商品企画からプロモーションまで、ECマーケティングの概略となります。
参考として、各内容の例を黒背景・白文字で添えています
#▼ 商品企画/販売計画
どのような商品を、どの時期に、どのように売っていくかの計画を立てていく
「新しいランニングシューズを企画/販売したい。
どのようなシューズを、どのように売れば成功するだろうか…。」
##環境分析
計画を立てる前に、まずは自社をとりまく環境と現状を、分析・把握する
自社の強み/弱み/顧客ニーズ/競合分析/業界トレンド、を把握する
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内部環境
- 資本力/情報力/従業員のレベル等
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外部環境
- ミクロ|外部環境のうち、仕入先/広告業者/卸業者など、コントロールできるもの
- マクロ|外部環境のうち、政治的要因/自然現象的要因など、コントロールが難しいもの
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PEST分析│マクロ環境の分析に用いられる
- 政治的要因|規制強化や法改正など、政治動向の影響を受ける要因
- 経済的要因|景気動向/GDP/インフレ デフレなど、経済情勢の影響を受ける要因
- 社会的要因|世論/社会情勢の影響を受ける要因
- 技術的要因|技術的進歩の影響を受ける要因
「内部環境としては、資本が2億と従業員が100名。デザイナーが多数在籍している。
外部環境としては、景気は回復傾向で、技術的にはAIの進歩が顕著だ。」
###SWOT分析
自社を取り巻く環境の強みや脅威を把握し、現状を分析し、改善すべき点/優先事項などを検討する
- 内部環境の強み/弱みは何か
- 外部環境の機会/脅威は何か
「うちの場合…
内部:強みは、優秀なデザイナーが揃っていることで、
内部:弱みは、定着率が下がっていることだな
外部:機会は、世間的にシューズに払う金額が高まっていることで、
外部:脅威は、海外から高機能シューズが入って来ていることだ
海外シューズに負けない、デザイン重視のシューズで勝負していく、というのはどうだろう。」
##STP戦略
###セグメンテーション
顧客のグループ分け。市場を細分化し、商品投入領域を検討する
「健康のためランニングをするライトユーザーと、大会優勝を目指すプロユーザーがいるな。」
###ターゲティング
ターゲットとなるグループ|標的市場を選定
「うちは技術にもデザインにも自信がある。高単価が期待できるプロユーザーを狙おう。」
###ポジショニング
ターゲットグループ(市場)で、他社より優位に立てるポジションを見つける(差別化)
「他社が出していない、プロ向けカスタマイズシューズに特化して、ポジションを確立しよう。」
##商品戦略
商品の価値を、どのように高めるのか、戦略を練る
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商品差別化戦略
- 機能的|吸引力が変わらない等
- 外観的|特徴的なデザイン等
- 心理的|ブランドイメージ/所有すると優越感がある等
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陳腐化│既存商品を意図的に陳腐に感じさせることで、買い替えを促す
- 機能的|新商品に新機能を付けることで、その機能が無い旧商品に陳腐さを感じさせる
- 心理的|モデルチェンジやデザインを洗練させることで、旧デザインに陳腐さを感じさせる
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商品多様化戦略│消費者に合わせ、商品の種類を増やすこと
- 垂直的|部分品や二次加工品を加えること|豆腐が売れたので、豆腐プリンも売ってみる等
- 水平的|同一業種の商品を加えること|シャンプーが売れたので、リンスも売ってみる等
- 異質的|異業種の商品を加えること|シャンプーが売れたので、髭剃りも売ってみる等
「外観的差別化として、今市場に出ていないカラーを採用して、
機能的陳腐化として、当社の既存商品には無いクッション機能を搭載しよう。」
###価格設定
商品の価格設定手法は、以下のようなものがある
**クリックで「商品の価格設定手法」を展開**
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コストプラス型
- 商品の原価や経費などに、適正と考える利益をプラスしたものを価格に設定する手法
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マークアップ型
- 原価に一定の利益率を上乗せする手法
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需要志向型
- 知的価値型|リサーチで消費者の値ごろ感を探り、それに合わせた価格にする手法
- 需要差別型|消費者需要に合わせた価格にする手法。GWは旅行費用を高くする等
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販売促進型
- ついで買いやリピートを狙いに価格を設定する手法。「初回は50%OFF」等
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心理型
- 名声|所有する喜びに重点を置いた価格設定。高い車を所有したから幸せ、等
- 端数|端数を生んで割安感を出す手法。2000円とせずに1980円とする等
- 慣習|一般的慣習に即した価格にすること。缶ジュースは120円、等
- 段階|「松竹梅」等を用意し、意図的にある価格の商品(この場合は竹)が買われやすくする
- 均一|100円均一等とすること。消費者が「価格で悩む」という可能性を軽減できる
- セット|セット購入によってお得となるよう設定すること。単価情報などが期待できる
####価格について│その他
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価格-品質連想
- 価格が安ければ低品質であり、価格が高ければ高品質であろうと考えてしまうバイアスのこと。とにかく安くすることが、消費者への貢献、ではなく、安すぎることで、その商品の格を落とし、所有する喜びを低下させてしまう恐れもある
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価格センシティビティ
- 設定された価格に対して、消費者が高い/安いと感じる感応度のこと。高所得者ほど感応度は低い傾向にあると言われる
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価格弾力性
- 価格の変動に対する需要の変化の度合いのこと。洋服の価格の変化では需要が変わりづらくても、缶ジュースが120円から130円になるだけで需要に大きな影響を与える等
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ハイ・アンド・ロー戦略
- 特売日を設け、価格を上下させることで顧客を呼び込む戦略。価格が上がった際に客が離れる懸念がある
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EDLP戦略
- 毎日低価格とする戦略。「この店なら、いつでも安い」という信頼獲得を狙える
「心理:段階型価格設定を採用して、松竹梅の3段階価格で売り出そう。」
#▼ サイト構築
ユーザニーズを満たし、成果を上げるために、情報を設計し、サイトを構築する
###インフォメーションアーキテクチャ
成果を生むサイトにするための科学的アプローチのこと
- ビジネス戦略│何のために存在するサイトなのか、の定義。このサイトにとってのゴールは何なのか
- ユーザーインサイト│ユーザを細分化し、とくに重要なグループを見つける。ペルソナ等で掘り下げる
- ヒューリスティック評価│UIやアクセシビリティを評価する
- データ解析│直帰や離脱箇所等のボトルネックを見つける
- ユーザーテスト│被験者によるサイトテストやインタビューを行う
- 施策立案/サイト設計│訪問/回遊/CV/リピートを最大化するための方法を構築する
「このサイトにとってのゴールは、カスタマイズされた高単価シューズが購入されること。
重要なユーザグループは、カスタム意欲の高い、当社のコアファン。
カスタムしづらいページになっていないか、ユーザテストを実施しよう。」
#▼ プロモーション活動
##ビジネスゴールの設定
そもそも何がプロモーションのゴールなのかの設定が必須
ゴールに必要な要素
- 指標│ゴールを表すアクション。「売上をあげる」等
- 数値│指標に対する定量的値。「売上を2億あげる」等
- 期間│いつまでにゴールするか。「今期中に」等
ゴールまでの中間指標として、KPI(key performance indicator)を複数設定するのが一般的
「うちのゴールは、今年度売上10億をあげること。
KPIとしては[半期で売上5億][半期でサイトへの流入を1.3倍]を設定しよう。」
##PLM
プロダクト・ライフサイクル・マネジメント。PLCを把握し、商品を管理すること。伸び悩む前に新鮮な施策を打ったり、衰退期に入ったら無理に広告費はかけず、節約する等に役立てる
###PLC
プロダクト・ライフサイクル。商品が生まれ、市場に投入され、衰退するまでの流れ
- 導入期|市場に投入された時期
- 成長期|売上が伸びる時期
- 成熟期|売上が伸び悩む時期
- 衰退期|市場から消えていく時期
「今回の商品は、1年後に衰退期に入ると考えられる。
そのタイミングで広告費を抑えよう。」
##集客
広告やSEOによりサイトへの流入増加を図る
###SEO
検索エンジン最適化。主にオーガニック検索において上位表示されるための施策
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内部施策
- サイト構造の最適化
- 各ページ|コンテンツのユニーク(独自)さ
- ページ表示速度改善
- など
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外部施策
- 外部リンクの獲得
- プレスリリース配信
- 低品質リンクの切り離し
- など
「内部施策として各ページのメインテーマを明確にして、よりユニークにしよう。
外部施策としてカスタマイズサービス開始のプレスリリースを出そう。」
###リスティング
検索連動型広告。以下のような特徴がある
- クリックされやすい│能動的な検索行動の先に提示するためクリックされやすい
- 投資対効果が見えやすい│クリック課金であるため
- 低コストで始められる│広告代理店を通さないため開始が容易
- 効果検証がしやすい│広告に対するimpやCVRなど、殆どの数字が集計できるため
「広告代理店にプロモーションを相談・依頼する前に、
まずはリスティングで、自分達でスピーディーに広告を出してみよう。」
###純広告
バナー広告やテキスト広告。潜在層へのリーチに適している
短期間での規模の大きい露出にも向いており、キャンペーンに適している
「初回カスタマイズキャンペーンは、純広告での短期間/大々的な露出で宣伝しよう。」
##接客
ユーザが満足の行く購入体験ができるよう、UIの改良や品揃えの充実を図る
##サイト改善
Webサイトの訪問数/CVR等のポイントについて、以下のアプローチで改善を図る
訪問数改善
- 集客流入元タイプの把握
- 訪問数とCV貢献数のポートフォリオ分析
- 集客流入タイプ別対策
回遊率改善
- 直帰/離脱率の把握
- LP改善による直帰率改善
- ナビゲーション導線の最適化
- ページ表示速度の改善
- 回遊数とCV貢献数のポートフォリオ分析
CVR改善
- 全体CVRと直前離脱率の把握
- 直前離脱の防止
- メインルートの把握と強化
- 中間ゴールの設定
- 仮説/実証に基づくPDCA
リピート率改善
- リピート率/休眠率/リピート実態の把握
- CV直後フォロー
- n回目集中引き上げ
- 休眠ユーザーの引き上げ
- メールタッチポイントの最大化
- 顧客別対応によるLTV最大化
「回遊率改善として、ページ表示速度向上を進めて、
リピート率改善として、CV直後フォローを強化しよう。」
##追客
リピートを促進し、LTV(顧客生涯価値)の向上を狙う
###リターゲティング広告
サイト来訪歴のあるユーザに対し広告を出す
購入意欲がそれほど高くないユーザに出しすぎると、不快感を持たれるリスクもある
「2回以上購入していて(購入に対する意欲が高いと思われる)、3ヶ月以上来訪していないユーザに、
リターゲティング広告を出して、再来訪してもらえるようにアピールしよう。」
##PDCA
プロモーションを実施した後も、PDCAを回し続けていきます
###Plan
ゴールを定める。達成したい目的を数値として決定
「毎月リピート率を2%ずつ改善していこう。そのために休眠ユーザーの掘り起こし施策を行おう。」
###Do
施策を実施する
「休眠ユーザーの掘り起こしとして、カムバッククーポンをメルマガで配信した。」
###Check
効果検証。結果を確認する。目標値に対し、定量的にどの程度の達成度なのか
「クーポンメルマガでリピーター数が300増えたが、リピート率は0.5%の改善に留まった。」
###Action
原因分析。結果から、次にどうすればより良い結果になるか、目的が達成できるか改善施策を考える
「メルマガが思うように開封してもらえなかった。文面/コピーの見直しが必要か。
また、直近で購入があったユーザーに対し、アフターフォローメールを配信しよう。」