ユースケース図とは
ユースケース図は、ユーザーの 要求 に対するシステムの 振る舞い を表現する図である。
ユーザー視点でシステムの機能を把握するのに役立つ。
ユースケース図は、「 UML(統一モデリング言語) 」の一つである。
ユースケース図は、システムを 利用する人の目線 で、具体的にシステムを 利用する場面 を想定して、 視覚的に図示する ことを目的としている。
ユースケース図には、以下の要素がある。
要素 | 説明 |
---|---|
アクター | システムを利用する人や外部システムなどの役割 |
ユースケース | アクターがシステムに対して行う操作やシステムが提供する機能 |
システム境界 | システムの範囲を示す枠 |
関連 | アクターとユースケース、ユースケース同士の関係を示す線 |
ユースケース図は シンプル な図であり、一目で システムの機能 や システム範囲(できること・できないこと) を理解することができる。
入力ソース情報
ユースケース図を作成する際には、システムの要件や仕様を明確にするための 入力ソース情報 が必要である。
入力ソース情報としては、以下のようなものがある。
入力ソース | 説明 |
---|---|
ユーザーのニーズや要望 | システムがどのような目的や価値を提供するかを把握する |
ユースケースシナリオ | システムとユーザーの相互作用の具体的な流れを記述する |
アクター | システムにアクセスする主体や役割を特定する |
ユースケース | システムが提供する機能やサービスを定義する |
ユースケース図は、 ER図 や ロバストネス図 などの、 他の設計図 の入力ソース情報としても活用できる。
必要性
ユースケース図の必要性として、以下の点があげられる。
- システムとユーザーの 相互作用 や 関係 を要約するための図で、システムの 機能 や 範囲 を明確にすることができる
- ユーザー目線 でシステムを利用する場面を想定して、視覚的に図示することで、 顧客とのコミュニケーション を円滑にすることができる
- システムの 内部構造 や 処理の流れ を詳細に記述する「 ユースケース記述 」と組み合わせることで、 理解しやすく効率的 な仕様書を作成することができる
書き方の原則
ユースケース図の書き方の原則として、以下の点があげられる。
- システムで何ができるか を、 ユーザー目線で表現する図 である
- アクター 、 ユースケース 、 システム境界 、 関連 、 包含 、 拡張 の6種類の要素を使う
- アクターを洗い出す 段階と、 アクター別のユースケースを洗い出す 段階の、大きく2段階に分けられる
- 要件定義 フェーズで使用されることが多く、システムの 機能 や 範囲 を明確にするために描く
- ユーザーのアクションに対してシステムが実行する 内部処理の流れ を、「 ユースケース記述 」として作成することができる
ユースケース記述とは
ユースケース記述とは、ユースケース図で表現されたシステムとユーザーの 相互作用 を、 テキストで詳細に記述したもの である。
ユースケース記述には、以下に示す項目が含まれる。
項目 | 説明 |
---|---|
ユースケース名 | ユースケース図でラベル付けされたユースケースの名称 |
アクター | ユースケース図で外部からシステムにアクセスする主体の名称 |
前提条件 | ユースケースが開始される前に満たされているべき条件 |
基本フロー | ユーザーが目的を達成するための正常な操作や応答の流れ |
代替フロー | 基本フローから分岐する異常や例外の操作や応答の流れ |
後置条件 | ユースケースが終了した後に満たされているべき条件 |
ユースケース記述は、システムの 要件や仕様を明確にする だけでなく、 テストケース や 設計書 などの他のドキュメントの作成にも活用できる。
ユースケース記述の特徴
ユースケース記述の特徴として、以下の点があげられる。
- ユースケース記述は、 ユーザー目線 でシステムの 利用シナリオ を記述するため、ユーザーの ニーズ や 要望 を反映しやすい
- システムの 内部構造 や処理の 詳細を記述しない ため、システムの 変更 に 柔軟 に対応できる
- テキスト で書かれるため、読みやすく理解しやすい
実践的な書き方
- ユースケースは「 A を B する」と言う形式で記述する
- 〜する と言う記述にする(体言止め、名詞のみはNG)
- A が 静的モデル 、 B が 動的モデル になる
- ユースケースは アクター目線 で 何を実現するのか を記述する
- エンジニア目線 で考えると、正確なユースケースを導き出せなくなる
- 実装に寄ってしまわないように意識しながら描く