はじめに
私は非IT系企業の情報システム部員として、新卒後のキャリアをスタートさせました。
その後SIerに転職し、紆余曲折ありながら3年ほどで下記のような経験を得ることができました。
- AWSを利用したシステム基盤構築でPMを務める
- AWSの全ての資格(執筆時点で全12種)を取得し、Japan AWS All Certifications Engineersに選出される
- AWS re:Invent 2023に参加し、衝撃と刺激を受ける
私が転職活動をしていた際は、
- SIer→情報システム部
は比較的多いイメージでしたが - 情報システム部→SIer
は比較的少ない印象でしたので、もしキャリアの途中でSIerへの転職を考えられている方がいらっしゃれば、ご参考にしていただければ幸いです。
転職するきっかけ
転職する前に所属していた企業の情報システム部では、
1. 会計システムの子会社への導入(1年目)
2. 既存システムの運用・保守(2~4年目)
を主なタスクとして実施していました。
一方で、システム開発はSIerに依頼する形となっており、自分自身で開発する機会などはほぼありませんでした。
そんな中、ある社外エンジニアの方との出会いが自分のキャリアの転機となりました。
その方はインフラ関連の知識が非常に豊富で、システムのわからない部分を相談したらいつでもアドバイスをくれました。
私はかっこいいと思うと同時にいつか知識をつけて同じレベル感で話せるようになりたいと感じ、最終的に自分自身がSIerでエンジニアになろうと決意しました。
IPAの高度資格に合格するなど、自分なりに自己研鑽を積んだ上で社会人5年目の上半期に転職をしました。
当時は今後伸びてきそうという考えから、クラウドに携われる職種へ応募していましたが、今考えてみるとナイス判断と当時の私に言ってあげたいと思います。
転職後1年目
念願のSIerに入ったのは良かったのですが、結論から言えば転職1年目は非常に厳しい年となりました。
主な理由としては下記の2つが挙げられます。
1. エンジニアとしての知識がほとんどなかった
2. コロナ禍でコミュニケーションを取るハードルが高くなっていた
まず、1.の「エンジニアとしての知識がほとんどなかった」について。
前章で「自己研鑽を積んだ上で〜」と記載していましたが、SIerで求められるレベルには及んでいなかったというのが正直な感想です。Javaのアプリケーションの構築やテストを実施するだけでも、一苦労するレベルでした。
それに追い討ちをかけてきたのが2.の「コロナ禍でコミュニケーションを取るハードルが高くなっていた」です。転職直後はちょうどコロナが巷で流行り始めた頃であり、オフィスに行ってもほぼ誰もいない状態でした。
そのため、
- 誰に聞いていいのかわからない
- 適当な人に聞こうにも周りに人がいない
- コミュニケーションを取るための関係づくりが容易でない
といった状況になっていました。そんな中、私の教育担当の方が、スキルアップや自信をつける観点からAWS資格試験の取得を勧めてくれました。他のことは及ばなくても、AWSだけは他のメンバーに負けないようにしたい、という思いでAWS資格取得を始めたのが、その後のエンジニアとしてのキャリアに大きな影響を与えました。
転職後2年目
転職2年目は一言でいえば、業務をこなしながらひたすらAWSの資格試験勉強をする毎日でした。
業務でAWSに触れながら、電車の行き帰りや休日に勉強するという日々が続きました。
途中までは、AWS資格試験の学習にかかった時間や教材をメモしていたのですが、途中から面倒になってやめてしまったことを後悔しています。
おそらくですが数百時間はトータルで勉強しているはずです。
ですが、AWS資格の再取得に励んでいる今でも変わらず、
- AWS BLACK BELT ONLINE SEMINAR
- AWS Skill Builder
-
AWS ホワイトペーパー
などを組み合わせながら試験勉強に活用しています。
試験勉強により知識がついてくると、業務でも心の余裕が生まれ、業務と資格試験の受験の両方でモチベーションを保つ良いサイクルを形成することができました。
また、周囲に私と同じく資格試験の受験を頑張っているメンバー(私含めて3名)がおり、ライバルのような関係で頑張れたというのも、資格試験の受験が続けられた大きな要因だと思っています。
そして、SIerへの転職の約2年後に、Japan AWS All Certifications Engineersに選出されました。エンジニアとして約4年の遅れがあった中、一つの形で報われたと感じる出来事でした。
転職後3年目
Japan AWS All Certifications Engineersに選出されたことで、エンジニアとしてのキャリアは大きく変化が生じていました。周りの方からはAWSについての有識者として見られることが多くなったため、より(良い意味で)緊張感を持って業務に取り組むことができ、テックリードやPMといった役割のチャンスをいただけるようになりました。
さらに大きかったのは、2023年度から創出されたJapan AWS Jr. Champions選出メンバーとの出会いでした。Japan AWS Jr. Championsは、以下のような概要になっています。
AWS Partner Network (APN) 参加企業に所属し、現在社会人歴 1~3 年目で突出した AWS 活動実績がある若手エンジニアを「Japan AWS Jr. Champions」として表彰します。これは、AWS を積極的に学び、自らアクションを起こし、周囲に影響を与えている APN 若手エンジニアを選出しコミュニティを形成する、日本独自の表彰プログラムです。*1
*1: 2024 Japan AWS Jr. Champions クライテリアと申し込みサイトのお知らせより引用
Japan AWS All Certifications Engineersはどちらかといえば、自分自身の知識向上が重要でしたが、Japan AWS Jr. Championsは、周りを巻き込んで活動することが非常に重要視されています。
私の勤めている企業でも選出者がおり、彼らの活動(外部勉強会への参加、イベントでのLTなど)を見ている中で、私自身もエンジニアとして、もう一段階成長したいと考えるようになりました。
一方で、私自身は内向的な性格だったので、まずは自社内から下記のような発信活動を始めました。
- AWSなどを含む技術的な社内ブログの投稿(週1回ペース)
- 部会・課会などでの情報共有
徐々に発信活動に慣れていく中、さらに大きな変化を与えるイベントがありました。
それが題名にもあるAWS re:Invent 2023への参加です。
AWSにおける世界最大規模のカンファレンスということもあり、それまでに参加していたイベントとはスケールが違っていました。
- KeyNoteを会場で聞いて、現地参加者の盛り上がりを実感
- イベント内のAWS JAMで海外の方と交流しながら参加(チーム内に日本人は自分のみ)
- AWSサービスの開発メンバーにその場で質問
などの経験を得ることができましたが、それ以上に他の参加者(特に日本から来られた方々)との交流はかけがえの無い経験だと思っています。
エンジニアに必要なのは技術力だけでなく、行動力や発信力だと痛感しました。
イベント終了後には、幸いなことに社内で多くの方に対してその経験をお伝えする機会をいただいたのですが、それではまだ不十分だということが今回のイベント参加で感じたことだったため、今このような形でパブリックなブログを始めて(かなりドキドキしながら)書いているということになります。
まとめ
結論から言えば、社会人5年目で環境を変える決断をしたことは、私にとって有意義でした。
一方で、転職1年目のような決して順風満帆ではない時期を乗り越える必要もありました。
非エンジニアの方がエンジニアを目指そうとした際には、技術に関する知識・経験や業界の違いなど、様々な不安要素があるかと思います。そんな時に、このような経験をした人もいるという一つの例として、本記事を参考にしていただければ幸いです。