はじめに
Git を使って開発していると、「ちょっとこの作業を一旦退避したい！」という場面が多々あります。そんなとき便利なのが git stash です。
本記事では、stash の基本的な使い方に加えて、
- stash の中身の確認方法
- 特定ファイルだけを戻す方法
- stash 内のファイルと現在のファイルの差分確認
といった、知っておくと便利なコマンドをまとめました。
基本：stash の一覧確認
まずは stash の一覧を確認しましょう。
git stash list
出力例：
stash@{0}: WIP on main: abc1234 修正作業中
stash@{1}: WIP on main: def5678 別の修正
stash の中身を確認したい（概要と詳細）
概要を確認する（どのファイルが変わっているか）
git stash show stash@{0}
stash@{0} の部分は、git stash list で確認したものに置き換えてください。
差分の詳細を確認する（実際の変更内容）
git stash show -p stash@{0}
stash 内の特定ファイルと現在のファイルの差分を確認する
git diff stash@{0} -- path/to/file.txt
これで、stash@{0} に保存された file.txt と現在の作業ディレクトリにある file.txt の違いを確認できます。
stash から特定のファイルだけを戻す方法
git stash pop は stash の内容をすべて適用し、削除しますが、「特定ファイルだけ戻したい！」場合は以下の方法を使います。
1. スタッシュ内容を消さずに一時適用
git stash apply stash@{0}
※ stash pop ではなく apply を使うことで、stash の中身を保持したまま適用できます。
2. 特定ファイルのみを戻す
git checkout stash@{0} -- path/to/file.txt
これにより、stash 内の file.txt だけを作業ツリーに反映できます。
3. 不要になった stash を削除
git stash drop stash@{0}
便利ワンライナー：すべての stash の内容を表示する
git stash list | while read -r stash; do echo $stash; git stash show -p ${stash%%:*}; done
全 stash の差分をまとめて確認できます。
まとめ
| 操作内容 | コマンド例 |
|---|---|
| stash 一覧 | git stash list |
| 内容の概要確認 | git stash show stash@{0} |
| 差分の詳細確認 | git stash show -p stash@{0} |
| 特定ファイルの差分 | git diff stash@{0} -- path/to/file.txt |
| 特定ファイルのみを戻す | git checkout stash@{0} -- path/to/file.txt |
| stash を適用（削除せず） | git stash apply stash@{0} |
| stash を削除 | git stash drop stash@{0} |
おわりに
Git stash は「一時避難」の強力な武器ですが、うまく使いこなせば 柔軟な作業切り替えや差分確認 にも使えます。とくに複数人開発や CI 連携の場面では「ファイル単位で戻す」テクニックが役立ちます。