはない大切な価値だと強調されていました。 -
爆速リーダーシップ
松本氏は、エンジニアにとってリーダーシップが重要であると述べ、「素早く決断し、それを迅速に形にする力」が肝心だと言います。特に、人間の勇気が決定的な違いを生むと指摘されました。何度も検証を重ね、素早く「これでいきましょう!」と決められる人こそが成長すると言います。間違えることを恐れず、素早く挑戦し、改善を重ねる姿勢が重要です。松本氏は、意思決定の数だけ成長すると述べていました。 -
顧客目線
最後に、エンジニアが忘れてはならないのは「顧客目線」です。どれほど優れた技術やプロダクトであっても、顧客のニーズを満たさなければ意味がないと言います。単に表面的な要件に応えるだけでなく、顧客の本質的なニーズを見抜き、それを満たすプロダクトこそが価値を持つと語られました。エンジニアは、技術だけでなく、その技術が顧客にどう喜ばれるかを意識することが大切です。
最後に松本氏は、これからのAIとの付き合い方を示してくれました。それは、とにかくLLMや生成AIに触りまくることだと言います。色々な使い方を試し、たとえばGoogle代わりに使う、ER図を書かせる、あるいは要件定義をさせてみるなど、幅広い実験を通じてAIの力を引き出すことが大切です。そして、使用感の癖やAIがどこで間違えやすいかを理解することが重要だと語られました。
人間の介在領域が徐々に減少する中で、エンジニアは技術的な視点から「何を作るか」を考える役割を果たすべきです。松本氏のメッセージは、AI時代におけるエンジニアの未来を鮮明に描き、技術に対する姿勢を再認識させるものでした。
2. 【1年目が3社のCTO経験のある上司に切り込みます】AI時代のキャリアの歩み方
2つ目は、パーソルキャリア株式会社CTOの岡本邦宏氏と、doda企画本部の原田龍之介氏による、AI時代におけるキャリアの歩み方についての議論です。
AI時代におけるキャリアパスの考え方
セッションでは、AIが基本的な業務を代替する未来が語られました。特に、プログラマーの一部はAIに置き換えられる可能性があると指摘されましたが、仕事には変動要素や変数が多く存在するため、人間が介在する価値は依然として残ると強調。
特に、エキスパート職やマネジメント職では、その重要性がさらに増すとも述べられました。技術の進化により、単にコードを書くエンジニアではなく、どこに価値を提供できるかを見極める力が求められる時代です。
また、キャリアパスにおいて最も重要なのは「自分が何を目指すのかを明確にすること」だと強調しています。フルスタックエンジニアとして幅広いスキルを持つことは大きな強みですが、特定分野のエキスパートには及ばない場合があるというのが氏の考えです。言い換えれば、単に「何でもできるエンジニア」であることよりも、自身がどの分野で価値を発揮したいのかを明確にし、その分野で突出したスキルを持つことが今後求められるのです。フルスタックというスキルセットはあくまで手段に過ぎず、それをどう活かしてどのキャリアの「山」を登るかが問われます。
岡本氏はさらに、キャリアの「山」を登るための戦略として、バックキャストとイテレーションという2つのアプローチを紹介しました。バックキャストは、理想のゴールから逆算して現在の行動を計画するアプローチです。一方、イテレーションは、試行錯誤を繰り返しながら少しずつ改善していく方法です。どちらのアプローチを選ぶにしても、キャリアの方向性を自ら言語化し、目指すべき未来を描く力が必要だと述べています。
そして、岡本氏が最後に強調したのは、エンジニアリングそのものが目的ではないという点です。エンジニアは単に技術者ではなく、社会人としての責任を持ち、ビジネスにどう貢献できるかを常に考えるべきだと語りました。技術はあくまでも手段であり、その手段を使って最終的にビジネスに価値を提供することこそが、エンジニアに求められる本当の役割です。
今後の展望
今日の技育祭でのセッションは、就職活動を目前に控えた私にとって非常に刺激的であり、キャリアパスに対する意識が一段と深まりました。松本氏や岡本氏が強調していたのは、エンジニアに求められるのは単なる技術力だけではなく、明確な目標を持ち、その目標を達成するために何をすべきかを考える論理的思考力、そしてそれを実現するための行動力だという点でした。
特に「爆速リーダーシップ」という言葉が印象的で、今の私に足りていないものだと痛感しました。松本氏の「間違えたら改善すればいい。間違えないことよりも、挑戦しないことが最も良くない」という言葉は心に深く響きました。
今後は、この言葉を胸に刻み、躊躇せずに挑戦を重ね、失敗しても巻き返す力を養っていきたいと考えます。また、技術力の向上はもちろんのこと、論理的な思考力と行動力を兼ね備え、目標達成に向けたプロセスを意識的に強化していくことが私の課題だと認識しました。
技術力だけでなく、自分の考えをしっかりと持ち、リーダーシップを発揮できるようなエンジニアを目指していきたいと思います。そして、そのために何ができるか、何をすべきか、常に考え、行動していきます。