はじめに
プロジェクトによってレビューの重要度、優先度が異なるが、どんなプロジェクトでも各工程ごとのアウトプットに対するレビューをしないことはハッキリ言って品質を大きく下げることになる。
さらに言えば、結果的にリードタイムが伸びることになる。
この記事ではレビューの重要性やレビュー基準、レビューを実施しないとどうなるかについて記載していく。
開発チーム内のレビューは、ソフトウェア開発プロセスにおいて非常に重要な役割を果たします。効果的なレビュー手法を導入することで、品質向上、開発効率の改善、そしてチームメンバーのスキル向上につながります。
レビューの重要性
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品質向上:
レビューを通じて、潜在的な問題や不備を早期に発見し、修正することができます。これにより、後の開発段階での大きな問題を防ぐことができます。 -
開発効率の向上:
早期の問題発見により、開発の後戻りを減らし、納期までの期間を短縮できます。 -
チーム全体のスキル向上:
レビューを通じて、チームメンバー間で知識や経験を共有することができます。
効果的なレビュー手法
1. チームレビューとPBRの組み合わせ
- 5人程度の参加者で実施し、各レビューアに特定の視点を割り当てます。
- 設計者、テスター、顧客の3つの視点を必ず含めることが重要です。
PBR(パースペクティブ・ベースド・リーディング)
各レビューアに特定の視点を割り当ててレビューを行う手法。
特定の視点のなかで必ず設定すべきは、設計者、テスター、顧客の3つの視点。
この3つ以外の視点は、レビュー対象物の特性に合わせて設定すればよく、例えばシステム運用者の視点などになる。
2. レビューの迅速な対応
- レビューへの返信は最長で1営業日以内に行うべきです。
- チーム全体の開発速度向上のために重要です。
3. 適切なレビュー基準の設定
- 完璧なコードを求めるのではなく、システムを確実に改善するコードを求めましょう。
- 個人的な好みは排除し、チーム内のルールや言語仕様に基づいて判断します。
4. レビューの手順
- 変更を広く眺め、目的を確認する。
- クリティカルな問題がないか最初にチェックする。
- 残りを適切な順序で確認する。
レビューアの選定
レビューする観点に応じて適切なレビューアを選定することも重要です。例えば、システムの使いやすさを確認したい場合は、普段システムを使ったことがない人を選ぶなど、目的に応じた選定を行います。
レビュアーの人数について
参加者が少なくならざるを得ない状況の場合は、チーム内のメンバで最低限 設計者、テスター、顧客の3つの視点でレビューを行うべき。
また、レビュアーは最低1名以上、できれば2名以上で行うべき
観点漏れを防ぐためと、属人化を避けるため複数名でのレビューが必要。。
上記のため1名は避けた方が良い。
そして最もあり得ないのは、時間が無いからといってレビューをしない、と言うことは絶対に避けるべき。
負債とリスクを常に抱えることになるだけだ
効果的なレビュー手法を導入し、チーム全体で取り組むことで、開発プロセスの質を大きく向上させることができます。初心者の方々も、これらの手法を意識しながら積極的にレビューに参加することで、自身のスキル向上にもつながります。
適切なレビュー基準の設定は、効果的な開発チーム内のレビューを実施する上で非常に重要です。以下に、適切なレビュー基準の設定に関する重要なポイントを説明します。
レビュー基準の設定方法
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明確な品質目標の設定
開発プロジェクトの開始時に、明確な品質目標を設定することが重要です。これにより、レビューの際に何を重点的にチェックすべきかが明確になります。 -
定量的品質出荷基準の設定
プロジェクトの成果物に対して、定量的な品質出荷基準を設定することが推奨されます。これにより、レビューの際に具体的な数値目標を持って評価することができます。 -
チェック項目の決定
基本設計における重要な要素を洗い出し、それに基づいて具体的なチェック項目を設定します。例えば、以下のような項目が考えられます:
- 設計の整合性
- 機能要件の満たし具合
- パフォーマンス要件
- セキュリティ要件
チェック項目をチェックリストとして作成し、メンバがいつでも確認可能なようにすることが重要。
レビュー基準の適用
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成果物の特徴に応じたテーラリング
個々のレビュー対象成果物に対して、その特徴に応じたレビュープロセスをテーラリングすることが重要です。例えば、成果物のサイズや重要度に応じて、異なるレビュー手法を適用することができます。 -
網羅性、正確性、わかりやすさの観点
基本設計レビューにおいては、主に網羅性、正確性、わかりやすさの3つの観点からチェックを行います。これらの観点を基準として、レビューを実施することで、設計の質を総合的に評価することができます。 -
非熟練者への配慮
開発経験が2年未満の非熟練者が担当した成果物に対しては、別途レビュー実施手順を定めることが推奨されます。これにより、経験の浅いメンバーのスキル向上にも配慮したレビューが可能となります。
適切なレビュー基準を設定し、それを効果的に適用することで、開発チーム全体の品質向上と効率的な開発プロセスの実現につながります。
以上