この記事では、セキュアコーディングの意味、具体的な注意点、必要なスキルについて解説しています。セキュアコーディングは、ハッキングから自社システムを守るために重要です。記事では、セキュアコーディングの意味、10の原則、必要なスキルを詳しく説明しています。
セキュアコーディングとは?
セキュアコーディングとは、ハッカーなどの攻撃に備えた防御的なプログラムを書くことです。ハッカーはプログラムのバグや脆弱性を狙い、個人情報を盗み出すことがあります。このような攻撃を防ぐためのプログラミング作法がセキュアコーディングです。
セキュアとは?
セキュアとは、「セキュリティーが担保されているシステム」を意味し、英語の「secure(安心な)」に由来します。セキュアコーディングは、セキュアなソフトウェアの構築を目指し、本人認証の導入やシステム運用ルールの制定とともに、システム全体のセキュリティーを強化するために行われます。
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セキュアコーディングはどんな脅威から守るのか?
セキュアコーディングは、主に次のような脅威から守る必要があります。
SQLインジェクション
フォームや入力欄に不正なSQL文を挿入することによって、データベースを不正に操作する攻撃手法です。データの改ざんや漏洩などの被害が考えられます。
コマンドインジェクション
フォームや入力欄に不正なシェルコマンドを挿入することによって、システムを不正に操作する攻撃手法です。ファイルの削除や改ざん、ウイルスの紛れ込みなどの被害があります。
パラメータ改ざん
URLのパラメータを不正に変更することによって、システムに予期せぬ影響を与える攻撃手法です。未公開の情報へのアクセスや不正な操作などの被害が考えられます。
これらの攻撃から守るためには、適切なセキュアコーディングの実施が必要です。
セキュアコーディングの10個の原則について
セキュアコーディングを行うことが重要と言っても、具体的にどのようなコーディングを行うべきか分からない方がほとんどでしょう。セキュアコーディングを行う際の参考になる資料として、「Top 10 Secure Coding Practices」というものがあります。こちらは、セキュアコーディングを行う際に意識すべきことをランキング形式でまとめたものです。
こちらの10個の原則について日本語でまとめました。
バリデーションを行う
ユーザーから入力される全てのデータを検証し、不正なデータがシステムに影響を与えないようにします。これには入力の長さや形式、内容の検証が含まれます。
コンパイラの警告を確認
コードをコンパイルする際に表示される警告を無視せず、全て確認して修正します。警告は潜在的なバグや脆弱性を示す重要な手がかりです。
セキュリティーポリシーを実装する
組織のセキュリティーポリシーに従ってコードを記述します。これには、認証、アクセス制御、データ暗号化などの方針が含まれます。
設計はシンプルを心がける
システムの設計はシンプルで理解しやすいものにします。複雑な設計はバグや脆弱性を生みやすくなります。
デフォルトで拒否する
デフォルトの状態でアクセスを拒否し、必要な場合にのみ明示的に許可します。これにより、不必要なアクセスを防ぎます。
最小特権の原則を守る
プログラムやユーザーには必要最小限の権限のみを与えます。これにより、権限の乱用や侵害のリスクを減少させます。
他のシステムに送信するデータはサニタイズ
他のシステムに送信する前に、データをサニタイズ(無害化)します。これにより、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などの攻撃を防ぎます。
多層防御を実践
一つの防御策に頼るのではなく、複数の防御層を設けます。これにより、どれか一つの防御が破られても全体のセキュリティが維持されます。
品質保証技術を使用する
コードレビューやテストなどの品質保証技術を使用して、コードの品質とセキュリティを確保します。自動テストや静的解析ツールも有効です。
セキュアコーディング標準を採用する
業界のセキュアコーディング標準やベストプラクティスを採用し、それに従ってコードを記述します。これにより、一般的な脆弱性を回避しやすくなります。
これらの原則を守ることで、セキュアなソフトウェア開発が可能となり、システムを様々な攻撃から保護することができます。
セキュアコーディングに必要なスキル
最後に、セキュアコーディングに必要なスキルについて解説します。セキュアコーディングを行う際は、次の4つのスキルが必要です。
ITスキル全般
基本的なプログラミングスキルはもちろん、データベース、ネットワーク、システムアーキテクチャなど、幅広いIT分野に関する知識が求められます。これにより、システム全体のセキュリティを考慮したコーディングが可能になります。また、複数のプログラミング言語やフレームワークに精通していることも重要です。これにより、異なる環境や要件に対応できる柔軟性が得られます。
OS操作
各種オペレーティングシステム(OS)の操作スキルも不可欠です。特に、Windows、Linux、macOSなど主要なOSにおけるセキュリティ設定や管理について理解していることが重要です。OS固有のセキュリティ機能や設定を適切に利用することで、システムのセキュリティを強化できます。また、システムログの分析や管理、ユーザー権限の設定など、日常的なOS操作もセキュアコーディングの一環として重要です。
暗号化に関する知識
データの保護に欠かせない暗号化技術について深い理解が必要です。これは、データの機密性や完全性を確保するために重要です。対称鍵暗号、公開鍵暗号、ハッシュ関数、デジタル署名など、様々な暗号技術についての知識が求められます。さらに、SSL/TLSなどのプロトコルを用いた通信の暗号化や、ストレージ暗号化など具体的な実装方法についても理解していることが重要です。
セキュリティー関連の法律知識
プライバシー保護法やデータ保護規制、サイバーセキュリティに関する法律についての知識も必要です。これにより、法的に適切な形でシステムを設計・実装することが可能になります。例えば、GDPR(一般データ保護規則)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)など、各国・地域のデータ保護規制に対応する必要があります。法律に準拠したセキュアなシステムを構築することで、法的リスクを軽減し、ユーザーの信頼を得ることができます。
これらのスキルを身につけることで、セキュアコーディングを効果的に行い、システムの安全性を高めることができます。また、継続的な学習と最新のセキュリティ情報の収集も欠かせません。技術の進歩に伴い、新たな脅威や対策が登場するため、常に最新の知識を持ち続けることが重要です。
最後に
セキュアコーディングには高度な技術が必要です。セキュリティを確保したシステム開発は、実績豊富な開発会社に依頼しましょう。
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詳しくは下記の記事もご参照ください。
➡ セキュアコーディングとは?10個の原則や必要なスキルについて解説