はじめに
アジャイル開発におけるユーザーストーリーマッピング(以下USM)について学んだ結果を記事にまとめてみる。
USMとは?
アジャイル開発におけるユーザーストーリーマッピングは、製品開発を効果的に進めるための強力なツールです。
ユーザーストーリーマッピングとは、ユーザーの視点に立って製品の機能や要件を整理し、視覚化する手法です。これにより、開発チーム全体が製品のビジョンを共有し、ユーザーのニーズに焦点を当てた開発を行うことができます。
ユーザーストーリーマッピングの基本要素
- ユーザーストーリー: ユーザーの目標や要望を短い文で表現します。
- ビジュアルマップ: ユーザーの行動、タスク、目標を視覚的に表現します。
- 優先順位付け: ストーリーに優先順位をつけ、開発の順序を決定します。
ユーザーストーリーマッピングの進め方
1. ペルソナの設定
まず、製品を使用する具体的なユーザー像(ペルソナ)を設定します。例えば、「30代の営業マン」や「大学生の女性」など、具体的な属性を持つユーザーを想定します。
2. ユーザーの行動を時系列で整理
次に、ペルソナの行動を時系列に沿って整理します。例えば、「アプリを開く」→「商品を検索する」→「商品を選択する」→「購入する」といった具合です。
3. ユーザーストーリーの作成
各行動に対して、ユーザーストーリーを作成します。形式は以下のようになります:
「〜として、〜したい。なぜなら〜だからだ。」
例:「営業マンとして、顧客情報を素早く検索したい。なぜなら、商談の直前に情報を確認する必要があるからだ。」
4. 機能のマッピング
ユーザーストーリーに対応する機能や製品の要素をマッピングします。これにより、各機能がどのユーザーニーズを満たすのかが明確になります。
5. 優先順位付けとスプリント計画
最後に、マッピングした機能に優先順位をつけ、スプリント(短期の開発サイクル)の計画を立てます。
ユーザーストーリーマッピングの利点
- ユーザー中心の開発: 常にユーザーのニーズを念頭に置いた開発が可能になります。
- 全体像の把握: 製品の機能や要件の全体像を視覚的に理解できます。
- コミュニケーションの促進: チーム内でのコミュニケーションが活性化し、共通理解が深まります。
- 柔軟な計画変更: アジャイル開発の特性を活かし、優先順位の変更や新たな要件の追加が容易になります。
ユーザーストーリーマッピングを活用することで、開発チームは常にユーザーの視点を忘れず、価値のある製品を効率的に開発することができます。
ユーザーストーリーマッピングの具体的なステップ
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ペルソナの設定
- 製品やサービスを利用する具体的なユーザー像を作成します。
- 性別、年齢、職業、趣味、行動パターン、生活スタイルなどを詳細に定義します。
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ユーザーの行動を時系列で整理
- ペルソナの大まかな行動を時系列に沿って並べます。
- 必要に応じて、大きな行動を詳細なステップに分解します。
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ユーザーストーリーの作成
- 各行動や詳細なステップに対して、具体的なユーザーストーリーを作成します。
- 「〜として、〜したい。なぜなら〜だからだ。」という形式で記述します。
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機能やプロダクトのマッピング
- ユーザーの各行動に対して、必要な機能やプロダクトをマッピングします。
- ユーザーに提供する価値や解決すべき課題を考慮しながら、アイデアを自由に書き出します。
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優先順位付け
- マッピングした機能やアイデアに優先順位をつけます。
- プロジェクトの目標や重要度に基づいて順位を決定します。
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リリース計画の策定
- 優先度の高い機能から開発を開始し、段階的なリリース計画を立てます。
- プロジェクトの進行に合わせて、マップを定期的に見直し、更新します。
これらのステップを通じて、開発チーム全体がプロダクトのビジョンを共有し、ユーザー中心の開発を行うことができます。ワークショップ形式で進めることで、チームメンバー間のコミュニケーションも促進されます。
具体例
最後に、ユーザーストーリーマッピング(USM)の具体例を記載していきます。
この例では、オンラインショッピングアプリケーションを想定します。
ペルソナ設定
30代の会社員、スティーブさん。忙しい日々を送っており、効率的に買い物をしたいと考えています。
ユーザーの行動(横軸)
- アプリを開く
- 商品を探す
- 商品を選択する
- カートに追加する
- 注文を確定する
- 支払いを行う
- 配送状況を確認する
ユーザーストーリーと機能(縦軸)
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アプリを開く
- ユーザーストーリー: アプリにすぐにアクセスしたい
- 機能: クイックログイン、指紋認証
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商品を探す
- ユーザーストーリー: 欲しい商品を素早く見つけたい
- 機能: 検索機能、カテゴリ分類、おすすめ商品表示
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商品を選択する
- ユーザーストーリー: 商品の詳細情報を確認したい
- 機能: 商品詳細ページ、レビュー表示、関連商品推奨
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カートに追加する
- ユーザーストーリー: 複数の商品をまとめて購入したい
- 機能: カート機能、数量変更、保存機能
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注文を確定する
- ユーザーストーリー: 注文内容を最終確認したい
- 機能: 注文確認画面、配送先選択、クーポン適用
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支払いを行う
- ユーザーストーリー: 安全かつ簡単に支払いたい
- 機能: 複数の支払い方法、セキュアな決済システム
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配送状況を確認する
- ユーザーストーリー: 商品がいつ届くか知りたい
- 機能: リアルタイム配送追跡、通知機能
このマッピングを通じて、開発チームは顧客体験の全体像を把握し、優先順位を決定できます。
例えば、初期リリースでは基本的な購入フローに焦点を当て、その後のアップデートで配送追跡機能を追加するなど、段階的な開発計画を立てることができます。
以上