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スケール因子を変更したカイ自乗分布の期待値と分散

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はじめに

とある事情からカイ自乗分布の自由度とスケール因子を当てはめた際の期待値と分散を知りたくなったので書きました.
一般的に自由度 $k$ ,スケール因子を $s=1$ としたときのカイ自乗分布について,
期待値と分散を求めている記事は見かけましたが,スケール因子が $s=1$ 以外の時に求める方法があまりなかったので備忘録がてら残しておきます.

期待値と分散

自由度 $k$ ・スケール因子 $s$ のときの期待値と分散
$$E[\chi^2(k ,s)]=ks\text{:期待値}$$
$$V[\chi^2(k ,s)]=2ks^2\text{:分散}$$

求め方

カイ自乗分布とガンマ分布の関係性を利用します.
カイ自乗分布はガンマ分布の特別な形のため,カイ自乗分布の自由度を$k$,スケール因子を$s$とすると,
$\alpha=k/2$ および $\beta=2s$のガンマ分布と等しくなります.
$$ Ga(\alpha=\frac{k}{2},\beta=2s)=\chi^2(k,s) $$
ここでガンマ分布の期待値と分散は
$$E[Ga(\alpha,\beta)]=\alpha \beta\text{:期待値}$$
$$V[Ga(\alpha,\beta)]=\alpha \beta^2\text{:分散}$$
となるため $\alpha=k/2$ および $\beta=2s$を代入すると
$$E[\chi^2(k ,s)]= \alpha \beta = k/2\times2s=ks\text{:期待値}$$
$$V[\chi^2(k ,s)]=\alpha \beta^2=k/2\times4s^2=2ks^2\text{:分散}$$
となり求めることができます.

例示

  1. 自由度 $k=5$ ・スケール因子 $s=0.1$ のときの期待値と分散 $$E[\chi^2(k=5,s=0.1)]=5\times0.1=0.5\text{:期待値}$$ $$V[\chi^2(k=5,s=0.1)]=2\times5\times(0.1)^2=0.1\text{:分散}$$
# Python
from scipy.stats import chi2
chi2.stats(5,scale=0.1,moments="mv")
  1. 自由度 $k=6$ ・スケール因子 $s=10$ のときの期待値と分散 $$E[\chi^2(k=6,s=10)]=6\times10=60\text{:期待値}$$ $$V[\chi^2(k=6,s=10)]=2\times6\times(10)^2=1200\text{:分散}$$
# Python
from scipy.stats import chi2
chi2.stats(6,scale=10,moments="mv")

おわりに

初めは確率密度関数から導こうとしましたが,自分ではあまりにも大変だったのでガンマ分布経由で求めました.
証明になってなさそうな気もしますが温かい目で見てもらえると嬉しいです.

参考

データ化学便覧,ガンマ分布
AVILEN AI Trend,ガンマ分布の期待値と分散を密度関数から導出する
AVILEN AI Trend,カイ二乗分布のわかりやすいまとめ

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