豊橋技術科学大学ロボコン同好会,回路班のGavadyです.JLCPCBの3Dプリントサービスを利用したので,そのレビューをしていきます.
背景
ロボットの組み立てや基板の取り付けで電動の精密ドライバーを使用しているのですが,私の持っているものには,ナットを回すビットがないんです.ロボットでは,場所的にボルトを回すスペースがないことがあるので前々から不便だと感じていました.
以前のブログで,JLCの3Dプリントサービスについて調べたときに,ナット回し用のビットを作れるのではないかと思いやってみました.
JLC3DPとは?
JLCPCBのサブブランドであるJLC3DPでは,様々な方法・材料の3Dプリントが0.3ドルから行うことができます.
設計
ドライバー側の内径と,他のビットの外径をノギスで計測し,M3用のナットドライバのデータシートを参照しながら設計しました.
発注方法
3Dプリントサービスの発注方法はとても簡単です.
まず,3Dデータをアップロードします.
次に製造方法と材料の選択です.今回は,比較のために3種類発注します.
まず一つ目は,SLAのCBY Resinです.
こちらは最安値の0.3USDで製造可能です.
二つ目は,MJFのPA12-HP Nylon Blackです.
三つ目は,SLM(金属)です.金属に関しては,ほか二つとデザインルールが異なっており,細い部分が印刷しにくいということだったので,一部設計を変更しています.
クーポン等をうまく使って11.31USDで購入しました.また,3Dデータをシェアすると,7USDのクーポンをもらうことができます.
実際に届いた物
実際に届いた物がこちらです.上から順に前章の一つ目,二つ目,三つ目です.
細かく見ていきます.
写真を見て何か気が付くかもしれませんが,銅色のテープが巻かれています.これは,材料の収縮によって設計したときの寸法よりも小さくなっているため,ドライバーにはまらなかったからつけています.大体0.2mmほど小さくなっています.それ以外は,設計通り.ちゃんとナットを回すことができます.
SLAのCBY ResinとMJFのPA12-HP Nylon Blackは,使用すると少しずつ樹脂が削らて行く感覚があります.これは仕方のないことですが,値段を考えると摩耗してなくなるくらい使ってからまた購入しても痛くなさそうです.
金属のほうは,当たり前ですが頑丈です.まったく摩耗する気配がありません.
感想
今回の発注を通して感じたことですが,材料の収縮を予測するのが難しいです.3Dプリンタが近くにあれば,何度も挑戦して収縮の感覚をつかむことができますが,こういった発注はそううまくいきません.収縮を予想して大きく作ってしまうと,そこまで収縮しなくてやすりで削る必要が出てきたり,そのままの寸法で発注して小さくなることもあります.これらは仕方のないことなのですが,やっぱりぴったりできてくれると嬉しいですね.
それでも,値段のことを考えればとても便利なサービスで間違いないです.