概要
計量時系列分析(沖本著)を勉強しています。
この本自体は割りと不親切でざっくりしているので、そこまでおすすめしません。
MAモデル
MA(1)モデル定義
y_t = \mu + \epsilon_t + \theta_1 \epsilon_{t-1}
\epsilon_t \sim W.N.(\sigma^2 )
性質
- 定常
- 平均:$E[y_t] = \mu$
- 分散:$V[y_t] = (1+\theta_1^2)\sigma^2 $
共分散
Cov[y_t,y_{t-1}] = Cov
[ \mu + \epsilon_t + \theta_1 \epsilon_{t-1},
\mu + \epsilon_{t-1} + \theta_1 \epsilon_{t-2}]
= Cov
[ \epsilon_t + \theta_1 \epsilon_{t-1},
\epsilon_{t-1} + \theta_1 \epsilon_{t-2}]
=\theta_1 Cov[\epsilon_{t-1},\epsilon_{t-1}]
= \theta_1 \sigma^2
- 自己共分散:$Cov[y_t,y_{t-1}] = \theta_1 \sigma^2$
- 自己共分散:$Cov[y_t,y_{t-k}] = 0 (k >1)$
$MA(q)$の場合はq次を超える自己バリアンスは0になる
ARモデル:自己回帰モデル
AR(1)
y_t = c + \phi_1 y_{t-1} + \epsilon_t
\epsilon_t \sim W.N.(\sigma^2 )
性質
定常であるとするならば
- 平均:$\mu = c + \phi_1 \mu$より$\mu = c/(1- \phi_1)$
- 分散:$V[y_t] = V[ \phi_1 y_{t-1} + \epsilon_t] = \phi_1^2 V[y_{t-1}] + \sigma^2 $ よって、$V[y_t] = \sigma^2 /(1-\phi_1^2)$
といえる。
自己共分散
Cov[y_t,y_{t-k}] = Cov[c + \phi_1 y_{t-1} + \epsilon_t,y_{t-k}]
=Cov[\phi_1 y_{t-1},y_{t-k}] + Cov[ \epsilon_t,y_{t-k}]
=\phi_1 Cov[ y_{t-1},y_{t-k}]
Covの分解$Cov(y,x)=(y-\bar{y})(x-\bar{x})$であることから、
$Cov(y,x)=(y_1-\bar{y_1} + y_2 - \bar{y_2})(x-\bar{x})$と考えられるため
$Cov(y,x)= Cov(y_1,x) + Cov(y_2,x)$といけるのである。
以上より、
\gamma_k = \phi_1 \gamma_{k-1}
となる。
$AR(p)$に一般化すると
\gamma_k = \phi_1 \gamma_{k-1} + \phi_2 \gamma_{k-2} + \cdots + \phi_p \gamma_{k-p}
これをユールウォーカー方程式と呼ぶ。
初期値$\gamma_0,\gamma_1$を与えると逐次的に自己共分散が得られる。
ちなみに差分方程式といえばZ変換である。Z変換を使えば漸化式から一般解が求められる。
AR特性方程式
y_t = c + \phi_1 y_{t-1} + \cdots +\phi_p y_{t-p}+\epsilon_t
y_0,y_1,\cdots ,y_{p-1} = given
\epsilon_t \sim W.N.(\sigma^2 )
これをZ変換します。
(z^p - \phi_1 z^{p-1} - \cdots - \phi_p ) Y(z) = \frac{c}{1-z^{-1}} -y_0(z^{p-1} +\cdots) - \cdots
ここで特性根は
(z^p - \phi_1 z^{p-1} - \cdots - \phi_p ) (z-1) = 0
となる。
Z変換表を参考にする。
等比数列のZ変換は
Z[a^n]= \frac{z}{z-a}
特性根が等比数列の増加比に相当する。つまり、
|a| >1 \rightarrow 爆発的増加
a =1 \rightarrow 定数
|a| < 1 \rightarrow 減衰
という関係がある。
以上より、$AR$過程の特性方程式を元に特性根を計算することで、過程が爆発するか、減衰するかが判定できる。
AR定常・反転可能性
(AR過程をMA( \infty )過程に変換可能) = (AR過程が定常)
$MA( \infty )$過程は平均が$\mu$、分散が有限であることから定常です。
(MA過程をAR( \infty )過程に変換可能) = (反転可能という)
実際に変換してみましょう。
ARMA過程
$AR + MA$である。
$MA$を$AR(\infty)$に変換可能、
$AR$を$MA(\infty)$に変換可能、
であることから、$ARMA$は係数が無限和の$AR(\infty)$もしくは$MA(\infty)$であると言える。
MAが定常であることから、ARが定常であれば定常となる。
VAR過程
AR過程を複数変数に拡張したもの。
制御における離散状態方程式と等価。
カルマンフィルタはこのモデルを使う。
VMA,VARMAが使われないのは、VARで十分にモデルを記述でき、問題の複雑さからである。
\boldsymbol{y}_t = \boldsymbol{c} + \boldsymbol{\Phi}_1 \boldsymbol{y}_{t-1} + \cdots + \boldsymbol{\Phi}_p \boldsymbol{y}_{t-p} + \boldsymbol{\epsilon}_t
これまで変数$y_t$は1つの時系列データのみだったが、今回の$\boldsymbol{y}_t $は複数の時系列データを並べたものです。
VARの性質
定常であるとするならば
- 平均:$\mu = c + \phi_1 \mu$より$\mu = (I_n- \phi_1)^{-1} c$
- 自己共分散
Cov(y_t,y_{t-k}) = \Gamma_k
とする。ベクトル確率変数の共分散は行列計算になる。
Cov(y_t,y_{t-k}) = E[(y_t-E[y_t])^T (y_{t-k}- E[y_{t-k}])]
である。
Cov(\boldsymbol{c} + \boldsymbol{\Phi}_1 \boldsymbol{y}_{t-1} + \cdots + \boldsymbol{\Phi}_p \boldsymbol{y}_{t-p} + \boldsymbol{\epsilon}_t,y_{t-k})
=
Cov(\boldsymbol{\Phi}_1 \boldsymbol{y}_{t-1} ,y_{t-k}) + \cdots+
Cov(\boldsymbol{\Phi}_1 \boldsymbol{y}_{t-p} ,y_{t-k}) +
Cov(\epsilon_t ,y_{t-k}) +
よって
\Gamma_k = \boldsymbol{\Phi}_1 \Gamma_{k-1} + \cdots +\boldsymbol{\Phi}_p \Gamma_{k-p}
となる。これは$AR$過程で出てきたユールウォーカー方程式の多次元版である。
初期値$\Gamma_0,\Gamma_1$を与えると逐次的に自己共分散が得られる。
見かけ上無関係な回帰モデル:SURモデル
$VAR$過程はを各行分解し、個別に同定することができる。
これは、$(y_t){1}$ と $(y_t){2成分}$に見かけ上無関係であることに由来する。
つまり、$VAR$モデルは$SUR$モデルの一種と考えられる。
グレンジャー因果性
$VAR(1)$モデルを各成分で書き出す
y_{1,t} = c_1 + \phi_{11} y_{1,t-1} + \phi_{12} y_{2,t-1} + \epsilon_{1t}\\
y_{1,t} = c_1 + \phi_{21} y_{1,t-1} + \phi_{22} y_{2,t-1} + \epsilon_{1t}
ここで、$y_{2}$を抜いてモデルを同定した場合
y_{1,t} = c_1 + \phi_{11} y_{1,t-1} + \epsilon_{1t}\\
はこうなる。
前項での最小二乗誤差法による同定の結果の最小二乗誤差$MSE_1$
後項での最小二乗誤差法による同定の結果の最小二乗誤差$MSE_2$
$MSE_1 < MSE_2$であれば、$y_2$を採用した効果があると考えられる。
これを$y_2$から$y_1$にグレンジャー因果性があると呼ぶ。
ただし、モデルが複雑であるほど当てはまりがいいので、仮に因果関係がなくても一般に成立する。
よって、検証が必要になる。最小二乗誤差の検定といえばF分布である。
2F = 2\frac{(MSE_2 -MSE_1)/r}{MSE_1/(T-np-1)} \sim F(2,T-np-1)
係数$2$はVARモデルの説明変数には過去の被説明変数が含まれている事による、歪みの補正らしい(わからない)。
インパルス応答
$t=0$にて$\epsilon_{1,t=0}= 1$をあたえ、他では$\epsilon_{1,t \neq 0}= 0$として、$y_t$を逐次的に計算し、応答を求める。
直行化インパルス応答:攪乱項の共分散が対角になるように係数行列を設定し、応答を見た結果
分散分解
例題はわかったが使い道がよくわからん
構造型VARモデル
前に行列$B$がついただけ。
B\boldsymbol{y}_t = \boldsymbol{c} + \boldsymbol{\Phi}_1 \boldsymbol{y}_{t-1} + \cdots + \boldsymbol{\Phi}_p \boldsymbol{y}_{t-p} + \boldsymbol{\epsilon}_t
$VAR$に変換可能。
単位根過程
差分系列が定常過程となる過程。
ここからが難しい