DRAMとは
DRAMは1つのトランジスタ(スイッチの役割)と1つのコンデンサ(入れ物)がセットで1ビットを実現している。
主にコンデンサが絶縁体で無理やり電荷を閉じ込めることでON(1)を表現している。電荷がなければOFF(0)となる。
単純で分かりやすい。
しかしコンデンサは絶縁体によって電荷を無理やり閉じ込めているだけなので、長い時間が経つと自然放電する。
よって定期的にリフレッシュする必要がある。このせいもあって少し遅く手間が掛かる。
SRAMとは
DRAMの仕組みを、配線と構造で工夫し、6つのトランジスタ(スイッチ)のみで実現したもの。
この構造をフリップフロップ回路という。
トランジスタの開閉という物理的な仕組みでON・OFFを制御しているため、無理やり電荷を閉じ込めるDRAMと異なり、電源が供給されている限り自然放電によるデータ喪失とは無縁。
また書き込み・読み込みスピードがDRAMと比較し非常に速い。しかし容量は小さく高額。CPUのキャッシュなどでしか利用できない。
電源を切るとどうなる?
どちらもRAMのため、電源が切られるとデータ(ON・OFF、電荷の有無、トランジスタの開・閉)は維持できない。
しかしデータが失われるという点は同じだが、その失われる仕組みは上記の通り根本的に異なる。
DRAMはコンデンサが機能しなくなり、閉じ込めていた電荷が放出してデータが喪失する。
SRAMはフリップフロップ回路が維持できなくなり、データが喪失する。
コスト無視できる金持ちは主記憶装置も全部SRAMにすればよくないか。
誰もが思うが、技術的に不可能。
SRAMは高速だが、1ビットの記憶にトランジスタを6つも消費する。1ビットをトランジスタ1つとコンデンサ1つ、計2つで再現しているDRAMと単純に数で比較しても3倍。回路面積も考慮すると、DRAMより約10倍の幅をとるとか。
そのため主記憶装置の容量(32GBとか)をSRAMで再現しようとすると机くらいの大きさの記憶盤になるらしい。
またDRAMと違い、SRAMはトランジスタの開閉維持のため、読み書きしない待機時間でも電力消費が激しい。そのため発熱の問題からもそのような巨大なSRAMは現実的ではないらしい。
フリップフロップ回路の由来
余談だが、「Flip-Flop」という『行ったり来たりする』という意味の擬音語に由来している。日本語だと『あっちこっち』が感覚的、意味的どちらとも近い。
これがスイッチのようにカチカチON・OFFが入れ替わる様子に似ているから、安定して0と1を記憶できる回路がフリップフロップ回路と名付けられた。
(DRAMは自然放電するため安定しているとはいえず、回路でON・OFFを実現しているのではない。むしろ力業で電荷を閉じ込めて実現している。よってフリップフロップ回路とは呼べない)