「node-fetch」は、Node.js環境で使用できるHTTPリクエストライブラリとして開発されました。その誕生の背景と目的について詳しく説明します。
背景
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Node.js標準のHTTPモジュールの扱いにくさ
Node.jsには、HTTPリクエストを行うための標準モジュール(http
やhttps
)が最初から含まれていますが、これらのモジュールは低レベルで、直感的ではないインターフェースを提供しています。リクエストを送る際に多くの設定が必要であり、レスポンスの処理も非同期ストリームとして行う必要があります。これが原因で、簡単なHTTPリクエストを行うにも複雑なコードを書く必要がありました。 -
ブラウザの
fetch
APIの人気
ブラウザ環境では、fetch
APIが標準として広く使われています。このAPIはPromiseベースでシンプルかつ使いやすいため、JavaScript開発者に人気があります。しかし、Node.js環境ではfetch
APIが標準でサポートされていなかったため、同じコードをブラウザとNode.jsで共有するのが困難でした。 -
サードパーティライブラリ(例: axios)への依存回避の要望
Node.js用のHTTPリクエストライブラリとして、axios
など他のライブラリも存在しましたが、それらは独自のインターフェースを持ち、ブラウザ環境のfetch
とは異なる書き方が必要でした。これにより、ブラウザとNode.jsで一貫したコードを書くのが難しいという課題がありました。
目的
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Node.js環境での
fetch
API互換の提供
「node-fetch」は、ブラウザのfetch
APIをNode.js環境で模倣する形で開発されました。これにより、ブラウザ用に書かれたコードをNode.js環境でもそのまま動作させることが可能になり、フルスタック開発者にとって非常に便利なツールとなりました。 -
シンプルでモダンなHTTPクライアント
Promiseベースで、シンプルかつ直感的にHTTPリクエストを扱えるインターフェースを提供することを目指しました。Node.jsの初心者や従来のHTTPモジュールに慣れていない開発者でも、簡単にHTTPリクエストを送信できるようになっています。 -
軽量かつシンプルな設計
「node-fetch」は軽量で依存関係が少ない設計となっており、単純にHTTPリクエストを扱いたい場合に最適化されています。他のライブラリに比べて基本的な機能にフォーカスし、過剰な機能を持たないシンプルさを維持しています。
意義
「node-fetch」は、ブラウザとNode.jsでコードの互換性を高めることで、フルスタック開発の生産性を向上させました。また、PromiseベースのモダンなAPIを提供することで、Node.js開発者にとってHTTPリクエスト処理を簡単にしました。
現在(2023年以降)、Node.js自体がfetch
をネイティブサポートし始めたため、node-fetch
の役割は変わりつつありますが、依然として古いバージョンのNode.jsや特殊なユースケースで利用されています。